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没後100年「菱田春草展-新たなる日本画への挑戦-」 長野県信濃美術館

長野春草

没後100年「菱田春草展-新たなる日本画への挑戦-」 長野県信濃美術館 9月10日(土)~10月16日(日)
http://www.npsam.com/exhibition/2011/03/1593.php?status=Now

飯田市美術博物館の「春草晩年の探求-日本美術院と装飾美-」に続いて、長野県信濃美術館の「菱田春草展-新たなる日本画への挑戦-」へ行って来ました。
本来なら、春草初期の朦朧体作品を中心とした長野県信濃美術館を先にして、飯田市美術博物館を後にすべきだったのでしょうが、飯田の方が先に終わってしまうこともあり、また飯田は東京からより名古屋からの方が近かったので逆になりました。

飯田で拝聴した玉蟲敏子氏の講演を思い返しつつ、本展を見ていくと初期作品においても玉蟲氏が指摘されていた「隠しの美」、酒井抱一≪夏秋草図屏風≫にも見られる薄の葉影の後ろに隠すように草花を描いた≪武蔵野≫富山県立近代美術館蔵がありました。
≪武蔵野≫は、玉蟲氏のお話では紹介されていませんでしたが、探せば他にも見つかりそうです。
講演で学んだ琳派研究を活かした作品を見つけることができ、それだけで来た甲斐がありました。

行くまでは金銭面で苦しかったので私としては珍しく迷いましたが、ブロガーの遊行七恵さんの「かなり良かった」の一言で行く決意をした次第。遊行さんに感謝です。

本展は、特に軸物が多いのが特徴でそれゆえ出展数も80点はあったでしょうか。中には東近美蔵≪四季山水≫の絵巻や、二曲一双の屏風が数点。
展覧会構成は、図録を泣く泣く見送ったのと、メモを取らなかったので省略。基本的に制作年代順に並び、第一会場~第三会場まで3つの展示室で大一章~第五章と5つの章立てで構成しています。

惜しむらくは第三会場の展示ケース。
他の2つの展示室に比べて、展示ケースが俄か仕立てなのでしょうか、天井が低いこともあり展示ケースの高さが低く、結果的に軸物なのに床面近くに軸の最下部があり鑑賞者は見降ろすような状態。下の方をよく見ようとすると屈まねばならないので、これは見づらかったです。

特に印象に残った作品を振り返ります。

・≪四季山水≫四幅対 1896年 富山県水墨美術館
春夏秋冬を西洋画の技法を取り入れつつ描いた作品。従来の日本画技法を使用したかための画風から一転して柔らかな色彩と描線があるかないかの地平線が溶けてしまうような風景画。

・≪水鏡≫ 1897年 東京藝術大学 *チラシ表面の向かって左側作品
東京藝術大学蔵の作品では、第1章で≪寡婦と孤児≫美術学校卒業制作の作品も出展されているが、春草はここで時の流れ、美しいものにも時間が経てば衰えると教訓をも伝えようとしている。濁った池の水面には観音の姿は判然としない。

・≪寒林≫1898年 霊友会妙一記念会 六曲一双
本展唯一の六曲一双屏風。紙本墨画で、中央が大きく抜けているのはいかにも春草らしい構図。後の≪落葉≫も同様に中央が大きく抜けた構図だった。
本作品は春草の朦朧体の起点となる重要作品。墨の濃淡で遠近を表現している点も≪落葉≫と共通するが、まだ岩や樹木の描き込みが多い。ここでは、酒井抱一の作品にも使われる「彫塗」が樹木の葉などに使用されている。新しい技法に果敢に挑戦する若き春草の姿が目に浮かぶ。

・≪瀑布(流動)≫1901年 光記念館
これも滝の落ちる部分がほぼ中央に白く抜かれている。何と言っても印象的なのは滝が着水する周囲に落葉が舞い散っている所。朦朧体のぼんやりとした画面を着彩された落葉を振り散らすことでアクセントを付けている。
ここで使われている落葉と同様の効果は雁の群れと同じだと思われる。同心円状の雁を配置するのも面白い。

・≪羅浮仙≫1901年 長野県信濃美術館 *チラシ表面の向かって右側作品
空中に浮いている女性は、梅の精である羅浮仙。梅の枝を背景に、枝にはわずかに梅花を付けているだけ。顔と衣に使われたハイライトは、西洋画技法の導入の効果。それにしても、衣の透け感が素晴らしい。溶けて消えてしまいそうな儚さ。

・≪暮色≫1902年 京都国立博物館
奥行感がなく、装飾的、デザイン的な画面。柳の枝に琳派の影響が強く感じられる。

・≪帰漁≫1904年 茨城県近代美術館
朦朧そのもの。靄、霧なのか地面が判然とせず、それでも漁師が家路を急いでいるのかなということが漸く判別できる。歌川広重の東海道五十三次「庄野白雨」を思い出した。

・≪深山朝暉/深山夕照≫横山大観/菱田春草 1905~1907年頃 霊友会妙一記念館
大観と春草は多く共作を遺しているが、こちらも対幅で、春草の描く川の流れが大観描く海に流れ込むような画面構成。

・≪黒猫≫1910年 播磨屋本店
こちらにも黒猫作品ありました。春草は同じモチーフの作品を何点も描いているが、本作もそのひとつ。
この頃になると背景の省略、画面の簡略化、余白が非常に多くなってくる。

他に、南画の米点技法を使用した作品、西洋画を意識しつつ古画に類似の技法がないかを探求し、見つけ出したのだろう、点描画は点を様々な色で付すが、春草の作品≪夏の山≫1905年(水野美術館蔵)では、単色使い。

現代の絵画と言っても通じるような作品もあった。色彩の使い方、効果的なアクセントと朦朧体を描きつつも描線を用いた作品も描いていたからこそ、傑作とされる≪落葉≫≪黒き猫≫が生まれたのだろう。

図録はコンパクトサイズながら印刷は美しく論文2本掲載で2000円です。

*本展の巡回はありません。

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