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「椛田ちひろ-目をあけたまま閉じる」 アートフロントギャラリー

椛田ちひろ

「椛田ちひろ-目をあけたまま閉じる」 アートフロントギャラリー 6月17日~7月10日
http://artfrontgallery.com/exhibition/archive/2011_06/655.html

東京都現代美術館で開催された「MOTアニュアル2011」、馬喰町のギャラリーαMでの「成層圏Vol.1:椛田ちひろ『「私」のゆくえ』」と、今年に入って立て続けに、椛田ちひろの作品を拝見した。

MOTではボールペンでカーテンのような白布(素材はテトロン)にひたすら線の痕跡を付け塗りつぶさんとするようなインスタレーションを。ギャラリーαMでは樹脂やアルミを使用した極端に削ぎ落された平面作品を展開。また、一見コールタールかと見まごうような真っ黒な絵画もαMでは、唐突に見え、彼女の作品の方向性が私にはよく分からなかった。

あまりにも分からないと、感想もまとめられず、ただただ両会場で拝見した作品の大きな相違だけが、強く記憶に残った。そして、分からないものは追いかけたり知りたくなるのが常。

上記2つのグループ展、個展に続き、代官山のアートフロントギャラリーでの個展を観て来た。
そして、漸く私の中で彼女の作品が結びつけられた。
アートフロントギャラリーは、ギャラリーとしては広い展示スペースを持っている。

手前にあるガラス張りの展示室では、MOTで見せたカーテンのような布にボールペンドローイングを施した作品に姿見程の大きさの鏡を等間隔に配した≪星がうるさくて眠れない≫2011年がインスタレーションとして展示されている。
今回はMOTの時と違って、布がうねうねと迷路のように吊り下げられているため、鑑賞者はその中に入って、ドローイングに囲まれるという体験をすることが可能。
外から観た時と、内側に入り込んで作品を観た時とでは、感じ方が異なる。
鏡を置いた効果は、あまり感じられなかったが、空間としての拡張性を狙ったのだろうか。寧ろ、照明の方が気になった。ギャラリーの方のお話によれば、この展示室では照明が一番悩ましかったそうで、今現在もこれで良いのかと思っているとのことだった。
季節は6月、明日は夏至。
個人的には、照明に頼らず、自然光でこの作品を観たいと思った。雨の時、晴れた時、夕方から夜にかけてと昼まではこの作品は様々に表情を変えるように思う。

一方、メインスペースは奥の展示スペースへ入る通路を境界≪不確かな地点≫2011年として、空間構成を2分している。
≪不確かな地点≫は、昼間と夜、もしくは時間軸を仕切る役割を果たしており、鏡を支持体にアクリルで黒の線を走らせる。

特に素晴らしかったのは≪不確かな地点≫を越えた奥の展示スペースで、こちらは「闇」の世界を構築している。
入って正面にあるのは≪井戸の中の月≫2011年。ボウルの内側に墨を使用してペイント、中にはたっぷりと水がたたえられている。墨色が水に溶けだし、水自体が黒っぽくなっている。
そして周囲には油彩≪この星降る闇≫が大きさや支持体(カンバスとタイル)を変えて展示されているが、こちらも黒が主体で一部に流れ星のような白の痕跡が描かれる。
この白の痕跡は筆でなく、作家自身の手を使って描いているとのこと。

中でも≪15のメトリック≫2011年と題された、15枚の727×530mmサイズのペインティングは全体で一つの作品として観るべき作品ではないだろうか。縦に3列、横に5点の計15点で1枚の大きなカンバスのような連続性を感じた。

カウンターのある昼?をイメージした空間では、αMにも展示されていた鏡に熱した樹脂をドロッピングした偶発的な作品≪目をあけたまま閉じる≫2011年が2点。
こちらも、αMに展示されていた作品より、樹脂のかかり方の出来栄えが良く非常に美しかった。
制作に際して、樹脂がすぐに固まってしまうため、失敗作品も多いとのこと。身体の痕跡を残すという点は、奥のペインティングも樹脂作品もボールペンドローイングでも共通していることにやっと気付いた。

また、グレー、白などの色を重ねた油彩は、これまで観たことのない色合いとニュアンス、テクスチャーで、今後の展開が楽しみな作品であった。

立体作品は合計3点。
野球ボール大のアクリル球形にボールペンで線描を描きつくした≪シュバルツヴァルトマトリクス-スフィア≫2011年は、万華鏡のような楽しさがある。手袋をして手にとって見せていただいた所、光を透過して反対側の紋様が拡大し、透けて見える。
こちらも照明でなく、自然光のもとに置いたらどんな影を作るのか、幾通りもの楽しみ方ができそうな作品。
タイトルの≪シュバルツヴァルトマトリクス-スフィア≫は、ガルシア・マルケスの短編からの引用で、ここで作家は量子論を意識した制作を行っていることが分かる。本展ちらしに掲載されている作品はアクリル板を積み重ねているが、「重ね合わせ」行為が量子論のスーパーポジシオンを念頭に置いた作品であるとポートフォリオや本人のステートメントで分かってきた。

残る2点はカウンターの片隅にそっと置かれている。タイトルもまだない、できたての試作品。
漆とアクリルと樹脂で制作された直方体で、側面に恐らく爪でひっかいたような痕跡がある作品が1つ、もう一つは上面が噴火口を思わせるような凸凹がある作品。
こちらも、今後の展開を期待できるもので、非常に興味深かった。

描くべき対象とは視えないものと語る椛田は本展で、目を閉じた時にしか視えない世界を目をあけたまま視せたかったのかもしれない。

*以下の日程で作家が在廊されています。念のため、ギャラリーに問い合わせると確実です。
6月25日(土)、7月3日(日)、10日(日)14:00~

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