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「生誕100年 川端実展 東京―ニューヨーク」 横須賀美術館

川端実

「生誕100年 川端実展 東京―ニューヨーク」 横須賀美術館 7月3日迄

川端実という画家を私はこれまで知らなかった。
川端実は、1911年東京に生まれ。祖父は日本画家川端玉章、父も日本画家川端茂章という芸術一家に育つ。 1936年の文展鑑査展では《海辺》が入選して選奨となり、1939年には光風会会員に挙げられ、早くから頭角を現わす。1937年~
1939年にはパリやイタリアで学ぶ。戦後次々と作品を発表し、1950年代にはフォーヴィックな作風から、画面を構成する強い意識をもちつつキュビスム的な 作品を描くようになり、1958年以降はベティ・パーソン画廊と契約。Betty Parsons galleryは1946年開廊。バーネット・ニューマン、ロスコーを扱うアメリカ抽象芸術を代表する作家と契約している。詳細 → こちら

川端は、1958年よりニューヨークへ移住。同年、グッゲンハイム国際展個人表彰名誉賞受賞。ニューヨーク・ニュー・スクール・フォア・ソシアル・レサーチ絵画部教鞭で教鞭をとり、各国で展覧会を開く。

本展は、川端実の生誕100年を記念し、戦後の代表作を中心に力強くそして鋭く緊張をはらんだ作品の変遷を、油彩約45点、デッサン類10点で紹介する、没後初、19年ぶりとなる回顧展です。

個人的な話題で恐縮だが、先週は仕事のストレスがピークで(時間的なものでなく精神的な負荷が大きかった)、こんな時にこまごました作品を観る気持ちには到底なれず、ロスコーのような抽象絵画を観たくなった。
そして、もうひとつ私は海が観たかった。

川端実展は、チラシを観た時から気になっていたのに会期最終日前日だが、観ることができて良かったと思う。
横須賀美術館の建物と川端の作品は見事に溶けあっていた。
この美術館は、大画面の抽象絵画がよく似合う。
天窓や建物横からの丸窓から射し込む光、真っ白な壁面、床は白木。
その壁に、川端の強いコントラストの抽象絵画は非常によく映えた。気持ち良いくらい色彩のシャワーを浴びて、ただ色面に包まれる心地よさ。
何も考えたくない時に、いろいろな思いを作品が吸収してくれるような感覚がある。

展覧会構成は次の通り。
第1章 戦後の再出発 フォービスムからキュビスムへ
第2章 機械の時代 1953-1956
第3章 線と色面による抽象
第4章 絵画の実験 1961-1972
第5章 多様な抽象へ

初期作品では、ピカソの影響を受けた作品が多い。
しかし、1958年「リズム 茶」横須賀美術館、「リズム」東京国立近代美術館以後、抽象化が進む。中でも「リズム 緑」1959年個人蔵は、交錯した強い緑の線が画面を縦横に駆けるがその下にはおびただしい色が下地として塗り重ねられている。ただし、絵具を盛り上げるようなテクスチャーではなく、絵肌はフラットに近い。
そして、ここからが面白い。
同じく1959年に描かれたチラシ掲載作品「祭り」千葉市美術館蔵は、水墨画のような黒の線が走る。
この線描の形態が何をなすのかは分からないが、黒の線は人の形の輪郭だとしたら、踊り狂う線が「祭り」のイメージを表現したものなのかもしれない。

1950年代以後、川端の抽象作品では、折り紙をイメージさせるような形態が画面に見られる。「緑のなかのフォルム」1973年神奈川県立近代美術館では、画面の上下にピンクの線が横に走る。そのストライプは思わずバーネット・ニューマンの「ジップ」を想起させる。川端は、NYでいやがおうにもアメリカで流行していた抽象芸術の流行に身を置かざるを得ず、自身の作品も時代の潮流に取り込まれていったものと考えられる。
「長方形 青、緑」「長方形 赤」「長方形 緑」とは補色関係にあり、まるで一対の作品のようだった。
この頃の、川端はNYで観た「小袖」の展覧会にインスピレーションを得て、折ったり、畳んだりという着物独自の展開を絵画に取り入れた。

「絵画No.2」の黒の背景色に対して、左上から垂れるように朱色の帯が流れる作品、そして、タイトルなしの1993年の作品、2001年に亡くなるが、本展最晩年の作品「Work97-D」1997年では、これまで観られなかった白と黒のみで構成された色遣いと色も削ぎ落されていった感が強い。
麻生三郎の絶作もそうだったが、死が近づくと、作品は徐々に白の部分が多くなってくるように思うが気のせいか。

彼の作品ではその色彩も重要視すべきだが、自分が気に入る色になるまで色を使った人で、そのやり方のひとつとして、身の回りにある印刷物、雑誌に気に入った色を見つけるとそれを切り取って、画面に貼って、その色を追いかけて行ったと言います。~横須賀美術館ニュース「コリダール07」の松本武氏インタビューより。

今年は、ジャクソン・ポロックの回顧展が愛知県美術館と東京国立近代美術館で開催されるが、その前にNY在住の日本人抽象芸術家の作品を観られたことは良かったと思う。

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