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「天竺へ~三蔵法師3万キロの旅」 奈良国立博物館

天竺へ

「天竺へ~三蔵法師3万キロの旅」 奈良国立博物館
前期:8月7日迄 後期:8月9日~8月28日迄 前後期で「玄奘三蔵絵」の巻替え及び一部作品の展示替えあり。
展覧会公式サイト → http://www.asahi.com/tenjiku/
奈良国立博物館HP → http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2011toku/tenjiku/tenjiku_index.html

藤田美術館所蔵の国宝「玄奘三蔵絵」全12巻。
玄奘三蔵は、西遊記でお馴染みの三蔵法師として広く知られている。「玄奘三蔵絵」は玄奘三蔵の生涯を描く、高僧伝絵巻の最高峰に位置づけられ、本展では、全12巻を初めて前後期の巻替えで公開し、その魅力を余すところなく紹介し、玄奘が東アジア仏教史上に残した偉大な足跡をたどるものです。

玄奘三蔵は、中国、唐の時代の高僧で、幼い頃より学問優秀で知られ、真摯に教えを求めた三蔵は出家の後、仏教誕生の地、天竺(インド)へ旅立つ。苦難の道のりの末、天竺に到着し滞在後、多くの経典を携えて帰国し、これを中国語に翻訳し、最期を迎えるまでが「玄奘三蔵絵」に詞書とともに描かれる。

「玄奘三蔵絵」は今回初めて観る機会を得られたのだが、実際絵巻を拝見して一番驚いたのは色の鮮明さと衣の緻密な描写、非常に状態が良い。これを12巻まとめて見ることができるなど夢のようだった。千載一遇とはまさにこのこと。

2008年に九博で開催された「国宝 大絵巻展」には行ったが、その展覧会では本作の出展はなく、絵巻物の展覧会としては評判の高い2006年京博開催の「大絵巻展」では巻二のみが出展されている。所蔵先の藤田美術館へは2回程行ったけれど、訪問時には展示されておらず、藤田美術館でも全巻展示はスペースの関係から到底無理だろうし、一部の巻の展示だったとしても、今回のように巻物の半分を一度に見せることさえ難しそう。恐らく、通常は絵巻の一場面か二場面程度の展示なのではないだろうか。

そう思うと、本展がいかに貴重な展覧会であるかがよくお分かりいただけるかと思う。恐らく私が生きている間に再び全巻展示の機会を得ることはないだろう。

展覧会の構成は次の通り。
第1章 玄奘三蔵絵を旅する
第2章 大般若経-求法の旅
第3章 「西遊記への道のり」
第4章 「憧憬の天竺」

まずは、何と言っても「玄奘三蔵絵」。筆者は、鎌倉後期に宮廷絵師として活躍した高階隆兼。当時の絵巻物を描いた絵師の中でも名高い評判を得ていた。彼が描いた他の絵巻としては宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する「春日権現験記絵」がある。2009年の「皇室の名宝展 2期」でこのうち巻一、五、十九が出展されているが、「玄奘三蔵絵」と大きく異なるのは絹本であること(こんな時、図録を買っておいて良かったと思う)。紙本、絹本の違いはあれど、高階隆兼の特徴である彩色の妙と衣の緻密な描写、また人物表現、表情の細かさは共通している。

この絵巻の良さは
1.発色、彩色
2.着物など着衣の描写、人物表現、表情の描写に優れる。特に衣の非常に精緻な描きっぷりは見事。
3.詞書の美しさ 流麗。京博の図録には言葉書きについて掲載されているようなので、後で見よう。

どの場面も軽く流すことはできず、第一章で「玄奘三蔵絵」を拝見しただけで、すっかり精魂使い果たした。なお、場面替えとなる後半部分は絵巻の上部にパネルで補足されているので、ストーリーの流れは分かるようになっている。後期だけでも、前期だけに行っても筋は追うことが可能。

「玄奘三蔵絵」では、西遊記でお馴染みの猿や豚のお伴は登場していない。

これらの登場は、第3章「西遊記への道のり」で関連作品とともに玄奘三蔵の旅が伝説化され、後に『西遊記』が成立する過程が紹介されている。
特に、注目は快慶作・金剛院の「深沙(じんじゃ)大将立像」で、その異様な姿に思わず目を見張る。
深沙大将は、唐の玄奘三蔵が天竺(インド)への旅の途中で三蔵を助けたと伝えられ、沙悟浄(さごじょう)のモデルとなっている。
左手は元々青蛇をつかんでいる筈だったが、青蛇は失われているのが惜しい。右の胸横に掌を前にして構え、短い裳の上に獣皮をつけ、両脚を象のロから出している。

「玄奘三蔵取経図」(薬師寺)にも同じく経典を入れていると思しき箱を持つ深沙大将の姿が三蔵の横に描かれる。

また、現存最古の西遊記として「新刻出像官板大字西遊記」(世徳本)巻十二・二十や「唐僧取経図冊」には、孫悟空らしきお伴が図版として掲載されていた。

順序が逆になったが、第二章では、三蔵が持ち帰ったという経典の量を実際の視覚体験として経験できる。無論、一部は内容も公開されているが、「大般若経(魚養巻)」三百八十七巻の山はすごかった。さぞや重かっただろうという凡庸な感想しか浮かばないが、経典を持ち帰ろうとした意欲がすさまじい。
元々薬師寺伝来の「大般若経」であるが、後に藤田美術館をはじめ、奈良国立博物館など現在は散逸している。

最終章では、三蔵の旅の道のりをなら「五天竺図」(地図)でたどる。
面白い趣向としては、この「五天竺図」をパネルにして、三蔵が辿った道のりを赤い電飾で示す試み。古図では不鮮明な点もこのパネルでは良く分かる。「五天竺図」には法隆寺所蔵の甲本、乙本、丙本(これらは模本なのか)、他に神戸市立博物館蔵のものが前後期で出そろう。

3万キロの旅を古地図でたどる趣向もまた興味深く、道のりの長さを痛感しました。

図録は1800円。遠方の方で展覧会には行けないという方も、オンラインショップで購入可能です。詳細は展覧会公式サイトの右バナーをご覧ください。

後期も勿論行って来ます。絵巻がお好きな方は言わずもがな必見です。あわせて、なら仏像館もお見逃しなく。

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