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「原口典之・若江漢字」展 横須賀美術館

横須賀

横須賀美術館で本日4月10日が最終日の横須賀・三浦半島の作家たちⅠ「原口典之・若江漢字」展に行って来ました。

原口典之と言えば、2009年の横浜Bankartでの個展があまりにも衝撃的で、その名を忘れられなくなった。
2009年の個展過去ログ:http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-665.html

その原口典之の展覧会が2年ぶりに開催されるというので、これは行かねばと思っていたら最終日になってしまった。
しかし、つくづく行って良かったと思う内容だった。

本展は原口典之(1946~)と若江漢字(1944~)はともに第二次世界大戦後に横須賀に生まれ、現代社会に対して時に懐疑的、批判的な立場で制作を行って来ました。
本展では、原口の平面作品と若江の写真、インスタレーション作品を取り上げモノに対する両者の違いに注目しジャンルにおいても対照的な展示を行います。~展覧会パンフレットより一部抜粋。

まずは、若江漢字の作品から振り返る。

展示室1:「写真」
若江の1970年代の写真が展示されている。
大変恥ずかしながら、若江漢字は今回初めて知った作家、ご自宅の敷地内にカスヤの森現代美術館を建設し、運営していらっしゃる。同美術館のことは知っていたのに、肝心の若江氏のことを知らないとは本末転倒も甚だしい。
これを機に、必ず年内にカスヤの森現代美術館に行くことに決めた。

のっけから、ぐいぐい引き込まれる写真が並ぶ。
・「石と木」19070年
木の上に石がのっかっているモノクロプリント。

しかし、この後続く写真は、写真に加工を施し、例えば、小さな穴をあけて写真の下にある台を見せてみたり。「見る事と視える事」のシリーズは、カメラを通して視点を変えることで別の世界を見せるという、若江の言葉が、私がここ最近写真を見るたびに考えることへのひとつの答えを呈示してくれていた。

写真+写真のコラージュや写真の一部を切り取ってメビウスの輪を作ったり、鑑賞者へ視ることと見ることの違いを投げかけて来る。

展示室2:「雷音」

この展示室2のインスタレーションが素晴らしかった。
≪雷音≫1999年は、鉄の避雷針、鉄の棚、アクリル、石炭、灰、ネオン等を材料にエネルギーの変遷を作品化したもの。
東日本大震災後、俄かに原子力発電所の存在からエネルギー問題に脚光が浴びている昨今、本展は3月11日のちょうど1カ月前に始まったが、まさかこんなことになろうとは。。。いや、1990年代、それ以前から若江はエネルギー問題に着目していたに違いない。
この作品は18世紀の産業革命から、木炭→石炭→石油→広島・長崎への原爆投下→原子力発電と一連のエネルギーの道を作っている。作品の中央には小さな十字架がまるで、墓碑銘のように立てかけられている。
エネルギー変遷の背景に、一体何が起きていたか。何を人類は犠牲にしてきたのか。
改めて問いかける作品で、あまりにもタイムリーな出会いだった。

反対側の壁面には写真彫刻と言うべき≪気圧≫6点組の作品が並び、こちらも写真と石炭、背景は鉱山だったのだろうか、こちらも美しさの中に、辛辣な批判が籠っている作品だった。

≪A-Ω≫1999/2004年は、この展示室の中央にあったが、この作品が一番意味が分からなかった。
グレーチング、ブリキ缶、ピンポン玉、フラスコ、硫黄、体温計、温度計あの作品は一体何を象徴していたのか。

≪黒い雨≫2004/2006年は、タイトルからも分かるように広島の原爆について作品化したもの。原爆ドームの写真とともに、黒い雨を意味するタールでできた雫の連なり。重く黒い。

展示室3:「アフリカにて」

若江の関心は、エネルギー問題にとどまらず、アフリカの存在に向けられた。
ガラスやシルクスクリーンでアフリカ大陸を強調して、表象化する。

作品の合間に展示されていた≪我が街≫2002年(15点組)は、15色にアクリルの3分の1を異なる色で着色し、残りの3分の2には横須賀の風景の写真。これが実に美しく素敵だった。

原口典之の作品について。

今回は、冒頭に記載したように平面作品で、従来の原口典之作品のイメージを一旦壊すことが作家の目的であったようだ。
展示作品には作家本人の言葉がキャプションとして添付されている。
原口の平面作品は、紙に鉛やゴムを貼り付けるもの。

いかにも原口らしい作品だが、白い紙の上で、強い存在を放つ鉛や真っ黒なゴム。物質の重力、無機的でありながらも、しっかりと存在感を放つ物質。
壁面一面を使用したドローイングやグワッシュ作品の組み合わせ。

作品の中には、数式が書かれたメモのようなものも貼られていて、2009年に視た巨大な飛行機や立体作品の制作過程の一部が伺われる。


横須賀美術館に来たら忘れてならないのが常設展示。
ここは、毎回常設で私の好きな朝井閑右衛門のコーナー(今回は朝井閑右衛門の中国風景)や特集展示「パステルと水彩による風景画-木下コレクションを中心に」がとても良かった。

朝井の中国風景は初めて観た作品ばかりで、洋画だけでなく墨画も描けるとは知らなかった。
水彩画は前回来た時に気に入ってしまった矢崎千代二の水彩を再び堪能。

他に近代洋画のコレクションも充実している。
これに加えて、別館で谷内六郎作品の展示もしており、これを観るたびに心が和む。今回も愛らしい作品が多かった。地元のお菓子店の包装紙デザインも谷内が手掛けており、現在もなお包装紙は使用されている。

横須賀美術館は、何度来ても居心地が良く私の好きな美術館の一つだ。

*本展は既に終了しています。

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