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「池田遙邨展 ー旅と自然を愛した画家ー」 碧南市藤井達吉現代美術館

池田

碧南市藤井達吉現代美術館で5月8日まで開催中の「池田遙邨展」に行って来ました。
美術館のHP → こちら

池田遙邨は、以前大阪で、「雪の大阪」という作品を観た時に初めて意識した。その後、あちこちで1点ずつ見かけることはあったが、まとめて観たいとずっと思っていたところ、今回の展覧会の開催を知り、とても嬉しかった。

本展では、およそ80年に及ぶ遙邨の画業を、初期(10~20歳代)、中期(30歳代~戦前)、円熟期(戦後~80歳代前半)、晩年(80歳代後半~没年)の四期に分け、倉敷市立美術館所蔵の代表作を中心に振り返ります。

感想を記す前に、碧南市藤井達吉現代美術館について触れておくと、この美術館は私の好きな美術館の一つで、いつ訪れてもとても落ち着く。更に今回は、作品リストに加え、『遙邨物語』というA3二つ折の両面(合計4面)に漫画で池田遙邨の生涯と画業を分かりやすく説明するシートが作成されていた。
これが、実によくできていて、遙邨の人となりやその人生がうまくまとまっていて、最後にそれを読み返したら、更に展覧会の理解が深まった。
この遙邨物語は他の巡回先でも配布されているのだろうか?
とても良いアイディアだと思う。
漢字にはふり仮名がすべて付されているので小学生でも楽しく読める。
親子で訪れるのにもオススメの展覧会。

そして、展覧会の内容はと言えば、素晴らしかったの一言に尽きる。
幼少時より絵が好きで、洋画から絵の修業を始めた遙邨だったが、大正2年に同じ岡山出身の小野竹喬と出会う。
初期作品の激しい作風の移り変わりは、衝撃的で、紙に水彩で描いた粗いタッチの作品と大正8年(大正8年に竹内栖鳳に入門)以後の絹本作品の緻密さとのギャップが同一人のものとは思えない。

私の知っている遙邨の作品の一部は大正8年~14年頃までの作品である。
・南郷の八月
・颱風来
・空
・災禍の後 ⇨ 大正震災の1年後秋に描かれた。関東大震災の様子を描いたものだが、この作品は文展で落選。
・貧しき漁夫 ⇨ 洋画の影響が強く伺われる。この時期ムンクやゴヤなど人生の暗部を描く画家に影響を受けていた。

中期、災禍の後が落選の後、栖鳳のもとを去り、京都を離れ倉敷、岡山を放浪。所持金がなくなり再び京都に戻ると神社や寺の古い作品をひたすら模写する。
参考出品としてこの頃の模写スケッチも出展されている。

ついに大正15年作風がガラリと変わり再び帝展で入選を果たす。

更に面白いのは歌川広重に憧れ東海道を3度も旅して、あらゆる場所を歩きながら描いた。

・富嶽十景
・昭和東海道五十三次 ⇨ これは画帳になっていたが、岡崎の伊賀川堤の頁が展示されていて、当時(昭和6年)と今との比較を知る事ができ非常に興味深かった。
・祇園神社  個人蔵  絹本でありながら、厚塗りで油彩のようにも見える。
・雨の大阪  ⇨ 京都市美術館で以前観ているが、何度観ても好き。
・日光山 姫路市立美術館蔵

昭和8年頃には冨田渓仙に影響を受ける。渓仙も竹喬も好きなので、だから遙邨が気になっていたのかもしれない。

戦後、彼の作風は一段と変わる。
昭和23年頃から幻想的で童画を思わせる作風へ。
思わず古賀春江を思い出した。遙邨は古画を学びつつも、時代の潮流に敏感でそれを自身の作品に取り入れているように感じる。また、その後作品の中に動物が必ず描かれるようになる。
・幻想の明神様
・石    ⇨  石ブームがこの時代にあり、遙邨は1000枚も写生したという。
・飛石
・鳴門 ⇨ 奥村土牛の描いた鳴門と比較すると構図の大胆さ、斬新さが目を引く。
・叢

しかし、最晩年にはついに本当の独自の道を見つける。
そこには時代も流行もなく、ただただ自分と 向かい合う旅を愛する老画家の姿が浮かんで来る。

そして旅に生きた詩人種田山頭火の句を絵にするシリーズを始める。昭和63年で92歳に亡くなる直前まで28点もの山頭火シリーズを生み出す。

山頭火の詩と遙邨の絵はぴたりとあって、詩のイメージが増幅していくようだった。自らの姿を絵の中の旅人(僧)に重ねていたのではないか。

本当に良い展覧会だった。
なお、会期中前・後期で展示替えがあります。
前期は4月24日まで、後期は4月26日~5月8日までです。

碧南市藤井達吉現代美術館へは、名古屋からJRまたは名鉄で刈谷駅まで出て、刈谷から三河線で30分乗車し碧南駅で下車。徒歩6分です。

オススメです。
この後、倉敷市立美術館が最後の巡回先となります。お見逃しなく。

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ボギー鈴木様

コメント有難うございます。
K様がどなたであるかは、しっかり認識しておりますので
この次お目にかかることがあれば宜しくお伝えください。

ご参考になるようなことはなかなか書けませんが、細々と続けて
参りますので今後とも宜しくお願い致します。

さしあたり、刈谷市美の蕗谷紅児展の記事をあげねばと思っています。

美術鑑賞の参考として

 はじめまして。以前に愛知県美術舘や豊田市美術館のイベントでお見かけしたことがあります。名古屋市在住のKさんからこのブログのことを聞き、投稿してみました。本日5月4日、私も碧南市藤井達吉現代美術館に、「池田遥邨」展を観てきました。後期展示でしたが、時間を無理にでも作って前期も観に行けばと後悔しております。昼からはKさんと岡崎市美術博物館の「桃源万歳」展の作家トークを鑑賞し、図録にサインをいただきました。これからも、このブログを参考にして美術鑑賞の参考にしたいと思います。

遊行七恵様

こんばんは。
お加減いかがですか?

なるほど、海の杜美術館におられた方なのですね。
ぜひ、小野竹喬物語も見たいです。
あれは保存版として残すことにしました。
遙邨、本当に良かったです。
渓仙、遙邨、小杉未醒がベスト3かな。。。いや他にもまだまだ。

こんばんは
実はわたしが「日本画の展覧会」にのめりこむきっかけがこの遙邨の絵でした。
没後すぐの回顧展「美の旅人」展のCMを見て、突き動かされるように京近美へいったもんです。
ほのぼのした世界がたまらなくいい・・・。

遙邨物語、描いたのは「海の見える杜美術館」にいた方なんです。
彼女は他にも竹喬物語もさらっと描いています。
今は違う場でお仕事されてるので新作はないんですが、わかりやすくて可愛いのがいいですよね。
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