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「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(前期) 府中市美術館

江戸の人物画

府中市美術館で開催中の「江戸の人物画 姿の美、力、奇」前期展示に行って来ました。
展覧会のサイトはこちら。*作品リストあり。

こちらの展覧会も当初3月19日から開始の予定でしたが、震災の影響により25日からの開催となりました。しかし、このご時世、企画展の相次ぐ延期と中止の報が続く中、開催していただけるだけでもありがたい。

これだけは見逃せない!と思っていたので、朝一番で出かけてきました。
本展は、江戸の動物画、山水画に続く同館の江戸絵画シリーズで、今回は人物画をテーマに、江戸時代に描かれた人の絵を99点(前期56点、後期52点)の作品によって紹介するもの。
「なぜ人を描くのか、何のために描くのか」を考えるヒントになるような展覧会を、というのが企画意図となっています。

描かれたさまざまな「人のかたち」に注目し、狩野派、やまと絵、浮世絵、禅画、文人画、洋風画、蘆雪に若冲、円山四条派、曽我蕭白と多彩で珍しい人のかたちが勢揃い!

毎度のことですが、今回の展覧会はいつも以上に力の入った会場作り。黄色の入口が期待を膨らませるのに効果的です。
まず、黄色の門のような入口を抜けると、いきなり円山応挙の巨大な掛幅≪布袋図≫(名古屋市博物館蔵)、春木南湖≪項羽図≫(個人蔵)がど~んと鑑賞者を待ち受けています。
まずは、ここで度肝を抜かれ、圧倒される。
特に、応挙の布袋図は思わず顔がほころんでしまいました。名古屋市博、良い作品持ってるんですね。知らなかった。

この2点が導入部。

本篇はこれ以後に始まります。
展覧会は、以下の7つのテーマでそれぞれのテーマに沿った人物画を紹介。
・美の百様
・「迫真」のゆく
・聖の絵姿
・ポーズ考
・海の向こうの不思議とロマン
・人という営み
・かわいい

以下印象に残った作品です。

菱川師宣「紅葉下美人図」(個人蔵)を愛でつつ、師宣やっぱりいいわ~と思いながら、進んでいくと、いきなり奇妙な一幅に出くわす。

・志村榛斎≪見立江口君図≫(個人)
後期に展示される勝川春章の同名作品と比較すると、その違いが良く分かる。残念ながら展示会場では前期・後期と展示期間が異なるため、並べて比較することはできないが、図録上で両作品は並んでいる。
白像のにたりとした顔が何ともユーモラス。そして象の背中の上には波が描かれ、なぜかその上に江口の君が乗っている。波の描写も勝川春章のそれより細かくてカラフル。

・椿椿山 ≪高久靄像稿≫(栃木県立博物館)
・大久保一丘 ≪伝大久保一岳像≫ (府中市美術館)
・円山応挙 ≪三美人図≫(徳願寺)
・葛陂古馮 ≪関羽像≫ (個人)
今回、一番印象に残った作品は、冒頭の応挙≪布袋図≫とこの葛陂古馮≪関羽像≫だった。
暗闇からぬ~っとたちあらわれる≪関羽像≫は何とも不気味で、霊力のようなものを強く感じる。
関羽のオーラを出すことまで作家の狙いであるとするなら、葛陂古馮は見事にそれを実現していると言えよう。

・太田洞玉 ≪神農図≫(府中市美術館)
・渡辺崋山 ≪ヒポクラテス像≫ 九州国立博物館
九博へ初めて行った際に、この≪ヒポクラテス像≫を観て、あぁやっぱり崋山は素晴らしいと感銘を受け、忘れられない1枚となった。
久々に再会できて実に嬉しい。この作品は単なる西洋画の模写かもしれない。しかし、江戸時代にこれだけの技術をもってして、西洋画をおのずのものとした画家は少ない。これらの作品では瞳の描写に注目して欲しい。

・呉春 ≪松尾芭蕉像≫(個人)
何と言うことのない人物画であるが、私が描く松尾芭蕉という人物のイメージと、呉春と芭蕉の両者の関係まで想像できる人物画。絵から温かみとともに威厳が溢れる。仏画のように正面を向き、中央に描かれた松尾芭蕉は、俳人というより僧侶のように見える。

・作者不詳≪舞踊図≫(京都国立博物館)重要文化財
描かれたのは寛永年間(1624年~1644年)とされる。桃山時代あたりからこうした風俗図が描かれるようになる。本作品も色とりどりの小袖を着用し、扇を持って舞う6人の婦人図が横に並ぶ屏風絵。

応挙の立派な≪鍾馗図≫(大乗寺)も良かったが、

・谷文晁 ≪法隆寺五重塔塑像図≫(名古屋市博物館蔵)は凄かった。
初見作品だが、現存する法隆寺五重塔にある塑像を写したものと思われる。圧巻なのは、釈迦の涅槃を悲しむ羅漢のポーズや表情が激しい。

・曽我蕭白 ≪蝦蟇仙人図≫(個人) ≪美人図≫奈良県立美術館) ≪太公望・登竜門図≫(個人)他
蕭白は本展で、前期作品7点を出展。
一番のお目当ては≪美人図≫。嫉妬なのか裸足で水色の女がボロボロになった文を咥えて立っている姿は怖い以外の何物でもない。

・歌川広重 ≪命図≫(個人)
広重はそれ程好きではないけれど、本作のような機知に飛んだ作品に出合うと、いいなぁと思う。

・林りょう苑≪妖怪図≫(個人)
彼は大阪の絵師で、過去に大阪歴史博物館の特集展示で何点か作品を観て忘れられない画家になった。本作品は戯画風であるが、中国画の流れを組んだ精緻な美人図なども描く。

・小川破笠 ≪なぞなぞ≫(瓢箪と茄子)図
小川破笠にもこんなユーモラスな作品。野菜を擬人化した作品があるのだと驚く。しかし瓢箪を秀吉、茄子を家康にたとえた風刺画とも言われていて、なかなかに謎めいている。

・池大雅≪柳下童子図屏風≫(京都府立総合史料館) 重要文化財
これが観たかった。私の好きな大雅の屏風絵。中央に川にかかる橋から身を乗り出して魚取りをしているのだろうか?童子が2人。
日常に見かけるひとコマをスケッチしたかのような、のどかな風景と童子の図であった。


*前期展示:4月17日まで、後期展示:4月19日(火)~5月8日
計画停電で同館が停電になる場合は一時的に展示を観ることはできませんので、美術館ホームページにて開館時間等をご確認ください。
もちろん、強くオススメします。後期もほぼ総展示替えとなっていますので、お見逃しなく!

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