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「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」 東京国立博物館 

平山

東京国立博物館 で3月6日まで開催中の「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」に行って来ました。

本展は、日本画家の故・平山郁夫氏の文化財保護に関わる活動を紹介。同氏が文化財保護活動の集大成として制作し、奈良・薬師寺に奉納された大唐西域壁画を全店展示し、その業績を通じて文化財午後の重要性や課題を改めて問う展覧会です。

「東博の特別展は早く行くに限る!」を常々肝に命じていたが、2月頭にインフルエンザになり、そのしわ寄せもあり、仕事(本業は美術とまるで関係ない)が多忙になる等の諸事情により、結局会期終了1週間前の訪問になってしまった。

朝一番で開門前の列に並ぶ。並んでる・・・それ程混んでいないと思っていたが、どうやらそれは会期初めの頃の話だったようだ。
しっかり4列に並ばされて、数分後漸く正門を抜ける。

本展は以下の2部構成になっている。
第1部 文化財保護の継承-仏教伝来の道
第2部 文化財保護活動の結実-「大唐西域壁画」

開館と同時に人が入場していったため、いつもの逆回り作戦を決行することにした。
第2部から入ったのである。
ということで、私が観た順序、すなわち第2部→第1部の順で感想を書いていきます。なお、この展覧会は第2部から観ても問題はありません。空いている方から観て行かれた方が良いかと思います。

第2部は前述の通り、平山氏の畢生の大作、制作期間20年以上、7点の壁画は全体で37mにも及びます。
この7面の「大唐西域壁画」は薬師寺に2000年大晦日に奉納されました。
私は過去に1度、薬師寺でこの壁画が公開された際に観ています。
しかし、会場に入った瞬間、何か違うすさまじい神聖なオーラのようなものが空間に漂っているように感じました。全体の照明は落として、壁画に下から?あてられたスポット照明のせいか、平面絵画であるにも関わらず、眼前に迫ってくるような立体感奥行き感があります。壁から浮かび上がっているように見えたのです。

薬師寺での展示との大きな違いは、この照明と壁画の展示の位置、特に高さがポイントでした。
薬師寺では低い位置に展示されていたと記憶していますが、東博ではもう少し高め女性の腰高と同じか少し下あたりでしょうか。
この高さが非常に観やすかった。
しかも壁画だけ、背後は関連資料の展示にとどめたことで、作品を引いた位置からも近づいた位置からも鑑賞できます。ちょうど中間の壁面には私がもっとも好きな≪西方浄土 須弥山≫が展示されちますが、その目の覚めるような空の青と山の残雪の白が対照的でヒマラヤ山脈をモデルとした本作品の迫力にはただただ圧倒されます。
自分自身が、ヒマラヤ山脈を臨んでいるかのような錯覚がありました。
本作品を描くにあたり、ヒマラヤまで出かけたとNHKの『日曜美術館』の特集でも放送されていたのをご存じの方も多いことでしょう。平山氏の並々ならぬ本作制作への意気込みと心意気を感じる傑作です。

もう1点私が好きだったのは≪デカン高原の夕べ・インド≫です。
広大なインドの高原地帯。何もない砂漠のような黄色の大地に包まれる、いや吸い込まれそうな感覚があります。
この作品は後半に登場しますが、後半部には壁画の正面にずらりとソファが配されているので、大勢のお客様が腰かけてゆったりと、壁画を鑑賞されていたのも、いつもと違った光景でした(いつもは疲れてぼ~っと休憩している方が多いのです)。

壁画は玄奘三蔵の求法の旅をなぞり、東から西へと展開し、同時に日の出から月夜まで壁画全体で1日の時間の経過を追うと2つの意味合いで構成されています。

東西の旅、1日の流れを終えた時、画伯の祈りの気持ちが、誰にでも伝わってくるのではないでしょうか。

この後、壁画制作のための大下図、そして平山氏のスケッチブックが展示されています。

第1部へと向かいます。
こちらは、比較的小さめの作品が多いこともあり、どうしても混雑しがちなので要注意。

序章 平山郁夫 取材の軌跡
ここでは「高句麗古墳の壁画」や「高松塚古墳西壁 女子群像」山梨・平山郁夫シルクロード美術館蔵が印象に残る。後半にも通ずるが、古墳や石窟の壁画が多数展示されているのも第1部のみどころのひつといえます。
以後第1章から仏教の代表的な拠点に焦点をあて、平山氏が強く保護を願った仏教文化の精華を展観します。

第1章 インド・パキスタン マトゥーラー・ガンダーラ
紀元前1世紀~1世紀「ラクシュミー女神像奉納板」が3点。いずれも小品ながら精緻極まる技巧。
「菩薩立像」「仏陀坐像」2~3世紀、クシャン朝の最初期の仏像の姿を示すガンダーラ仏の優品。

第2章 アフガニスタン バーミヤン
イスラム過激派タリバンによるバームヤン大仏の破壊は2001年、あれから既に9年経過したとは思えない。まだつい先日のことのようだ。
破壊もまた歴史の中で言えば、点のひとつ。
貴重な文化財だと思う立場の人間もいれば、他宗教による許しがたい偶像として暴力的な破壊行為に及ぶ人もいる。
日本においても、明治期には急激な神道復興による廃仏運動が起こり、多くの貴重な仏像が破壊、捨てられるという行為があったのだ。他国のことを言える立場にはないだろう。

だからと言って、私は文化財保護が不要だと言っている訳ではない。自国の文化を自国で守れぬようなら、他国から手を差し伸べることも必要だろう。
第2章の展示作品は、大半が流出文化財保護日本委員会保管とされている。これらはいつか、アフガニスタンの政情が落ち着いたら、かの地へ返還するのだろうか。

第2章では先に述べたバーミヤン石窟の天井壁画の一部(かけら)が多数展示されている。
中には、非常に美しく発色しているものもあったが、これらは東京藝大において修復を行ったためであろう。

第3章 中国 西域

ここでも注目すべきは壁画である、新疆ウイグル自治区キジル石窟の「菩薩像」7世紀「人物像」7~8世紀、同じく自治区ミーランの「有翼天使像」3~4世紀は素晴らしい。特に「有翼天使像」の右斜めを見つめる姿が何とも言えない。

これらも、山梨・平山郁夫シルクロード美術館所蔵であるが、私財を投じて購入したものと考えて良いのだろうか。
他に特筆すべきは東博所蔵の「舎利容器」6~7世紀。
大谷探検隊将来の作品で前面に総額などの場面や天使の姿が細かく、かつ美しく彩色された西域美術の傑作。正倉院宝物ともつながるよう図像である。

第4章 中国 敦煌
敦煌と言えば、敦煌莫高窟の存在は欠かせない。
「二菩薩立像」「地蔵菩薩立像幡」など貴重かつ珍しい敦煌仏教美術作品を堪能。
また、則天皇后が使用した則天文字が記された経典「大方広仏華厳経 巻第八」京都国立博物館蔵で、その文字の特異さとなぜ、その文字を使用したかの不思議に思いをはせる。呪術的な意味合いがあったのだろうか。

第5章 中国 西安・洛陽・大同
まずは仏頭。山西省雲崗石窟のものだが、いずれも北魏時代の仏像の特徴的な微笑みと表情、顔の表現を観ることができる。

「四面物」東博蔵、は四面に全て石彫が施される佳品。いずれ、東洋館完成後、再びお目見えするだろう。

第6章 カンボジア アンコールワット

プノンペン国立博物館蔵「観音菩薩立像」をはじめ、同館から貸し出されたカンボジアの仏像が5点あるので必見。

個人的には地味であるが、非常に高い技術できっちりと寸分の狂いなく制作された「合子」が気に入った。
隣のお客様が「合子って何?」とおっしゃっていたが、確かにそういう基本的な解説はないなぁと思った次第。
ちなみに、蓋つきの小さな入れ物のこと。

第1部の照明は2部に比べて全体に明るい。
特色は展示ケースが山並みをかたどっていること。
ケースを回っていると山の間を歩いているような、気分の盛り上げが上手いな~とひたすら展示の妙に感心しました。

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お名前が分からない方へ

お返事遅くなりました。
会期は通常より長めだったと思いますが、
ご都合が合わなかったのは残念でしたね。
予想以上に良い作品、良い展示でした。

No title

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