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「トゥールーズ・ロートレック展」 三菱一号館美術館

三菱ロートレック

「トゥールーズ・ロートレック展」 三菱一号館美術館 10月13日~12月25日
http://mimt.jp/lautrec2011/

ロートレックは毎年のようにどこかの美術館で開催される程の人気画家。
本展は、三菱一号館美術館所蔵のトゥールーズ=ロートレック作品を紹介する初の展覧会である。そもそも、同館のロートレックコレクション自体その存在を初めて知ったのだが、実際拝見してみて、その素晴らしさに驚いた。
ポスターやリトグラフからなるコレクションであるが、その由来がすごい。何しろ、ロートレック自身が生前自分のアトリエにおき、その死後、親友で画商であるモーリス・ジョワイヤンが管理していたものが、縁あって同館に入ったもの。

また、アルビのトゥールーズ=ロートレック美術館との姉妹館提携を記念し、三菱一号館美術館所蔵のポスター・版画コレクションに加えて、ロートレック美術館より、家族と過ごしたアルビ周辺での日々やジョワイヤンとの友情を示す油彩等を展示し、故郷アルビの街とパリ、モンマルトルの歓楽街での創作活動を対比的に再構成して紹介しています。

1時間程度の鑑賞時間を予定していましたが、何のことはない1時間半しっかり堪能しました。
この美術館は毎回、構成や展覧会主旨が明確で、過不足ない解説で満足させてくれる素晴らしい美術館です。
当初気になった足音は、自分自身の足音が他の方の迷惑になっているのではないかと一番気になったので、行く時は底がラバーになっている靴を履いて行き、それ以後気にならなくなりました。

さて、展覧会は以下3章による構成です。
第1章 トゥールーズ=ロートレック家の故郷・南西フランスと画家揺籃の地アルビ
第2章 世紀末パリとモンマルトルの前衛芸術
第3章 芸術家の人生

展覧会の紹介は、上記公式サイトが画像を含めて非常に分かりやすく解説されているので、そちらをご参照ください。

ここでは、私個人の感想を。

何と言っても、本展の見どころはこれまで見たことのない版画作品が多く出展されていること。
特に好みだったのは、ジュール・ルナール『博物誌』の挿絵22点や自身の個展や晩さん会などのメニューカードの数々。
『博物誌』は、1899年に限定100部で販売されたそうだが、デザイン性、鋭い観察眼によるデッサン力が余すところなく活かされていた。
メニューカードも同様で、ちょっと力の抜けた所が好ましく、もし私が誰かにメニューカードを依頼するならロートレック!と思ったほど。メニューと言えば、ロートレックの美食家ぶりはつとに有名で、私は画家としてのロートレックを筒井康隆氏の小説で知ったが、本の中では美食家として実際に料理をして知人にふるまっている姿も紹介されていたように思う。そんな彼が作ったメニューカードは人となりとぴたりと一致する。

今年は、名古屋ボストン美術館で今年開催された「ジム・ダイン」展でも摺り違いの版画の妙を楽しんだが、本展においても少数ではあるが、摺り違いの作品「女性の研究」や「婦人帽子屋ルネ・ヴェール」があった。
文字入り、色版と線だけのもの、線のないもの、の3種類だが、それぞれが与える印象の違いを楽しみたい。

また、ロートレックのポスターも過去何度も観ているが、それでもまだ見たことのないものもあり、とにかく一度に観られる数が多いので、色々と比較して共通点や違いを見つけることができる。
私が注目したのは、色づかいで、基本4色-黒、赤、オリーブグリーン、黄-を効果的に配し、簡潔にかつ強い印象を与えている。あれだけのサイズとしっかりとした輪郭線、そして配色となれば、衆目を集めたことは間違いない。
構図は、浮世絵のものを踏襲しているというのは従来から言われているが、特に縁取り線に黒ではなくオリーブグリーンのような深みのある緑を使っているのも興味深かった。

彼がポスターでモチーフにしているのは、基本的にムーラン・ルージュの踊り子やシャンソン歌手で、当時の風俗も伺いしることができる。その一方で、「マイケルの自転車」「シンプソンのチェーン」など、ロートレックが好きだった自転車にまつわるモチーフを使用したポスターがあったことも見逃せない。
自転車好きだった同時代の画家がいたような気がしたけれど、検索してもヒットせず。以前、ロートレック展で見た記憶が残っているのかもしれない。

版画類で珍しいものはまだまだ続く。
ロートレックは描いた線が一番よく反映する版画技法として、リトグラフを採用していた。
石版画で摺り師はロートレックの場合も別にいて、彼が重用していた摺り師が所蔵していた版画作品も出展されている。
石版画というからには石を使用するが、通常版となる石は捨てられてしまうのだが、本展ではそのひとつ(石の版そのもの)が出展されているのは目を引いた。

モチーフとして、後半以後に娼婦や芸人の舞台裏の姿をありありと描いたリトグラフ「彼女たち」が登場。
愛知県美術館でのロートレック展では、一番共感したのがこれらの作品群で、しどけない無防備な姿を克明にとらえたロートレックの線はやはり見事。
喜多川歌麿のように、芸人や娼婦と非常に親しい間柄であったからこそ描けたのと、やはりロートレックの観察眼の鋭さを感じる。

版画やドローイングだけでなくトゥールーズ・ロートレック美術館所蔵の油彩画も少数ではあるが出展されていて、こちらも私自身は初見のものばかりだった。
貴重な1880年代の初期の故郷アルビを描いた風景画「有る美のカステルヴィエル陸橋」はじめ、ロートレックの叔父や母など身近な人々をモデルにした人物画は興味深い。

ロートレックと母親との関係は深く、最後にロートレックが母親とテラスで談笑している写真が廊下に展示されていた。写真で見る彼の母は実に美しく、ロートレックは母を愛していたのだろう、幸せそうだった。マザコン気味だったのかもしれない、そして彼が女性を追い求めたのは、そこに母を見つけようとしていたのか、勝手な想像だけれどそんな思いを抱いた。

晩年アルコールに浸り、最後はお酒が原因で亡くなったし待ったが、浴びるほど酒を飲まねばならなかった理由は、自身の外見(脚の成長が止まってしまった)へのコンプレックスだったのか。
もっと長く生きて、素晴らしい作品に挑戦して欲しかった。

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