スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

高嶺格 「とおくてよくみえない」 横浜美術館

takamine

高嶺格(たかみね・ただす)は、2005年の横浜トリエンナーレの「鹿児島エスペラント」に感銘を受けて、以来ずっと気になって、追いかけている作家さん。

05年の横トリは奈良さんの展示が目的だったのだけれど、頭の中はすっかり高嶺さんの作品で一杯になってしまった。それくらい衝撃を受けた。

ただ、ARATANIURANOで拝見した「スーパーキャパシタ」は何のことやらよく分からない作品で、そうかと思えば、あいトリの七ツ寺共同スタジオのパフォーマンスと映像と音楽を絡めた観客参加型作品は、美術に馴染のない人でも楽しめる内容。ごく最近では金沢21世紀美術館で行われていた「Good House, Nice Body ~いい家・よい体」は、面白くて、そのノリで今回の横浜美術館での個展を楽しみにしていた。

本展は作品リストありません。図録はフィルムアート社から出版されているので、書展などで購入可能ですが、図録というより作品集であって、今回の展示がオープニング直前にやっと完成したため、展覧会風景などが掲載されている訳ではないようです。テキスト(日本語・英語併記)が半分、作品画像半分。私は今回購入見送りました。

さて、展覧会ですが、今日は三木あき子氏(2011年横浜トリエンナーレ・アーティスティックディレクター)×高嶺格氏によるクロストークが開催されたので、そちらにも参加しましたので、適宜織り交ぜながら感想を。

展覧会タイトル「とおくてよくみえない」については、CINRA.NETに掲載されている高嶺氏へのインタビューに掲載されています。⇒ http://www.cinra.net/interview/2011/01/13/000000.php

まず館内に入ると狼の遠吠えのような「わお~ん」という咆哮が耳に飛び込んで来ます。これも企画展の演出の一部であると思いますが、咆哮を耳にしつつ2階展示室へ向かう。途中、2004年に同館で展示する予定ができなくなってしまった『木村さん』についてのビデオについての話題から始まるようなのですが、これは完全に見落としました。
この辺りの詳細はzaikabouさんのブログ(↓)に触れられています。本展レビューとしてとても参考になります。
横浜美術館 高嶺格『とおくてよくみえない』の不穏さ - 日毎に敵と懶惰に戦う
(1/23追記)

まず、本展の展覧会は順序が非常に重要で、高嶺氏しては指定された通りに観て欲しいという意図がありますので要注意。

最初の展示室。
前述のトークでは、高嶺氏がこの展覧会の構成を音で表現しておられたのですが、それが一番適切でごちゃごちゃ言葉で説明するより、この音でイメージをつかんだ方が良いくらい。
確か、最初の部屋は「ポカーン」だった筈。
そう、ポカーンとしてしまうのです。

なぜなら額装された一見作品に見えるものは全て既製の毛布やらタオルやら刺繍製品。
それらに、いかにもというタイトルを付け、キャプションが付けられている作品もあり。
ネタばれですが、このキャプションは横浜美術館の学芸員3名の方が、高嶺氏による以来でできるだけ難解に解説を書いて下さい。」と依頼されたそうです。

これが、結構しつこいくらい長く続きます。最初の展示室ほぼずっとで最後に作品のない額縁だけの作品が2点。

次の展示室では、前述の≪鹿児島エスペラント≫を思わせる映像作品。
タイトルや制作年をメモしなかったので、曖昧な記憶ですが2004年の旧作だったかと。
これは、皆楽しんでいたようで、かなり長時間観ておられる方も多かった。

この部屋を出ると、展示室をつなぐ広いスペースに出て、ご当地横浜で明治期に活躍した五姓田芳松の張りぼて(?)を両脇に置いて、真ん中に映像作品が。
この2つの張りぼてが交互に話す。映像は何だったか、かなり古い作品のようで海外でパフォーマンスしている映像について五姓田張りぼてが実況中継していると私には見えた。

次に入ると真っ赤な色彩が飛び込んでくる。
この展示室の基本色は赤。
ここでもスクリーンが中央にあり、映像作品、この映像は面白かった。早送りで、どんどん粘土像の彫像が早変わりして行く。どうやらこれはアメリカの9.11直後に制作された作品らしいのだが、途中ブランクーシの彫刻『接吻』の形になっていなかったか?作って行く男女の生活シーンも背景に写されているが、早送りなので、それはそれで気にならず、却ってリアルな制作過程のような風景が楽しめる。

その隣にある映像が不穏。
これも旧作品で、高嶺さんがイスラエルに行った時に知り合った知人が、半年後にパレスチナ解放戦線の一員となっており、壮絶な話をはじめ、ただただ聴くしかなかったという。
小さな3つのスクリーンには、恐らくその知人の映像が流れていて、作品横には観客に問いかけるように「あなたは、こんな時どうしますか?」他2つ程質問が並んでいる。

トークの中で、三木氏は「高嶺作品と対峙すると、どの作品でも共通するが居心地の悪さを感じる。」とコメントされた。高嶺氏は、それにひっかかって「居心地が悪いとはどういうことか?」と質問され、三木氏が例にあげたのが本作品。
すなわち、高嶺氏の作品を観ると「自分は今、何をしたらよいか、こんな時どうすれば良いのか、このままで良いのか」と自問してしまう、それを居心地が悪いと表現しておられた。
個人的にはそれだけではないようにも思ったが、それについては、後述する。

赤い部屋の次には、≪ベイビー・インサドン≫がある。
高嶺氏と在日韓国人の妻との結婚式の様子を270枚の写真とビデオ、そしてテキストで構成する作品。
これは、過去少なくとも2回は観ているので、今回は流しました。

最後の作品、これは新作映像作品。
トークによれば、作品集を制作するにあたって、インタビューを担当学芸員の方としているうちに思いついたアイディアを視覚化した作品。
高嶺氏が本作品でもっとも伝えたかったことは、映像のある展示室から出た壁面に書かれている。
セクシャルな内容なので、それを極力排除するために、複数人登場させたりと工夫を凝らしたが、この作品に関しては今後、更に改良していくとのことでした。

それにしても、この展覧会のクロストークだが、出演者のお三方3名とも寝不足。三木氏は時差ぼけ、残るお二人は連日の徹夜の展示作業及び高嶺氏は飲み過ぎとのことだったが、トーク中も途中で寝落ちするんじゃないかと思うような沈黙があったり。
展示作業が大変だった事情は理解できるが、観客に対して失礼ではないかと思った。
更に、トーク前半で作品集の話題が出て、先に進められることから進めるということで作品集の制作も同時進行で行ったが、高嶺氏曰く「エネルギーの半分は作品集に費やされた」とのこと。
この展覧会は、作品集発刊のためのものなのでしょうか。
横浜美術館の後、広島市立現代美術館に巡回するそうですが、広島の方が、楽しめるかもしれません。
三木氏のお話で印象的だったのは、「同じ展覧会でも会場が違うと、それだけでサイトスペシフィックな要素が出て来る」という言葉。
私も同じ展覧会を別の美術館で観た経験が、何度かありますが確かに、会場によって展覧会の印象が変わることもありました。

三木氏は高嶺氏の作品をまとめて今回拝見したことで、こういうことをやりたいんだなと見えて来たものがあるとおっしゃっておられたが、私個人の感想としては、そこまでには至らず。
何か、肩透かしをくらったようなそんな印象を覚えた展覧会でした。しかしながら、高嶺ファンとしては旧作含めて作品をまとめて観られる貴重な機会であったことは間違いありません。こちらが期待したような新作は観られなかったのが肩透かしの一因です。(1/23一部修正追記)。

なお、常設展では、奈良美智さんの同館コレクション全点が展示されており、エルンストのコラージュ作品がツボでした。日本画の御舟も良かったな。

*3月20日まで開催中。

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

高嶺格 とおくてよくみえない

横浜美術館で、高嶺格(ただす)「とおくてよくみえない」を観た。 そして展覧会のため出版された「とおくてよくみえない」を読んだ。 人が何を評価するのかについて考え、僕は「 ...

横浜美術館 高嶺格『とおくてよくみえない』の不穏さ

とおくてよくみえない ちかくによれば よくみえるけれどもこれはただのたれまくでてんらんかいのことはよくわからない。そもそもなにがよくみえているのか 高嶺格:とおくてよくみえない 横浜美術館 横浜美術館で、高嶺格の、首都圏でははじめての大規模個展『とおくてよく

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。