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「生誕100年記念 瑛九展」 夢に託して- うらわ美術館

うらわ


「生誕100年記念 瑛九展」夢に託して- うらわ美術館 9月10日~11月6日
http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran.htm

うらわ美術館と埼玉県立近代美術館の共催で「生誕100年記念 瑛九展」が開催されています。
この展覧会は、瑛九出身地の宮崎県立美術館で7月16日~8月28日まで開催され埼玉県に巡回しているものです。

1人の作家の回顧展として切り口や見せ方はいくつか考えられますが、本展では8つのトピックを設けて、瑛九の人と芸術の全貌に迫ります。
宮崎県美では1会場で8つのトピック全てを一度に展示されたようですが、埼玉会場では各美術館の広さの関係もあり会場をうらわ美術館と埼玉県立美術館の2会場に分けざるを得ませんでした。
8つのトピックのうち、うらわ美術館では次の4つのトピックについての展示がされています。
1.文筆家・杉田秀夫から瑛九へ
3.絵筆に託して
4.日本回帰
7.啓蒙と普及

すべてのトピックをひとつの会場で見ることができなかったのは非常に残念でしたが、展示資料、内容は充実しており丁寧に作られた良い展覧会でした。

感想は各美術館単位で書くことにしました。

まず、瑛九の作品といって最初に思い浮かぶのはカラフルな円が画面一杯に描かれている、宇宙を予期させる油彩画だった。
しかし、この展覧会によって如何に瑛九が多様な活動と関心領域を持っていたかが良く分かる。
トピック分けした展覧会の場合、時代の推移を念頭に置きつつ作品を見なければならない。

瑛九という名は勿論本名ではなく、本名は杉田秀夫だった。
驚いたことに僅か彼の最初の制作活動は文筆業だった。
若干13歳で雑誌に投稿した童話『金の船』で入選を果たし、15歳で書いた批評が雑誌に載った。1927年から1930年の3年間の間に書いた美術批評が約30本に及ぶ。

彼の批評の中で印象的だったのは、「あらかじめ絵画とはこういうもの、シュルレアリスムとはこういうもの、という理屈を聞かされて、作品にその特徴を認めて安心するという鑑賞方法への痛烈な否定」であった。
特に近頃の私の鑑賞法と来たら。。。自分も瑛九にとって痛烈な批判の対象となっていることを自覚し、悲しい気持ちになった。そして、特に最近様々な理屈にとらわれ過ぎてまっすぐに絵画を見ていないと反省した。素人は素人なりに、もっと自由に好きに作品を楽しむことが一番大切なのに。

瑛九は、生涯にわたり油彩画を描いていた。
トピック3「絵筆に託して」では油彩画の仕事の変遷を初期作から晩年のものまでを展示している。
後期印象派からキュビスム、そしてシュルレアリスムと影響を受けた画家の研究を行ったのか、当時の関心がどこに向いていたかは作品を見ていると分かる。
彼が影響を受けた画家が私の好きな画家と重複していて、特に三岸好太郎が入っていたのは嬉しかった。三岸も早逝してしまったので、知名度は低いかもしれないが素晴らしい才能を持っていた。同じく並んでいた古賀春江以上であったかもしれない。

独特の強い色彩、特にキュビスム風作品、オノサトトシノブの円環を描いた作品の影響からか晩年の瑛九の作品は、大画面を覆いつくすようにカラフルな円環を画面に配した。
点描画の非常に点描画が細かいものもあれば、当もう少し大きくかつランダムな大きさの円環が使用されているものもある。
宇宙の中に吸い込まれるような真っ青な背景色も特徴のひとつだが、奥行き感が感じられる作品とフラットで遠近感の感じられないものがある。フラットな作品の場合、奥行きであく縦横に円が拡散していくような広がりを感じる。まさに宇宙を表現したかったのか。円環は惑星やあまたある星に見えた。

トピック4は「日本回帰」。
今回は先に書いたようにトピックだてなので、瑛九の人生の流れの中で何が起きたかの把握が展覧会だけを見ていると分かりづらい。そこは年表で追っていく必要がある。
トピック3で油彩は生涯続けたとあったが、その途中で制作に行き詰まり、一時は精神を病み、岡田式坐禅法(確か瑛九の時代には相馬黒光も坐禅をしていたのではなかったか)を兄の薦めで行い、漸く回復したようだ。
油彩あるいはフォトグラムを制作しつつ行き詰った瑛九が向かった先は東洋思想。
つい、先日見た岸田劉生も同じだった。
西洋に行き詰まると東洋へ向かう、どこか安直な感じがしてならないが、ここで研究した東洋思想を再び自身に取り込み再構築、自身の解釈で新たな制作ができれば良いのだろうが、劉生の場合は違うようだった。彼はそのまま終わってしまった。

瑛九の東洋思想影響後の作品は、例えばアンリ・ミショーやクレーのような自由な線描、オートマティスム的なデッサンや線の自由を感じる。精神の彷徨が画面上に現れているように見える。

トピック7「啓蒙と普及」では、瑛九が携わった啓蒙活動や教育活動を紹介している。
彼が版画講習会の開催や技法に関する著作を手掛けていたとは知らなかった。制作だけでなく、後進の育成、はては新たな美術の潮流を生み出し美術会の活性化を図ろうとしていた点は作家活動と合わせて評価されるべきだろう。

うらわ美術館会場は、埼玉近美より天井が高くゆったりした作品展示となっている。
どちらの会場から見ても構わないが、時代を考えるとうらわを先にした方が良いかもしれない。

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