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YCAM 山口情報芸術センター はじめての美術館92

YCAMこと山口情報芸術センターへ行って来ました。
公式サイトはこちら

かねてよりこの施設については気になっていたものの、情報芸術センターとは?美術館とは違うの?と疑問に思っていました。

今回、伺うきっかけになったのはYCAMシネマと呼ばれる映画館で、情報芸術センター内にある公共施設。
http://www.ycam.jp/cinema/index.html
ここでは毎月特集映画を中心として、YCAMの映画担当の方が厳選した映画の上映を行っています。
そして、10月はハルーン・ファロッキ特集!

ハルーン・ファロッキ(ハルン・ファロッキともいう)監督(Harun Farocki)特集はこの夏、東京のアテネ・フランセで開催されたのですが、この時期ちょうど仕事が多忙で、土日も他の展覧会を優先させたり、遠征したりで結局1本も観ることができませんでした。
twitterでの評判も良かったので、あいち芸術文化センターの映像ライブラリにないのか探してみましたがなし。
かなりコアな監督で一般受けするような映画ではないからか、恐らくレンタルDVDも期待できないと諦めていたのです。

ところが、山口県内の美術館をあれこれ調べていたら、YCAMでの特集を知り急遽1泊追加。山口県まで行って、何も映画を観なくても他に観光する所はいくらでもあるでしょう、と言われたらそれまでですが、何を重視するかは本人の価値観の問題。名所旧跡は逃げませんが、ファロッキ特集は次にいつ観られるのか、しかもお値段がファロッキ作品9本で1000円+本人が出演しているストローブ=ユイレ監督『アメリカ(階級関係)』1本(無料)と格安。期間中、1000円ですから曜日が違っても1度買ったチケットは使用できると知り再び驚きました。
更に、10月29日(土)にはキュレーターの阿部一直氏によるレクチャー「ハルーン・ファロッキへの視点」が開催され、こちらも非常に楽しみで、実際にファロッキの育った環境、思想から始まり、影響を受けた映画監督、例えば前述のストローブ=ユイレやロベール・ブレッソンだったり、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する監督(ヘルツォーク、ファスミンダー、フォルカー・シュレンドルフ、ヴィム。ベンダースらの紹介とファロッキとの共通項、ギー・ドゥボールやゴダール映画との違い、などなど関係映画の上映も含めて、2時間を超える素晴らしいレクチャーでした。

あいトリの映像プログラムで漸く、ストローブ=ユイレやロシアのアレクサンドル・ソクーロフの映画を初めて観た私にとって、今回のレクチャーは願ってもない貴重なものでした。
これから観ておくべき映画監督や興味を持った監督やあいトリ以後少しずつ観て来た映画がつながってきて、それが何より嬉しかった。やはり映画を観るだけでなく体系的な知識やファロッキ作品であれば、特にどんな点に注目して観るとより作品を楽しめるのか、これがあるのとないのとでは違うなと改めて感じた次第です。

あいちトリエンナーレの映像プログラムは本当に有意義な内容でしたが、今回のようなレクチャーがあればもっと楽しめた筈。
しっかり、ノートを取ったので。これからも紹介のあった映画など、コツコツ観て行こうと思います。

ファロッキ9作品のうち、今回鑑賞したのは
・「この世界を覗く-戦争の資料から(世界の映像と戦争の刻銘)」1988年
・「ルーマニア革命ビデオグラム(ある革命のビデオグラム)」1992年
・「労働者は工場を去って行く」1995年
・「監獄の情景」2000年
・「隔てられた戦争(識別と追跡)」2003年
他にダニエル=ストローブ「アメリカ(階級関係)」
この中では最初の「この世界を覗く-戦争の資料から(世界の映像と戦争の刻銘)」、「ルーマニア革命ビデオグラム(ある革命のビデオグラム)」、「監獄の情景」が忘れがたい。
過去の膨大な映像から取り出したショットをモンタージュし、特徴的なのはスクリーンンに同時に4画面が登場したり、ひとつの画面に二つのスクリーンが登場したりします。
音楽は使用されず、淡々とナレーションだけが流れる。
何より、ファロッキは「手フェチ」とレクチャーで教えていただき、「手」の使用を注視すると、出るわ出るわ、手のアップシーンが非常に多いことがよく分かりました。
「手「」がクローズアップされると、こちら側は何かしら「触る」「触れる」イメージを想起させます。
ファロッキの「手」が記号的に用いられている、これは無意識か意識的なのかは分からないが興味深い点でした。

ひとつ難点を言えば、この映画施設の椅子の傾斜はほとんどなく、長時間座っていると疲れてくること。贅沢は言えません。クッションは良かったし、個人の好みの問題でしょうか。

なお、11月は『エッセンシャル・キリング』のイエジー・スコリモフスキ監督特集。12月はワイズマン監督特集と観たい作品がぞろぞろ続きます。
『エッセンシャル・キリング』は私も観たのですが、これまた衝撃作品で台詞なしでたんたんと人間の本能、野性について考えさせられた映画。旧作4本と合わせての上映で、山口にいたら間違いなく通っています。

YCAMシネマのようなものが、なぜ愛知県芸術文化センター内にないのか、残念でなりません。
首都圏ではない地方都市ではどんどん映画館が減少し、中でも娯楽映画以外の作品上映の機会は得られません。
娯楽映画ももちろん楽しめますが、映画の魅力はそれだけではない、ことを知る場所が必要です。
「民間」ができないことを「公」が行うことこそ、文化行政の一つのあり方ではないのでしょうか。
YCAMは地方の文化行政事業として、市民の教育的側面、文化育成において非常に有意義な存在であると感じました。

*展示作品については次回へ続く。

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