スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「古筆切ともに楽しむために」 根津美術館

古筆切

「古筆切ともに楽しむために」 根津美術館 8月14日迄
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html

館蔵品による古筆切を楽しむ展覧会。
古筆切の命名の由来や切断の事情に思いを馳せ、古筆そのものの多様性や各切固有の美しさを鑑賞していただきたいというのが、美術館側の趣旨となっています。

ということで、7月23日に開催された特別講演会「古筆はなぜ切られたか?」講師:根津美術館 学芸部長 松原茂氏を聴いてまいりました。松原氏は、根津美術館に移られる前、東京国立博物館美術課絵画室長をされていて、学生時代は「書」をご専門とされていたとのこと。

元々、私が古筆切の素晴らしさに感じ入ったのは、名古屋の徳川美術館で開催された「王朝美の精華 石山切」展のことでした。同展では、国内に残されたほぼすべての石山切を集めて展示するという破格の内容で、その華麗さ美しさにただただ息を飲むばかり。

講演会は、まず「古筆」とは、「古筆切」とは何かという説明から始まりました。
松原氏のお話をざっくりと。

今回の展示では超名筆はないので、書をされている方にとってはやや物足りないかもしれませんが、筆づかいだけではない書の楽しみ方があるということを知っていただきたい。料紙装飾に目を向ければ、工芸として、また書かれた内容が分かれば、文学としての楽しみ方もある。

根津嘉一郎氏は、派手な料紙装飾のある古筆切が好みではなかったらしく、一度は「貫之集」と「伊勢集」の分割の際、4組10枚を購入したにもかかわらず10年後に売却してしまった。そのため、根津美術館で今回展示されている古筆切の大半は、手鑑「翰林秀葉」(かんりんしゅうよう)の中から、40枚程度はがして、軸に仕立てたもの。

古筆には「粘葉装」(でっちょうそう)と「綴葉装」(てっちょうそう)の2種類のホンの綴り方がある。
「粘葉装」は、糊だけで綴じたものなので、はがして断簡にした時、右側か左側に糊しろの跡がることが多い。この点を注目して展示品を観ていただくと分かる。

「古筆」は数(十)巻・数(十)冊→1巻・1冊の古筆→更に1紙・1頁・数行から成り立っている。

「手鑑」とは古筆切のアルバムのようなもので、最初にあったものから、その所有者がどんどん中身を入れ替え張りかえていくもの。所有者が同じでも時期が違えば中身も違うこともある。張り替えのため、台紙ははがしやすいように雲母の粉が乗っている。配列も決まっており、大聖武(聖武天皇の筆)から始まることが多い。

「古筆見」は古筆の鑑定。「古筆家」は古筆の鑑定を専門の家業とする家柄。初代古筆了佐以下13代に至る。
「伝称筆者」とは古筆家の鑑定による筆者名だが、古筆家の鑑定では「筆者が不明」ということは許されなかったため、必ず誰かの名前が特定されている。したがって、真偽があやしいものも多い。

古筆切の由来については、展覧会の解説にも記載されているので省略。

展示品の中では、宝塔が摺りだしされている「戸隠切」(戸隠神社由来)、「東大寺切」(東大寺由来)の料紙の白雲母による摺りだしがことのほか美しかった。
「鶉切」は、今回の展示作品では見られないが、鶉の雌雄が模様として入っているものがあるため。今回の展示品では、唐子の図柄が愛らしい。

また、「とびくも」藍色と紫色を重ねて小さな雲のような模様を料紙に付ける技法だが、とびくもが配された渋目の古筆切もいくつか観られた。
書は読めないが、筆使いで好きなのは聖武天皇の格調高くどっしりとした「大聖武」と藤原行成。
伝なしの藤原行成はなかったが、「貫之集切」が美しかった。料紙では、岡寺切の紙の藍色のもつ深さに魅了される。

古筆切も観たかったが、もうひとつのお目当ては展示室2の「水のある風景」。
今回は、室町時代の水墨画名品がいくつも出展されているのだった。
中でも、芸阿弥筆「観瀑図」紙本墨画は、現存する唯一の芸阿弥真筆作品。式部輝忠「観瀑図」は迫力はないが、式部はなかなかその作品自体に出会えることがないので、貴重な機会。もうひとつ伝狩野正信「観瀑図」は縦に配置された瀧が、奥行き感を感じさせ、構図が良かった。

伝小栗宗湛筆「周茂叔愛蓮図」、梅隠「蓮池白鷲図」など9点の室町時代水墨画の展示はじっくりと。6曲1双「松鶴図屏風」は狩野派の手によるものか。筆者不明の桃山~江戸時代のもの。

展示室6・7のやきものやお茶のしつらえでは、粉青沙器にひかれ、雪村筆の文字入り茶釜などを愛でる。でも、茶釜は「利休好広口釜」が個人的には好み。
江戸時代の青銅工芸「蟹蓋置」道斎作は、明治期の金工品ほど派手さはないが、武骨で良い感じだった。

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

マジメにたのしむ/古筆切(根津美術館)

○根津美術館 コレクション展『古筆切 ともに楽しむために』(2011年7月13日~8月14日)  有無を言わせぬ名品がどーんと出ていて、ああ~いいな~(ヨダレ)という展覧会かと思ったら、マジメに勉強になる展覧会だった。初心者はもちろん、私のように、長年、古筆好き?...

コメントの投稿

非公開コメント

jchz様

こんばんは。

講演は例の『古筆切』を購入すれば拝聴する必要はなかったかもしれません。
スライドでは、館蔵品以外のきらびやかな装飾の古筆切も紹介されていましたが。

根津氏の趣味が渋すぎたのが災いしたのか、館蔵品も渋かったですね。
だからこそ、今のコレクションを築き、現代まで保持できたのでしょうか。
話は変わりますが、静嘉堂文庫美術館の「辞書展」を逃したのが残念です。
やはり、あれは行くべきだったなぁと。

松原氏のお話

こんにちは。私も23日の午前中に出かけたんですが、午後の講演会に心ひかれながら、熱中症気味だったので、帰ってしまいました。

そのかわり、根津美術館刊行の『館蔵 古筆切』という本を買ってきました。講演会の内容と重なるみたいですね。会場では見えにくかった唐紙の雲母摺がよく分かる印刷になっていて、いい本です。(根津美術館のまわしものみたいですが…)

私も岡寺切の料紙はすごく好きです!
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。