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特別展「黄檗―OBAKU 京都宇治・萬福寺の名宝と禅の新風」 九州国立博物館

黄檗

特別展「黄檗―OBAKU 京都宇治・萬福寺の名宝と禅の新風」九州国立博物館 3/15(火)~5/22(日)
展覧会公式サイト:http://obakuten.jp/index.html

日帰りで約3年ぶりの九州国立博物館。前回初めて訪れたのは2008年に開催された「国宝 大絵巻展」のためだった。
今回は、この特別展「黄檗―OBAKU 京都宇治・萬福寺の名宝と禅の新風」がどうにも気になって、4月頭くらいに計画を練り始めた。何しろ、本展のパンフレットの強烈な黄色と「熱烈歓迎!隠元和尚」という中国的なキャッチコピーが頭から離れない。

東京⇔九州は距離もあるので費用もかかる。如何にして安く交通費をあげるかが課題だったが、スカイマークのバーゲンチケットを熊本→羽田5800円のチケットが取れ、往路は羽田→福岡が9800円の早割で合計航空運賃15600円と大阪へ行く新幹線代片道と左程変わらない金額となった。

さて、展覧会の概要や主要な作品画像は上記公式サイトに詳しいため、ぜひ九州までは無理という方はそちらをご覧ください。
結論から言えば、今年のマイベスト10入り間違いなしの非常に興味深い内容で会場を進む度に新しい発見と驚きがあり、ワクワクした。展覧会でこんなにワクワクしたのは久しぶり。
冒頭から最後まで、一瞬たりとも気が抜けない展覧会だった。

隠元禅師が来日した当時、中国は明の時代。
宋時代から明時代までの中国美術に関心がある私にとって本展がツボにはまったのは、当然の帰結と言える。
実は黄檗宗については、伊藤若冲が晩年身を寄せその門前前に自宅を建て生涯を終えたという石峯寺が黄檗宗の寺院ということしか浮かばなかった。

しかし、案外前知識のない方が楽しめるかもしれない。

冒頭で「弥勒菩薩(布袋)坐像」江戸時代(18世紀) 長崎・聖福寺に満面の笑みで迎えられ、朝一番に入館した時、少し離れた所から高らかな読経が聞こえて来る。てっきり録音で流しているのかと思いきや、「巡照朝課(じゅんしょうちょうか)」という会期中毎日9:30~9:40に隠元禅師倚像前で唐韻で読まれる朝のお勤めであった。
実際の佐賀県と福岡県の黄檗宗のお寺さんから僧侶の方数名が朝課をされているとのこと。観ることは叶わなかったが、高らかで清らかな唐韻のお勤めは、こちらの気持ちまでも清らかになるような清澄さがあった。

しかし、目の前に続くのは濃厚な仏像群の数々。
本展で一番驚きかつ感動したのは、中国人渡来仏師范道生(はんどうせい)によって制作された仏像だろう。
特に、光背と台座を合わせると4.9mと巨大な「白衣観音坐像」范道生作(1662年)は、恐らく長崎で作られ、その後、萬福寺に運ばれたとされる。普段は萬福寺禅堂に安置され、本展初出陳。
予習なしに行ったので、その後ろにあった同じく范道生作の「跋陀羅尊者」(十八羅漢像のうち)の背中の衣の絵柄を凝視しするあまり、巨大な「白衣観音坐像」の存在にまるで気付いていなった。振りかえった時、何を観たのか一瞬目の前のもののあまりの大きさと壮大さ華麗さに声を失う。

范道生作の仏像で注目すべきは中国式の衣の表現。この観音は、頭上に百衣を被っている。もう一つは台座に作られた細工の数々。これは現在、奈良博に巡回中の「誕生!中国文明展」で観た楼閣にあった動物やら鳥やらの細かい木彫に目を奪われる。観れば観るほどいろんな生き物が出て来るので観飽きることがない。
肝心の観音像の御顔は、日本の仏像とそれほど大きな違いはないように思った。しかし、江戸時代にも関わらず、この「白衣観音像」は脱活乾漆造で観た目に比べて実は軽い。脱活乾漆造の仏像と言えば、阿修羅像が国内ではつとに有名だが、あちらは時代が大きく隔たる。江戸時代に日本人仏師によってつくられた脱活乾漆造の仏像を私は残念ながら知らない。

范道生作の仏像は前述の十八羅漢像のうち2体をはじめ、本展の大きな見どころで、日本様式とは異なる中国式の仏像彫刻を観るまたとない機会である。
前半にあった、誕生仏が唐子の姿をしているのもまた驚きだった。中国式の誕生仏は前掛けと帯をたすき状にかけた唐子の姿を取っているらしい。所変われば何とやら・・・。

黄檗は日本に様々な文化をもたらした。
例えば、木魚。
通常、木魚といって浮かぶのはおまんじゅう型の丸いものだが、黄檗では木製の魚、文字通り木魚を打ち鳴らす。
魚は夜も目を開けていることから眠らず修業に精進せよという教えで、黄檗宗のものには魚のモチーフがよく登場する。本展で展示されている萬福寺蔵の木魚の原型「飯ぼう」1805年全長2m30㎝のもの。

次に絵画に目を向けよう。
同じく明後期~清時代初めの絵画作品「百衣観音図」陳賢作を中心とし、左右に「嘗瓜菓羅漢図」「倚杖羅漢図」を配するこの巨大な三幅にも驚いた。三幅とも紙本墨画淡彩。
太く濃淡でアクセントを付ける描線は後の江戸の日本人画家に、多大な影響を与えたのではないだろうか。
陳賢は来日したことはなく、明~清に黄檗寺院で活躍した中国の画家。

後半最後は絵画作品が続く。
中でも、河村若芝筆「群仙星祭図」や「十八羅漢図」(18幅のうち2幅)の岩や虎の表現は珍しく、後の若冲や蕭白に影響を与えたというのもうなずける。

そして、もうひとつ私の好きな池大雅「五百羅漢図」(全8幅)重文・萬福寺(前期・後期4幅ずつ展示替え)を観られたのは実に嬉しかった。
池大雅のちょっと緩い大幅は私の最も好むところ。
五百羅漢図と言えば、現在江戸東京博物館で、狩野一信の五百羅漢図全100幅を公開中で、今年は羅漢ブームが起きそうな勢いだが、大雅の五百羅漢図に描かれた羅漢達は実に楽しげな様子である。
画面のうち、羅漢の衣が黄色や茶色っぽいのは金泥などを使い指やこよりを使って描かれているらしい。

池大雅が本図を作成するに際し、参考にしたのが「五百羅漢図巻」伝王振鵬筆・明時代・萬福寺。
こちらも墨のみで細い線で描かれた巻物は何と長さ13メートル。展示で見せていたのは、そのうち1メートルにも満たないかもしれない。全部見せて欲しかった・・・というのは贅沢過ぎるだろうな。
大雅より線も内容も堅い。

他にも語り尽くせぬ程、貴重な黄檗宗関連の作品や、黄檗宗が如何なる経路や経緯を通じて日本にもたらされたかが分かりやすくパネルで説明されていた。
本展図録にも掲載されている、会場入口にあった黄色が背景の愛らしいイラスト入り解説は、分かりやすいうえに、観客に読む、観る気持ちを喚起させる。

隠元が最初に辿りついた長崎や福岡など九州地方で所蔵している作品と京都の萬福寺所蔵の黄檗文化名宝の数々。本当に堪能し、益々黄檗宗に興味が湧いてきた。
来年あたり、京都宇治にある萬福寺には是非行ってみようと思う。

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侑子様

はじめまして。
コメント有難うございます。

私にとって今回の特別展は非常に興味深い内容でした。
図録も会場と同じイラストで黄檗の流れや特徴をイラストで
説明してあって、楽しい1冊です。

画像については、基本的にアップしない主義なのです。
せっかく教えていただいたのにごめんなさい。

junko様

8月の蓮の時期にぜひ行ってみようと思います。
教えて下さって有難うございます。

黄檗展

はじめまして。
美術展のレビューなど時々読ませていただいてます。
黄檗展、なかなか興味深かったですよね。
よく見られていて素晴らしい感想に感動しました。

ご存知かもしれませんが、九博では特別展の感想をブログに書く人のために、画像を提供してくれます。今回来ていた仏像のアップも含まれていて大変興味深いので、一言申し添えます。(「ぶろぐるぽ」にエントリーする必要がありますが、展示終了後でもよかったと思います。)

No title

京都・宇治の萬福寺は、本当に素晴らしいお寺です。6月後半から、8月初旬は境内中に蓮の花が咲き乱れ、それはそれはきれいです。
私はその萬福寺で、毎月第1日曜日に、ヨガの会の講師をさせていただいています。萬福寺のホームページにもアップされています。
ぜひ、蓮の花と布袋様、そして良かったら、ヨガも体験してください。
お待ちしています。。。
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