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「耳をすまして-美術と音楽の交差点」 茨城県近代美術館

耳をすまして

茨城県近代美術館で3月6日まで開催中の「耳をすまして-美術と音楽の交差点」に行って来ました。

本展は、美術と音楽の関係について、美術の側からの様々な試みを紹介するものです。
展覧会構成は次の通りです。

第1部「音楽にあこがれる美術」→温雅のある情景を描いた作品や、音楽の抽象性や理論を造形芸術に取り入れようとした作品など、近現代における美術の音楽に対する多様な“あこがれ”の形を紹介。

第2部「音と交差する美術」→音楽や音に関心を抱く現代美術家の作品を中心に、視覚だけではなく聴覚にも訴えかける作品を展示。

前年に同館では「目をとじて-見ることの現在」展が開催され、好評だったのに不覚にも私はこれを見逃してしまった。今回の音や音楽、聴覚に焦点を当てた続編ともいえる企画展はどうしても観たかった。
結果、第1部の最初の6点の展示で既にカウンターパンチをもらったような、ありていに言えば、この6点を観られただけでも水戸まで来て良かったと思える展覧会の始まりだったのである。

第1部は国内の美術館から音楽にイメージさせたり、関連する名品を集めて展示。特に、関東地区の方ではなかなか観ることのできない、愛知県や岐阜県、京都、いわき市など関東圏外から借用した作品群が素晴らしい。
第2部は、これほどの美術オタクになる以前から好きだった藤本由紀夫さんや、若手の注目株、先日京都市立芸術大学の制作展での展示を拝見したばかりの八木良太さんらの作品を中心に体験型の作品も多く楽しめる。

以下、印象に残った作品を振り返る。
第1部 音楽にあこがれる美術
まず目にするのは三木富雄 ≪耳≫ 徳島県立近代美術館
作品から「耳を傾けよ!」と問いかけられたような気がした。「耳をすませ!」と頭で囁かれたというべきか。

続いて、ルドンの≪天上の芸術≫、マックル・クリンガーの大理石彫像≪ミューズの頭部≫、ブランクーシ≪ミューズ≫、オシップ・ザツキン≪チェロのトルソ≫、マン・レイ≪アングルのヴァイオリン≫の組み合わせである。
何ともはや、カッコいい組み合わせで、この展示空間にいるだけでドキドキしてしまった。
特に秀逸なのはクリンガーの≪ミューズの頭部≫なのだが、所蔵先が豊田市美術館だったので更に驚く。豊田市美はこんな彫像まで所蔵していたのか・・・。何度も行っているのに一度も見かけた記憶がない。

そして、次に待っていたのは大好きな小林古径の≪琴≫京都国立近代美術館蔵。
古径の作品の中でも佳作と言えるのではないか。少女が琴の前で、今まさにつまびかんと佇む。美しく、これから始まるであろう琴の練習の情景が目に浮かぶ。

更に、これまた私の大好きな小杉未醒≪楽人と踊子≫二曲一双の屏風で、同館所蔵作品であるが私は初見。未醒らしからぬと言っては失礼かもしれないが、日本画でありながら西洋画の雰囲気をたたえた作品で最初は未醒の作品だと分からなかった。

ルドンの版画は冒頭の作品以外にも展示されており、彼が音楽に影響された作品を多く制作していると本展で改めて分かった。

そして、収穫だったのはマックス・クリンガー「ブラームス幻想 作品12より」21点組のエッチング、アクアチント、エングレービング等を組み合わせた版画の連作である。所蔵先は高知県立美術館。
クリンガーの連作版画は初めて観たが、素晴らしいの一言に尽きる。ブラームスの『幻想 作品12』は大きく3部に分かれて構成されているそうだが、その音楽世界を絵画で表現した作品群。
残念ながらブラームスには詳しくないので、一度この曲を聴きつつ、図録でクリンガー作品をたどりたいと思う。
21点すべてが、多様で、彩色のある作品もあれば黒の多いモノクロ版画あり、写実で精緻な画面ありと様々に楽しめる。

「音楽をめざす絵画」として紹介されているのは、ご存知カンディンスキーとマティス、クレー、ハンス・リヒター、ブリじっと・ライリーら海外作家と国内作家では恩地孝四郎、難波田龍起、駒井哲郎らの作品。
中で、国内作家で私が初めて知った作家がいた。神原泰である。彼はロシアの作曲家であるスクリピン作曲の「エクスタシーの詩」という曲にインスパイアされ、赤、青、黄、緑、ピンクなどの原色を使用した抽象的な絵画を描いた。作品の隣に、ゲルギエフの指揮による「エクスタシーの詩」を試聴できるので、是非、音楽を聴きつつ神原の作品を鑑賞していただきたい。
彼がこの曲を聴いて、画面に描いた色、そしてストローク音が色と線による揺らぎで表現されている。

揺らぎで思い出すのは、ブリジット・ライリー≪オルフェウス悲歌Ⅰ≫で、画面を観ていると色彩は軽やかであるにも関わらず悲しみが伝わってくるのが不思議だった。

第2部 「音と交差する美術」

最初にあったのはジョン・ケージ。名前はどこかで耳にした記憶があるがその作品となると?である。
ジョン・ケージについてはウィキペディアで調べてみた。→ こちら

彼は禅に傾倒していたそうで、今回出展されている作品はモノクロの版画作品(ドライポイント)。一見すると水墨画のように見える。
≪WITHOUT HORIZON ♯5≫が特に良かった。ケージの作品もすべて高知県立美術館。ここは良い版画のコレクションを持っている。

そして、2007年以来久々に藤本由紀夫さんの作品を楽しむ。感無量。
自分のブログで「藤本由紀夫」で検索したら、ヒット件数の多いこと。特に2007年は彼の展覧会が西宮、大阪、和歌山で行われ、私はすべて行っていたようだ。藤本さんは愛知県出身で現在は京都造形大学の教授をされている。
藤本由紀夫展に関する過去ログ:
http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-134.html
http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-135.html
http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-151.html

と言う訳で、西宮市大谷記念美術館蔵の作品は既に一度観ているもしくは体験しているものに再会し、懐かしくなった。私はオルゴールの作品が好きで、第1部の作品を観ている間も微かに聞こえるオルゴールの音色に藤本さんの作品だなと耳が捉えていた。

今回は≪TIME Ⅱ≫作家像 平成9年の作品で、砂時計が分針になっている作品が気に入った。赤色の砂がゆっくりと時計の分針として回る。二重の時を刻むようだ。

八木良太は、藤本由紀夫に影響を受けた作家さん、確か教え子さんではなかったか。
アプローチの仕方は異なるが、今回は特に音がテーマなので、関連する作品を展示している。
昨年のあざみ野ギャラリーでの個展で拝見した≪SKY/SEA≫や≪机の下の海≫もあったが、砂時計を使った≪Timer≫、砂時計の音をとらえてイヤホンで試聴する。砂時計が違うと、砂の劣る音も違うという当たり前と言えば当たり前のことを体験できる。

そして圧巻は≪VINYL≫2005年、これはあざみ野では展示されていなかったと記憶している。レコードを樹脂でかたどりしてそこに水を入れて凍らして、氷のレコードを制作。レコード盤で氷のレコードを試聴するとさて、どんな音が聞こえるか。
ぜひとも体験してみて下さい。毎日午後2時半より実際に実演あり!

どうしても行けない方は、本展図録(1700円)に先着限定300部まで特別に本展出展作品の一部の音が録音されたCDが付いています。このCDに氷のレコードの音も録音されています。なお、CDは残り100部とのこと。お早めに。
*CDが付いても1700円でお値段変わらず。非常に懐に優しい値段設定になっています。

金沢健一の作品もまた楽しめる。
特に、≪音のかけら-取り出された542の音たち≫は楽しかった。哲のかけらがあれだけ様々な音色を奏でるとは。久しぶりに鉄琴を思い出す。

1階には、、藤枝守≪宙づりのモノコード≫2009年が展示されているが、こちらはインスタレーションとしても楽しめる。ピアノ線が振動し小さな音を立てている。耳を傾けてこの微かな音を見つけて欲しい。

なお、石田尚志≪フーガの技法≫はもう何度もあちこちで観ているので今回は飛ばしましたが、未見の方はぜひ。
バッハのフーガの技法をアニメーション化した作品。1枚1枚の原画をコマ撮りしてつなげた作品。膨大な量の原画も展示されている。


そして、茨城近美で忘れてならないのは1階の常設である。
今回も、菱田春草、横山大観、下村観山、木村武山、小川芋銭らの日本画の名品が並ぶ。中に、奥原晴湖が1点あったのが非常に嬉しかった。かねてより1度見たいと思っていた女性画家である。

また、ウジェーヌ・カリエールの作品も印象深い。

この美術館はいつ来ても落ち着くし、格調高いなと思い、受付の方にどなたが設計されたのか尋ねてみたら吉村順三とのこと。非常に驚くと共に納得した。
なるほど、落ち着く訳です。吉村順三の名建築で観る音と音楽を美術の側から紹介する展覧会、おすすめです。

なお、2月26日(土)には八木 良太【パフォーマンス&アーティストトーク】午前11時~,午後2時~
内 容:「氷のレコード《VINYL》実演」
2月27日(日)には藤本 由紀夫【アーティスト・トーク】午前11時~,午後2時~
2つのイベントが開催されます。

水戸駅南口でレンタサイクルがあるようです。水戸芸術館と合わせて回るならレンタサイクルがお薦めかも。私も次回借りてみようと思います。

*3月6日まで開催中。

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bobo様

拙い内容ですのに、お読みいただき有難うございます。

川越市美の内田静馬の展覧会チラシはしっかり入手しており、
勿論心惹かれましたが、今回は無理かもしれません。
とても良かったと伺うとムズムズしてきます。

また、良い展覧会があれば教えていただければ幸いです。

No title

いつも展覧会の情報を楽しく拝見しております。
今開催中の川越市立美術館の内田静馬という木版画家の作品、
とてもよかったです。
お時間ありましたら、ぜひ。

茨城県近代美術館様

拙ブログにコメント賜り、有難うございます。
先日、訪問した際に年間パスポートを購入しましたので
今後ももちろん貴館の展覧会を楽しみにしております。

ブログも拝見させていただきました!

luka様

こんばんは。
この展覧会は第1部、第2部合わせて楽しめます。
ぜひ、万障お繰り合わせのうえ、お出かけくださいませ。

ありがとうございました。

 「耳をすまして」においでいただきありがとうございました。
 また,ブログで詳しくご紹介くださいましてありがとうございます。
 当館でもブログを開設していますので,お時間がございましたら,お立ち寄りください。
 http://plaza.rakuten.co.jp/momaibk

 3月12日からは「いばらき美術風土記」という企画展を開催します。
 茨城ゆかりの画家をはじめとする様々な作家が描いた茨城の風景を多数展示いたします。
 また,是非おいでください。
 この展覧会は4月24日まで開催していますが,3月中は水戸の梅まつりの期間でもありますので,休まず開館しております。
 

No title

memeさまこんばんは。
これは、是非行きたいと思っていながら、忘れかけていたので、思い出させてくださり、行く気にさせてくださり、感謝します!
もうすぐ終わってしまうのであせっています。
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