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生誕120周年記念「岸田劉生展」 大阪市立美術館

岸田劉生

生誕120周年記念「岸田劉生展」 大阪市立美術館 9月17日~11月23日
展覧会公式サイト http://ryusei2011.jp/

「お待たせしました 麗子です。」の謳い文句で、いよいよ満を持して生誕120周年記念「岸田劉生展」が大阪市立美術館で開催中です。

岸田劉生は、私を美術鑑賞の道へ誘う契機になった画家のひとり。
劉生の≪切通之写生≫に出会わなければ今頃、私はまだスキューバ・ダイビングに明け暮れていたかもしれない。
岸田劉生と言えば誰しもまず思い浮かべるのは、冒頭掲載の本展チラシに採用されている≪麗子像≫があまりにも有名です。図画工作の教科書などに掲載されているので、本物よりも印刷物の麗子像と対面し、岸田劉生と言えば・・・とイメージが作られて行く。
私もそのうちの1人であったが、2007年に刈谷市美術館で開催された「画家 岸田劉生の軌跡」展で劉生の仕事の幅広さと洋画から日本画への変遷に驚いたのだった。
(参考)過去ログ:「画家 岸田劉生の軌跡」展

その後2009年には「没後80年 岸田劉生 肖像画をこえて」が開催され、タイトル通り劉生作品の中でも肖像画に焦点を当てた展覧会だった。
(参考)過去ログ:「没後80年 岸田劉生 肖像画をこえて」

そして、今回の生誕120周年記念展。思えば2年ごとに企画展が開催されているということからしても、劉生の人気は今なお衰えずということが分かる。

最大級の岸田劉生展という大阪市美の本気が伝わる内容でした。
展示替え前期(9/17~10/16)後期(10/18~11/23)で約10点程入れ替わりますが、それでも約230点の作品を一堂に会した回顧展となっています。

これまでの展覧会との比較で言えば、油彩画中心であること、その分、2007年の回顧展と比べて装幀に関しての作品は少なめ、という点が特徴と言えると思う。

作品は基本的に年代順、劉生が居を構えた場所を区切りとして、作品をまとめて展示していた。途中、麗子像のコーナーがあり、麗子を描いた作品だけを集め、様々な麗子の姿を一度に鑑賞することができる。

3度目の今回の展覧会を見て、劉生の納得いくまで同じモチーフを描く姿勢は、麗子像も自画像も風景画も、静物画もいずれのモチーフにおいても共通していることがよく分かった。
特に静物画や風景画が、これだけ出揃ったのは初めてだったので自画像や麗子を中心とした人物画だけでなく、静物画や風景画、特に後者で劉生が何をしようとしたのかを考える良い機会となった。

彼の作風の変遷も、影響された海外もしくは時々の思想によって刻々と変わっていく。
後期印象派のゴッホからセザンヌ、そしてラファエル前派風、ウィリアム・ブレイク、北方ルネサンス、ドイツ表現主義と経て、やがてデロリへとたどり着く。その後、これまで影響下にあった西洋絵画、西洋文化から抜け出て東洋思想に関心は移っている。と同時に、洋画から日本画へと移行を見せるが、先に思想や文化から影響を受けて結果自己の思想も変化、その結果が作品に現れるのか。

例えば、自画像で言えば、後期印象派から北方ルネサンスへ関心が向き、デューラーにみられるような自己の内面探求を実現せんがために、あれだけ大量の自画像を描いたわけだが、納得が行くまで技法と表現方法の模索をしたことは膨大な自画像群からよく分かる。

かの有名な≪麗子像≫1921年東京国立博物館(重文)、そんな劉生が西洋文化から距離を置き、宋元絵画や初期肉筆浮世絵、南画などの東洋画への関心によりついに劉生独自の「デロリ」(生々しいしつこさや、独特の濃い表現)を見出す。
劉生の個性は、この麗子像において実現したと言われている。
実際の麗子とは異なる、すなわち単に写生、写実を試みたのではなく、独自表現による美とは何かを突き詰めた結果であった。
久しぶりに見る≪麗子像≫では、小さな麗子の手に注目した。身体や顔に比べて小さくか細いように感じる麗子の右手は小さな青い檸檬?を持っている。
肩にかかっている毛糸のショールは毛糸の質感までも感じられるような物質感がある一方で、前述の手の細さ、小ささ、顔の大きさ、実際の麗子さんとは異なる願貌、モナ・リザを模したと言われる微笑、と彼特有の技巧、創意が凝らされているとわかる。


確かにデロリに関して言えば、1921年以後の作品より見られるが、写実表現と単純に言えない作品は、1915年の≪切通之写生≫においても同様で、あのぎりぎりとした切迫感、手前に迫ってくるような道路と土手と塀、この3つを強調した画面構成、特に違和感を感じるのは白い塀、は実際の風景とは明らかに異なっているのだろう。


10月9日のNHK番組「日曜美術館」では、≪麗子像≫≪道路と土手と塀(切通之写生)≫についてその秘密に迫るをテーマにしているので、とくと拝見しようと思う。


今回特に印象に残ったのは≪麗子裸像≫1920年と絶筆の≪銀屏風≫1929年。
≪麗子裸像≫は、身を固くして、父の頼みと思ってじっと我慢している小さな麗子さんの姿が重なってしまった。
いたいけな少女の姿が、父親を思う娘の気持ちに感情移入してしまったが故。
絶筆の銀屏風は初見だと思う。
晩年は日本画に傾倒していたが、最後は銀屏風、描かれているのは墨彩の芸者?らしき女性と大書のもじであった。
過去の油彩画を思うと僅か10年にも満たない期間での変貌ぶりに驚きを禁じ得ない。
日本画を描きつつもどこかで満足していなかったに違いない劉生は、パリへ渡航しようとしていた。その資金を得ようと満州へ渡るが、金策の当てが外れ失意のままに帰国。そして酒に浸りついに病を得て僅か38歳で死を迎えるとは。
絶筆を見ていると、劉生の失意がひしひしと感じられるような、やるせなさのような諦念のようなものを感じた。

*本展の巡回はありません。

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かず様

はじめまして。
コメント有難うございます。
作品リストは、展覧会の公式サイトトップページ右側にあります。
残念ながら大原美術館蔵の作品は出展されていませんね。

麗子像もかなりありましたが、風景画、静物画が比較的多かった
ように思います。
この展覧会は大阪市美の単独企画ですので東京への巡回はないようです。
明日の日曜美術館で展覧会気分をぜひ味わってみてください。

岸田劉生展

はじめまして。
岸田劉生に導かれてこのブログにたどり着きました。
この展覧会は大阪だけなんですよね。
関東に住んでいるのですが、大阪まではちょっと難しいかもです。
大原美術館の麗子像は出ていましたか。
ずっと追いかけているのですが、大原ではなぜか見られなくて・・・。
個人的にはポーラ美の麗子像がすごいと思います。
またブログ拝見させていただきますね。
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