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「半農半アート-水ありて-」 東広島市立美術館 はじめての美術館82

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東広島市立美術館で3月21日まで開催中の「半農半アート-水ありて-」に行って来ました。

今回の旅は、夜行バスで京都入りし、京芸の卒展や大山崎山荘美術館、京都芸術センター、@KCUAなどをまわって(鑑賞記録にアップ済み)、19時前には再びバスで高松に向かい1泊。翌朝、高松→丸亀→広島→東広島→広島空港→羽田という旅でした。

東広島市立美術館は、丸亀→広島の移動がスムーズに行くか、広島市現代美術館のサイモン・スターリング展にどの程度時間がかかるかで行けるかどうかが微妙な状態でしたが、広島駅から広島空港へ向かう途中にあるため、これなら行ける!とスケジュールに組み込みました。
今回の企画展では、笹岡啓子さんの写真が出展されているとのことで、例によってtwitterで本展の情報を発見し、これは行かねばと思った次第ですが結果は大正解でした!

同館は広島駅から岡山方面へ向かうJR山陽本線(在来線)で30分、八本松駅で下車し、まっすぐに南下徒歩10分程度の場所にあります。駅から案内板が見つからず、建物が見えないので途中不安になり道を確認しましたが、間違いなし。程なく看板と美術館らしき建物が見えてきました。
この日は、小雪が舞い散る非常に寒い1日で、美術館までの道のりが寒かった!

閉館が17時で到着したのは16時20分頃だったでしょうか。
展示室は1階と2階、そして別棟に八本松歴史民俗資料館があり、そちらにも作品が館内に1点、屋外に1点あります。

「半農半アート-水ありて-」というタイトルは、東広島の営みに主眼を据えて「農(農業)」と「水」をテーマに展開。以下、同館ホームページの本展概要を引用させていただきます。

東広島市は、往古より稲作を基幹とした「農」を営んできました。市内では、古墳時代の水田遺構が見つかっており、現在でも、県内最大の水田地帯となっています。三大銘醸地として名高い酒造業をはじめ、産業も「農」を基盤として発達してきました。「農」は古代より続く本市の根源的な営みなのです。
また、本市は、国土交通省によって水の郷100選に認定されるなど、親水都市として知られていますが、全国有数の溜池群があり雨乞い慣行が伝わるなど、水不足に悩まされた土地でもあります。水に事欠く土地でありながら、稲作や酒造業など水に立脚した産業を営むこの地にあって、人々は水を希い、水と葛藤し、豊かな水への創造(想像)力を常に抱きながら暮らしてきました。「水」は本市を象徴するエレメントなのです。


同市を象徴する「農」と「水」を出品作家が、それぞれの表現方法や作品を通して生活と郷土と美術の関連を見せる内容で、まさしくこの東広島美術館ならではの展覧会となっていました。
私は、まずそのことに深い感銘を覚えたのです。
ただの通りすがりの旅行者である私が、本展の作品を通じて、いつしか東広島市がどんな土地でどんな歴史を持ってどういう生活が営まれているのかが、何かしら見えて来たのには感動しました。
市内を回ることはできなかったけれど、作品を通して東広島市がどんな土地柄なのか、それが感じられたのです。

また、各作家が本展テーマを自身で解釈し、その結果生み出した表現であり作品であったことが伝わって来て、会場を出た後もじわじわと私の中で旅の良い思い出としてじんわりと残っているのでした。

出品作家は次の15名、地元広島にゆかりのある作家さんや広島市立芸術大学の教授・学生の作品中心に構成されています。
石丸 勝三、伊東 敏光、川崎 義博、黒田 大祐、久保田 辰男、腰本 悦二、桜田 知文、笹岡 啓子、鹿田 義彦、
増田 純、松尾 真由美、丸橋 光生、宮岡 秀行、祐源 紘史、吉村 芳生 アイウエオ順
各作家さんの紹介は同館のサイトをご参照ください。→ こちら

どの作品も楽しめましたが、特に印象に残った作品について振り返ってみます。

・川崎義博 ≪伏流/quiet underflow≫2011年
川崎は、東広島の「水」に注目した映像と音(川のせせらぎなど)を使ったインスタレーションを展開。映像を見せる映像ディスプレイを置く台に使用していたのは、映像と音を採取した市内の川にあった石だと思われる。
ディスプレイは全部で5つか6つはあったと思う。
各ディスプレイでは全て水の映像が映し出されているが、それらは全て市内の別の場所で撮影され、ディスプレイに映し出された水音が展示室内にまるで、私がそこにいるかのような錯覚を覚えさせるほどリアルに迫る。
展示室内に創り出された、疑似的水場であったが、美しい水の映像にしばし見とれ流れる水音に耳をすまして佇んだ。

・伊東敏光 ≪流体女神-初見≫、≪水源-奥行き12000m-≫、≪流体女神-偶然≫ すべて2010年制作
≪流体女神≫2点は、御影石の彫刻で、石彫に彩色が施され、石造りの神像のように祈りの姿勢を取っているように見えた。着彩が、かなりしっかりとされていたが、寧ろそれが自然な感じがして、こけが生えた石のようにも見える。
≪水源≫は、木彫であるが、一木造とは逆に、小さな木片をパッチワークしたような木彫と言えば一番分かりやすいだろうか。パッチワークの布を1枚の木片にたとえ、それをつなげて山の形体を生み出す。
色や質感も木片の種類を変えることで、山として平面的な木彫であるにも関わらず、奥行きの感じられる作品になっている点が素晴らしい。

・吉村芳生 ≪未知なる世界からの視点≫2010年
吉村と言えば、新聞シリーズで著名だが、本作品は色鉛筆で描かれた風景画である。
描かれたいるのは東広島ではなく、山口市仁保川の川べりに咲く菜の花。
6月になると田んぼに水がはられ、水面に風景が映り込むために天地がなくなる状況を絵画化している。この作品は天地逆に展示してあるので、もちろんそのまま観ても良いが、股のぞきして天地逆さまに見ると、また違った風景がみえてくる。
吉村の色鉛筆絵による風景画は初見、しかも本作品は非常に大きく202cm×1022cmで迫力十分。

・笹岡啓子 ≪風水里山≫2011年 ピグメント・プリント 20sm×30cmサイズの写真が15点。
この東広島市美に行った翌日、私は笹岡さんの写真を考察する「Researching photography」に参加した。そこで本作品についての笹岡さんご自身のコメントも拝聴することができたのだが、撮影期間は5日間。予算の関係上、今回の作品はデジカメの一眼レフを使用し、インクジェットプリントで出力したため、これまでの作品よりサイズが小さくなったとのこと。
5日間で700枚~800枚の画像を撮影し、15枚をピックアップしたとのこと。
私はこれらの15点を眺めつつ、なぜこの15点を選択したのかを考えながら1点1点追っていった。

笹岡さんお写真と出合ったのは愛媛県の久万美術館での図録だったのだが、今回の企画も久万美術館の展示を観た学芸の方から声掛けがあって参加に至ったとおっしゃっていた。里山と言えば、久万もそうなのだが、同じ里山でも東広島は農業が盛んなのか、大きな農家が多く久万町との違いを踏まえつつ撮影したのだそうです。
私は、彼女の風景写真を観るとき、いつも大地の質感に注目する。皮膚のように触角を刺激する。

・桜田知文 ≪MINORIの雫≫2011年
鉄、鋳金のオブジェ作品。四角い鉄板を「田」に見立て、その板の上には水のようなアルミニウムの造形物が乗せられている。これがとても美しかった。
アルミニウムが輝くと水の輝きのように見える。

・増田純 ≪豊作≫2011年
人体より大きなサイズの米袋を肥大化させたオブジェが1階ロビーに発見。ご丁寧に米袋には、それらしく文字が描かれている。

・鹿田義彦 ≪Shortage/Filling Namings≫2011年
この方も写真作品を展示。笹岡さんの写真と比較してみると面白い。同じ東広島を撮影した写真であるにも関わらず、切り取り方、写真メディアでの表現化がまるで違う。
彼の場合は、地元の中心産業の一つである日本酒作りに目を向けた。
市内にある酒蔵を訪ねて、土地ならではの日本酒をコップに少しずつ量を変えて横に並べている。
そしてご当地の日本酒の銘柄の名前にちなんだモチーフ(鶴なら鶴を選ぶなど)を1点、1点関連付けて撮影していた。

他に祐源 紘史の小さな昆虫彫刻が愛らしかった。

*3月21日まで開催中。お近くの方はぜひ!お薦めです。

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