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「桃源万歳!―東アジア理想郷の系譜-」 岡崎市美術博物館

桃源万歳

「桃源万歳!―東アジア理想郷の系譜-」 岡崎市美術博物館 5月22日(日)で終了

陶淵明の創作よる桃源郷の世界をテーマに、中国絵画から現代作家6名による新たな桃源郷への挑戦、そして小説や諸星大二郎の漫画における独自の桃源郷世界などを多面的に展観する内容。

前期、後期と2度行った。特に後期は、震災によるガソリン不足で全会期を通じて出展予定だった三瀬夏之助氏の作品が後期のみ展示となったため前後期と足を運んだが、結果的に2度とも同じ印象-近代以後から桃源郷を描いた絵画様変わりし、これらの作品を桃源郷的世界を描いたと言いきるには無理があるのではと、しっくり来ないのだ。

展覧会の構成は次の通り。
Ⅰ.陶淵明 
Ⅱ.描かれた桃源郷 
①中国・韓国の桃源郷絵画 ②-1近世日本の桃源郷絵画 ②-2蕪村における桃源郷
③近世から近代へ-鉄斎の桃源郷絵画
i 西洋ユートピア思想の系譜  近代日本のユートピア
Ⅲ.近代における桃源郷的世界 
①新南画における桃源郷絵画-芋銭、放菴、竹喬の桃源郷
②桃源郷的世界-田園、島、故郷
③近代文学における桃源郷
Ⅳ.現代の桃源郷
このうち、「現代の桃源郷」は展覧会の冒頭に、今村哲、奥村美佳の桃源郷をイメージした新作が展示されているので、作品展示順序は、構成と若干異なる。

現代美術の桃源郷に関して言えば、奥村美佳の3点「桃花の谷」「洞窟」「隠れ里」2011年が一番ストレートに桃源郷の創作世界を表現していた。
展覧会のラスト、細い通路のような場所に展示された現代美術の作品は、一見しただけでは桃源郷と結びつけるのはかなり苦しい。4月に開催された、奥村美佳、関智生、三瀬夏之介の3名によるアーティストトークを拝聴したが、三瀬夏之助「山ツツジを探して」は、本展に出展されている富岡鉄斎の「武陵桃源図」へのオマージュとのことだった。堂々とした水墨の大屏風は、いつものような箔の使用がなく、墨と胡粉勝負でもくもくとした山なみ(Ⅱ見えた)に埋まりそう。あれだけの屏風絵なので、離れた位置で引いて観たかったが、通路が展示スペースでは狭過ぎて残念。

中国絵画好きとしては、やはり前半から中盤あたりが一番萌えた。
・伝仇英「桃花源図巻」17世紀 セントルイス美術館
・査士標「桃源図巻」1665年 ネルソン・アトキンス美術館
・袁江「桃花源図」プリンストン大学美術館
・黄晴湖「武陵桃源図」 長崎歴史博物館
このあたりは、アドレナリンが全開になっていたと思う。
特に、査士標の「桃源図巻」、伝仇英「桃花源図巻」、董其昌「武陵桃源図」の巻物は微に入り細に入り、じっくりと。彩色のものは、緑が美しい。中国絵画と言えば、やはり大幅な掛軸も観たい。そして、出会ったのは袁江「桃花源図」。これらはセントルイス美術館、ネルソン・アトキンス美術館、プリンストン大学美術館とアメリカの美術館所蔵品なので、めったに観ることはできない貴重な作品。これが最後かもしれない。

近世日本、江戸期の桃源図では、松村呉春「武陵桃源図」が抜きん出ていた。池大雅は好きなのだが「桃花流水」はちょっと迫力不足。先日、千葉市美術館で拝見した鈴木鵞湖「武陵桃源図」も今まで観た鈴木鵞湖の中では最高。山元春挙「武陵桃源図」滋賀県立近代美術館蔵は、目が覚めるような色彩の美しさと緻密さ。結局、春挙が好きなんだな、私は。どうしても彼の絵の前で必ず立ち止まる。コレクションを持っているのに常設のない、岡崎市美術博物館蔵の橋本関雪「帰去来図・武陵桃源図」も艶やかな六曲一双。

近世までの桃源図は、


同じく「武陵桃源図」を描いた與謝蕪村、富岡鉄斎あたりは流石。特に後者、鉄斎の「武陵桃源図」「蓬莱仙境図」京博蔵の六曲一双は、座ってじ~っと眺めていた。陶淵明の創作イメージを作家なりに咀嚼しつつも忠実にストレートにイメージ化されているので、観ている方としては分かりやすかったし、桃源郷世界へ入り込みやすかった。

しかし、近代以後次第に状況は変化してくる。
小川芋銭や小杉放庵、小野竹喬までは良かったのだが、今村紫紅、森田恒友、小川千甕、酒井三良、野口謙蔵らの作品を「桃源郷的世界」として紹介するのは何度行っても違和感があった。
恐らく、彼ら作家自身もそんな意識はなかったのではないか。ちょっとこじつけ感があって、近世までの流れが、近代で、ぷっつり途絶えた印象を持った。

そして、次に続く現代の作家による桃源郷は前述の通り。

図録は、展覧会より充実している。
掲載論文はいくつあったか、、、秋田県立美術館長であり日本美術史家の河野元昭氏はじめとする、豪華な執筆者を迎え、桃源郷について、ユートピアとの違い等、様々な視点で論じられている。

良い作品はいくつも出ていたが、後半だけが消化不良となってしまった。

本展は、長きにわたり同館の館長であった芳賀徹氏の退官記念展にもなっている。アーティストトークにも客席最前列から、様々な突っ込みを入れられ、本展への意気込みを感じた。長きにわたり、素晴らしい展覧会の数々、心から感謝致します。

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