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「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」開催記念トーク 「映像作品《Trails》を語る」 東京オペラシティ

trails

「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」開催記念トーク「映像作品《Trails》を語る」6月23日20:00~21:45
出演:ホンマタカシ、阿部海太郎(音楽家)
http://www.operacity.jp/ag/topics/110615.php

6月26日(日)まで東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」の関連企画として6月15日に急遽上記イベントの案内が届いた。

同展を拝見した感想はアップ済だが、そこで書いたように私が一番印象に残りかつ興味深かったのは、展覧会最後の中平卓馬がショートホープにマッチで火を付けるまでを追った短編映像「Short Hope」だった。

ホンマタカシの写真はよく分からないが、彼の映像作品には興味がある。
このイベントでは、展覧会では上映されておらず写真やペインティングの展示がされている《Trails》の映像が上映されるとのこと。
これは観たい!
彼の映像において音が果たす役割は重要なキーとなる。その音を担当されているのが阿部海太郎(あべ・うみたろう)氏。
ということで、行って来た。

最初に上映されたのは2003年に横浜美術館で開催された「中平卓馬展」で上映されたホンマタカシ監修・撮影の『きわめてよいふうけい』のダイジェスト版。
(参考)『きわめてよいふうけい』→http://www.movienet.co.jp/movie/opus01/kiwameteyoifukei/index.html

全編は40分の映像だが、今回は15分程に再編集されていたが、それでも十分内容を知ることはできた。
冒頭は、中平氏の日記、これがみっちりびっちり何月何日何時何分単位でノートに書き付けられた画面から始まる。バックには、それを読み上げていると思われる中平氏の声が。しかし、何を言っているのかはよく分からない。ろれつが回っていないというのか、くぐもった声、呟きが聴こえるだけだが、却ってそれがリアルな現実を伝える。

次に場面展開し、2002年に沖縄で開催された東松照明展「沖縄マンダラ」関連シンポジウムの映像が流れる。
このシンポジウムの様子は、先日入手した『photographer's press no.2』の記事を読んでいたばかりだったので、参加者5名:中平卓馬、荒木経惟、東松照明、森山大道、港千尋らがどんな状況でシンポジウムを行っていたのか、紙面では伝わってこなかったものが、映像で分かった。
ここで、中平は活発に動く。最後はマイクを奪っている。
今年開催された名古屋市美の東松照明展のトークでは、一言も話さなかった中平の10年前の姿がそこにあった。

上映後、ホンマ氏は語る。
「この映像を観ていると、今撮影しておかねばならないという必要性を強く感じる。中平氏は現在ではほとんど離すことはない。しかし、10年前は話もしていたし、これだけ動いていた。この事実記録することの重要性。これこそ、ドキュメンタリーだ。」
写真や映像とメディウムの記録性をホンマ氏は重要視されている。
また、ホンマ氏が映像制作の際、重視しているのは「映像と音の拮抗」。
どちらが勝ってもいけないという。
映像と音のバランスに留意しつつ、その後の映像を観ることにした。

少し前にとある若手の映像作家さんから「映像は音楽に左右されやすいので、自分は敢えて音を排除し映像だけで見せたい」というお話を伺ってなるほどと思った。
更に音楽を使用して映像を作品化する際には、著作権についても留意せねばならない。

次に上映されたのは≪Short Hope≫の別バージョン2つ。
会場で最終的に上映されたものを含め、全部で3バージョンある。それらがすべて上映された。
音の使い方、映像の始まり方、間合いなど異なる3編。
どの作品も甲乙つけがたいが、最終どれを上映するかは、オペラシティの会場で決めたそうだ。
ホンマ氏は事前に事務所のメンバーにどれが一番良いかを尋ねたが、皆、それぞれ回答が違ったという。

この作品ではマッチを擦る音が非常に重要で、この音を採取するために阿部氏の苦労が語られる。
中平氏がいつ煙草を吸うか分からない、彼は撮影のために煙草を吸ってくれるような人物ではない。よって、彼が煙草を吸いたくなるのをじっと待つしかない。

阿部氏の映像に付ける音楽が他にも紹介されたが、これがとても良かった。
オルゴールのオリジナルというべき、紙に穴をあけたもの、このランダムに開いた穴の紙自体の造形性についても興味を惹かれる所ではあるが、それを手回しのオルゴールで音を鳴らすと、想像できないような美しいメロディが流れる。メロディだけでなく音質の良さも特筆すべき。
たまたま、今回の会場となった展示室は音の響きが非常に良かったことも幸いした。

最後の展示室で観た≪SHORT HOPE≫より、今回の展示室で観た作品の方が音の良さが際立っていた。

そして、ホンマ氏、阿部氏が知床で撮影、録音した《Video + Sound Elements for Trails》についてのお話を伺った後、最後に同作品が上映され、イベントは終了。
映像≪Trails≫は素晴らしかった。
冒頭シーンは知床の流氷。これは写真では出展されていない。
流氷シーンと暗転が繰り返される。そして、暗転した時、視覚は何もとらえていない、ただスクリーンの闇を見詰めているだけだが、その際に流れる音に聴覚は敏感に反応する。
人間の習性。
音によって、私たちは実際に視覚が捉えていない情景を脳裏に描いている。
つまり、音が視えないものを視せる、そこまで狙って制作されていたのだろうか。
流氷が流れる際、ぶつかる際の音なのか、創作された音楽ではない自然から採取した音源は何にも増して強かった。
映像→音→映像と繰り返される。

少し長い暗転の後、映像は流氷から真っ白な雪景色、そして白い雪に点々と落ちる血液と思しき赤い染み。
鹿狩りを追ったというから、恐らく鹿の血液だと思われるが、血液なのか、顔料なのか、そんなことはどうでもいいような気がする。
ここでも、白と赤のコントラストが眼前に広がり、雪山の枯れた樹木が原風景として呈示される。

BGMはピアノだろうか?
音楽と効果音の組み合わせが絶妙で、ぐいぐい映像に引きこまれていく。

ラストシーン、暗転の後、長く響く銃砲が流れて映像は終わった。
あの銃砲の先に、鹿は倒れたのだろうか。

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