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「山本基 しろきもりへ-現世の杜・常世の杜-」 箱根彫刻の森美術館 はじめての美術館88

山本基

「山本基 しろきもりへ-現世の杜・常世の杜-」 箱根彫刻の森美術館 7月30日~2012年3月11日
展覧会HP→http://www.hakone-oam.or.jp/yamamoto_motoi/

山本基さんの作品を初めて接したのは、2004年の金沢21世紀美術館開館記念展。
床に広がる白の網目が美しくてはかなくて、それがお塩で作られていると聞いて驚いた。
その後しばらく、山本さんの作品を国内で観る機会がなかったが、2009年の金沢21世紀美術家、そして昨年のMOTアニュアル、京都のeN-artsギャラリーでの個展、そして今回とグループ展、個展が続いている。

箱根彫刻の森美術館での本展は、恐らく私がこれまで観た中で一番その力をフルに見せてくれたと思う。
当初会期は4月16日~9月4日の予定だったが、震災により開催が遅れ、7月30日からの開催となった。

私はオープニング初日の土曜日、アーティストトークを狙って出かけた。
箱根の森美術館は今回初めて訪れたが、広大な敷地の中、野外彫刻を楽しめるとともに、本展が開催されている本館の他、ピカソ館、マンズールームなど見どころが沢山。1日のんびりするのも良いと思う。

さて、本題に戻る。
本館ギャラリーは、1階展示場、中2階展示場、2階展示場と3つのスペースに分かれている。
受付は、中2階レベルにあるため、最初の1階展示場に行くために階段を下る。そして、中2階、2階と階段を少しずつ上がっていく。こうした展示室の特性をうまくいかしたのが、今回の展示だろう。
少し下って、上がって、上がって行く、これを中国の故事「登竜門」に見立てた。

1階展示場:現世(うつしよ)の杜
ここは、塩でできた枯山水。岩のかわりに、チベットやパキスタンの岩塩の塊を使用している。粒が粗い塩が白砂かわり。
「鑑賞の手引き」によれば、岩塩が登竜門の瀧のぼりをする鯉らしい。
アーティストトークでのお話では、庭師をされている友人の方にお手伝いを頼んだとのことだが、その出来栄えはまさに枯山水そのもの。

中2階展示場:魔展(まてん)の杜
ここでは、漬物などで使用する粗塩を焼き固めて、直方体のブロックを作る。この塩ブロックを約1000個!使用したお塩の量は3.5トン、によって天井まで届くばかりの塔を作り上げた。
塔高、3m60㎝。
周囲の小石のようなものは、お塩ではなく、お塩が溶けだすのを防ぐための本物の白石。建物を防ぐにはこうした塩止めが必須アイテムなんだそうです。

塩ブロックでできた塔は、これまで高さのない平面への広がりを見せている作品の印象が強かったので、とても新鮮だった。

この部屋には、他にドローイングの小品や写真も展示されている。
いずれも、輪廻、生死の循環を意図した作品。何かに似ていると思ったら「陰陽魚太極図」に似ている。陰陽魚、第1展示室の鯉が、ここでは陰陽魚へと転じたか。

2階展示場。
私がこれまで観た中では、最大級クラスの波打ち際に似た模様を創り出している。
これはもう神技レベル。
ここでは、サラサラの精製塩を油さしで使うプラスチック容器に入れて、少しずつ塩を絞り出していく。使用した塩の量は200キロ。
制作風景は、You Tubeでアップされています。(上記公式サイトよりご覧いただけます。)

MOTアニュアルもそうでしたが、見はらし台が用意されており、上から俯瞰して見ることができます。
上から見た時の感動といったら。
分かっていながらも、美しい光景が広がっていました。

塩は海水から採取できます。
そして、本展終了後、使用されたお塩は海に戻されます。
塩は生まれ、再び還っていく。

作品コンセプトが生死の循環であるならば、使用されている材料もコンセプトそのものを象徴しているのです。

8月11日(木)の日本経済新聞朝刊の最終面に、山本基さんのインタビューが掲載されていました。
山本さんは、妹さんの脳腫瘍による死がきっかけで、お塩によるインスタレーションを開始。
お清めの塩、そして、私が最初に金沢で観たような、網上の模様は、脳をイメージした形態だった、つまり妹さんの辛い死の記憶を昇華しようとされたと言っても良いだろうか。

海にお塩を還すプロジェクトはまだ数年前に始められたようですが、作品を壊すことへの辛さが薄らいだと記事にも書かれていました。


アーティストトークでは、震災前後で何か変化があったか?という問いに対し、
「特に、今回の作品についての変化はない。展示プランは震災前に決まっていた。」
「制作過程では、継続している余震もだが、寧ろ長く続いた雨や台風の方が厳しかった。塩は湿気に弱いので。制作している中で、限られた予算で準備した塩の量が不足しないかどうかが、気になった。」と山本さん。

作品を通して、死生観を見つめ、しばし自身と対峙するきっかけになりました。

<関連イベント>
*アーティスト・トークは
2011年11月19日(土)、2012年3月10日(土)13時半~1時間 本館ギャラリー
*作家と来館者による“海に還る・プロジェクト”
2012年3月11日(日)15:00―(本館ギャラリー2階) 

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