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「山荘美学 日高理恵子とさわひらき」 アサヒビール大山崎山荘美術館

sansou

アサヒビール大山崎山荘美術館で3月13日まで開催中の「山荘美学 日高理恵子とさわひらき」に行って来ました。

生憎当日は、関西、中国、四国と積雪に見舞われ、大山崎一帯も銀世界になっていた。時折、舞い散る雪の中の山荘は初めてでしたが、2階の喫茶室やバルコニーから眺める雪景色はまた格別。
さわひらきの静謐な映像作品に、真っ白な雪景色は似合っているように思いました。

何を隠そう私は、さわひらきさんの映像作品が大好きで、最初に拝見したのは森美術館、愛知県美どこだっただろう?愛知県美が1点コレクションしているのは間違いなく、その作品ばかり何度も観ていて、直近では水戸芸術館で拝見した新作が衝撃的な素晴らしさだった。更にその前には、東京都写真美術館で極小スクリーンを使用した作品などを観ている。

さて、そんなさわひらきさんが、大山崎山荘美術館でどんな展示をするのか、私の関心はその1点に尽きた。もう1人の出品作家である日高理恵子さんの絵画はモネ作品との共演になるだろうことは予め予測できたし、彼女の場合は、確固たる作風があるので、そこからはみ出すような予想外の内容というのは想定できなかった。

大山崎山荘美術館は、別荘として使用していた建物を美術館にしたもので、いわゆるホワイトキューブとは全く様相が異なる。しかも同館のコレクションは、河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチをはじめとする民藝作家の陶芸作品が多く、その場所で映像作品をどう見せるのか、作品自体と展示方法の2つに大きな関心があった。

そして、結論から言えば、さわひらきの映像は大山崎山荘美術館にとてもマッチしていた。
部屋の使い方、映像の見せ方、どれもが建築と見事に共存を果たし、更には前述のコレクション陶芸との関連性も見せたり、これは学芸員氏のセンスによるものなのだろうが、展示されていたやきもののモチーフが、さわの映像によく登場する鳥であったりと、どこか関連性が見られて、その取り合わせが絶妙で感心してしまった。

さわひらきの映像作品は全部で8点、うち1点が新作。
1階のマントルピースがある展示室は、入ってすぐを一番大きなスクリーンに仕立て、≪trail≫2005年を上映。暖炉上の壁には額縁に入った絵であるような見せ方で映像≪in here≫2005年、そして入口に一番近くで小さなモニターに≪eight minutes≫2005年の3作品を見せている。
さわの映像作品はサイレントもしくは僅かな音のみのBGMが配されるだけなので、1部屋に3作品を同時に上映しても、各作品がぶつかりあったり、邪魔をすることがない。

私の今回の一番のお気に入りはこの1階の部屋にある3作品全て。
≪trail≫はモノクロの映像で、作家がイスラエルのエルサレムに1ヶ月滞在した体験から制作した作品。ラクダが作家自宅のアパート内を旅する映像。さわの映像には、彼自身のアパートが度々登場する。
今回も洗面所の排水口の周りをラクダが行進していたり、窓の盞の所にラクダがゆっくりと歩いていたり、はては、象までがのっそりと窓の向こうを歩いているシルエットがゆっくりと映し出される。窓の曇りが和紙のような質感に見えて、モノクロ映像の中に包みこまれるような感覚や柔らかな質感、水の感触といった感覚を刺激するような工夫があちこちに見られる。あのゆっくりとした動きが、ラクダと象にはピッタリくる。

対して≪in here≫は、珍しくカラー作品。これがまた実に楽しい作品になっていた。ロンドンのヘイワードギャラリーで子ども向けのワークショップを行った際に制作した作品。「これが飛べばいいな」というものを子どもが描き、それらのバスや階段などが飛んでいる映像。
ロケーションは、ドラム式洗濯機、台所の食器棚、金魚蜂の3つ。これらを飛び立った羽の生えたバスが飛ぶ様は実に微笑ましく夢がある。実際に、洗濯機や金魚蜂からバスが羽を生やして富んで行ったらどんなにか楽しいだろう。

さわひらきさんの映像はDVD化されないのだろうか?特に上記2作品は何度でも観たくなる。

同じく1階の池の前にある展示室では、新作≪record≫2010年、≪murmuring≫2006年、≪spotter≫2003年。
このうち、既に観たことがあったのは≪spotter≫のみ。

≪murmuring≫は、1つ折りの屏風のような2画面で別々の映像が同時に流れる。小さな屏風絵のような見せ方。
この作品は置いてある場所が窓際だったせいもあって、外光の反射があり、やや見づらかったのは残念。
マーマリングはぼそぼそ言っているという意味。ヤギ、木、鳥といった作家が好きなモチーフが手描きの平面から立ちあがって動きを見せる。

≪record≫は、香合などのやきものと一緒に大きな楕円のガラスケースに置かれた小さなモニターで上映。
音が保存されているレコード盤とオルゴールの突起のある盤を指でなぞると同時に記憶を辿る。水に浮かぶ船、月などが登場する。モノクロで水墨画のような静謐な映像。この映像では珍しく1度だけ字幕が出る。「月の僕をこすり消してください」と。・・・感想を書いていたらもう1度この作品を見たくなってきた。
まさに大山崎山荘美術館に相応しい作品だった。李朝の鳥型水滴が一緒に置かれていたのがまた実に良かった。

2階には喫茶室にひっそりと2作品を展示。

≪elsewhere≫2003年は引き出しの中にスクリーンが仕込まれていて、引き出しを覗く形で鑑賞する。
これは、例によって自宅アパートに置かれているやかんやコーヒーカップなどの日用品から脚が出て動き回り部屋を徘徊する映像。住人が留守の間に何が起きているかは分からない。
そんな風に想像すると、部屋に帰ってくるのが楽しくなるかも。

もう1点は≪airliner≫2003年、ある意味原点のような作品で、決して終わりのないぱらぱらマンガを作りたくて制作した作品だとか。

作品解説は、受付で紙面で手渡しして下さるので、とても分かりやすい。

モネの展示室では、やはり日高理恵子の≪Dance for the sky≫シリーズが3点、廊下側にあるショーケースに≪百日紅≫のドローイングが2点。
個人的には百日紅のドローイングが好み。
ただ、美術館からの帰路、木立を見上げてみたら、少し前に観た日高のモノクロの樹木の作品とそっくりな景色を見つけた。

さわひらきさんのファンなら必見の展覧会です。

*3月13日まで開催中。

コメントの投稿

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noel様

こんばんは。
山荘と映像作品って、一体どんな展示になるのだろう?と危惧していましたが
全くの紀優。
素敵な展覧会でした。
あのペースが山荘にマッチしていました。
G-tokyoでは1点またも未見作品があったこと、更に各作品のお値段に驚きました。

No title

さわひらき作品、G-Tokyoでも見入ってしまいました^^ 確かに山荘の雰囲気とマッチしてそうですね。 見たいけど春休み前なんでムリだわ...
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