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「名和晃平-シンセシス」 東京都現代美術館

シンセシス

「名和晃平-シンセシス」 東京都現代美術館 6月11日~8月28日
公式HP → http://www.mot-art-museum.jp/koheinawa/

名和さんは、私の短い美術鑑賞歴の中で、ここ数年追いかけて来た作家さんである。

エルメスギャラリーでの個展は、「Cell」をテーマにしっかりと空間にはまった展示を見せ、京都精華、京都造形とこまめに作品を追いかけていたら、名和さんは人気アーティストとしての評価をどんどん高め、2010年のバングラデシュビエンナーレでは最優秀賞を受賞。

今回は35歳の若さで、MOT地下1階フロアをすべて使用しての個展開催である。

公式サイトの展覧会概要から、幾つかキーとなるものを拾ってみた。

・流動的な素材・メディアを情報社会における感覚や思考のメタファーとして扱い、デジタルとアナログの間を揺れ動く身体と知覚、感性のリアリティを表現
・「映像の細胞PixCell=Pixel(画素)+Cell(細胞・器)」という概念を通して、感性と物質の交流の中から生じてくるイメージを追求
・私たちが、感性と物質を繋ぐインターフェイスである「表皮」の質を通して対象をリアルに感知・認識していることに注目し、その表現領域をさらに拡げつつある。


実のところ、この概要に書かれていること、そして1周目の後に受け取る作品解説を読んでも私には、どうもしっくりこない。身体と知覚、感性のリアリティって???

名和さんがこれまでやってきたことの総括であることは間違いないし、総括とはいえ全て新作なのはすごいが、寧ろ今回はそれらをいかに観客に見せるか「見せ方」にもっとも重点を置いていたと思う。

会場全体を真っ白に仕上げ、照明にも工夫を凝らす。
個人的に、その照明が成功していたかについては、賛同しかねるが、見せることへの頑張りは、冒頭に挙げた本展チラシや会場内で配布されている解説用大判チラシ(何と4種類もあるという)の印刷に対しても、アーティストとしての目配りが随所に感じられた。
1周目は解説なしに、作品には解説パネルもない。まずは自由に観てもらおうという意図。
2週目に、前述の解説チラシを受け取ってもう1度観る。
通常、展覧会は1周して終わりという観客が大半なので、アーティスト意図に乗っかれば、本展ではほとんどの入場者が2周はしている筈。

その意図は面白いのだが、では1周目と2週目で見方が変わったかと言えば、少なくとも私に関しては変化がなかった。

「BEADS」「SCUM」「PRISM」「LIQUID」「GLUE」「VILLUS」「MOVIE」などはお馴染みで楽しめる。
そんな中で、今回印象に残ったのは巨大作品群。
1周目の印象は、「とにかく大きい!」である。
特に近作「POLYGON」や「MANIFOLD」等の巨大化は顕著で、また名和さん自身の手作業が減少し、主宰されている工房:SANDWICH作へとシフトしているのも特徴と言える。

その大きさゆえに、これまでの作品とは異質で、更に言えば従来の美しさが失われ、安っぽさ、空っぽな感じを受けた。
国際展や、MOTの天井高のある空間を活かそうとした時、作品が肥大化していったのだろうか。

名和さんの手仕事的な作品と言えば、冒頭壁面にあったドローイング「CATALYST(触媒)」だろう。これは、グル―ガンを使用したドローイングで、支持体に対してグル―部分が盛り上がり、平面でありながら立体的な要素を持った作品。
名和さんのトークは何度か拝聴しており、その発言から、常に素材のテクスチャーを重視して作品制作をされてきたという認識が私にはある。
それを踏まえた時、「CATALYST(触媒)」や「LIQUID」「BEADS」などの思わず手を出して触りたくなるような触感への刺激が、新シリーズでは損なわれているように感じた。

「MANIFOLD(マニホールド)」、情報、物質、エネルギーをテーマにした巨大彫刻の部品(200以上のパーツのうち33個)で埋め尽くした吹き抜けの空間。
中央にあったのは、パーツを組み合わせた後の完成作だろうか。

その模型を垂直方向、水平方向、それぞれから撮影され、ゆっくりとしたカメラワークの映像が2つ上映されている。映像アイディアは、名和さんで、実際に撮影し完成させたのは、映像作家の宮永亮だろう(解説チラシに名前が出ていた)。
あの吹き抜け空間でもっとも手作業的なものを感じたのが、この映像だったし、ゆったりとした動きとモノクロ画像は美しかった。

コンセプチュアルを目指していることは間違いないが、どこか実際の作品との間に溝があるような、新作シリーズではとりわけそんな思いが強かった。作品を観た時の印象、感覚とコンセプトがつながらない。デジタル化されたデータを二次元化、三次元化して見せる手法は理解できるが、次に得られるはずの感覚が付いて来なかったのは残念。私だけかもしれないけれど。。。
それゆえ、作品を観て解説を読むとコンセプトだけが先走っているような、目の前の作品とコンセプトの結びつきが得られぬままとなってしまった。

MOTのチーフキュレーター長谷川祐子氏と名和晃平氏の対談「目に見えない脅威」が以下サイトにアップされている。
ここで、長谷川氏が名和さんのドローイングをもっと見たかったと発言されているのが興味深い。
http://fatale.honeyee.com/culture/feature/2011/koheinawa_yukohasegawa/contents.html

*8月17日 21:15大幅加筆修正

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