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「雪舟 花鳥を描く 花鳥図屏風の系譜」 島根県立石見美術館 はじめての美術館93

雪舟

「雪舟 花鳥を描く 花鳥図屏風の系譜」 島根県立石見美術館 10月22日~11月23日 会期中無休
http://www.grandtoit.jp/museum/exhibition/special/sesshu-kacho/index.html

旅の順序と記事の順序が齟齬して申し訳ないのですが、いきなり山口県から島根県に飛びます。
島根県立石見美術館は、旅の最後、3日目の朝に訪問しました。
まず、会期中毎日先着20名にいただけるという雪舟展オリジナル「ミニふろしき」をGET!
恐らく、梅の花をイメージしたと思われる紅色と白の大きな花模様のふろしきです。これは嬉しいプレゼント。

会場構成、展示もテーマカラーは赤と白で統一されていました。
島根県立石見美術館は、グラントワと呼ばれる島根県芸術文化センターと同美術館の複合施設で、内藤廣が設計。
外観は鱗のような瓦が壁面にもびっしり貼られていて、非常に目立ちます。
中に入るとシックな内装、茶褐色で統一された館内には、本展のテーマカラーである紅と白はよく映えます。

グラントワ

さて、本展は雪舟作品の中でも、特に花鳥図屏風をメインにその系譜を考察するものです。
2002年に京博・東博で開催された「雪舟展」、2006年に山口県立美術館で開催された「雪舟への旅」展、この2つの重要な雪舟展を観ていない(2002年はまだ美術ファンではなかったし、2006年は仕事で忙殺されていた。)のですが、2002年の「雪舟展」の図録は持っていて、なるほど図録を見ると花鳥画は出展作品も少なく、本展は、先に開催された大きな雪舟展の間隙を縫うような内容だと思われます。

第1章 雪舟と室町時代の花鳥画
冒頭、雪舟真筆と唯一認められている(2002年では可能性が非常に高い、になっているが、いつ確定したのか?)≪四季花鳥図屏風≫京都国立博物館蔵(小坂本・小坂家本)がお出まし。
いきなり、お手本のような作品がど~んと広々とした空間に配され、反対側には長椅子が置かれ、鑑賞者はじっくり椅子に座って屏風を眺めることができます。
この屏風を見たことがあっただろうか?京博には何度も行っているけれど、常設で見ていなければ、恐らく初見。
何しろ、鳥の縦のライン、立ち姿が真っ先に目に入ります。
鶴をこんな風に縦長に捉えたのは雪舟が初めてではないでしょうか、実際に鶴はこんなポーズをしているのか、その生態さえも気になって来ます。
右隻から、春夏、左隻は、秋冬とのことだが、私の目には2つの季節しか描かれていないように見える。
特に好ましいのは左隻。雪をかぶった大樹や薄?らしき枯れ草の風情が、あたり一面雪景色となった時の静けさが感じられ、凛とした空気が伝わって来るようです。
左隻には梅鶯が描かれており、だから展覧会のテーマは紅白梅カラーなのか!と納得。

一方右隻は、右端に描かれた奇妙に曲がりくねった大樹に引き付けられつつ、ほぼ中央に上方から伸びた松の細枝がするりと画面をさえぎるように垂れているのも面白い。
中央寄りの左隻に、はらりと舞い降りる白鷺が一羽。

花鳥画を観ていると、画中でバードウォッチングしているような気がする。どこに鳥がいるのかな、とあちこち探す時の楽しさ。思わぬところに見つけると嬉しくなったり。特にこの作品では画面背景と鳥の色が馴染んでいるものがいたり。
本作の最大の見どころは、やはり構図ではないでしょうか。
鶴のポーズもそうですが、モチーフの配置と描き方の妙は他の追随を許しません。不思議と奥行き感も感じられる。

本作品の所蔵について、1483年に益田宗兼の就禄祝いとして描かれたという通説が一般であるが、図録解説ではこれに疑問を呈している。室町時代にまでさかのぼって石見国益田の益田家にこの屏風があったという物的証拠は、現時点で何もないとしている。ご関心があれば、図録をご一読ください。

また、個人的な関心として、小坂本の小坂とは誰のことかが気になって、さる方に伺ったところ、政治家とのこと。
調べて見たら長野市の名士、政治家でもあり実業家でもあった小坂順造氏が旧蔵されていたと分かった。京博所蔵品になったのは平成14年度。

次は、同じく雪舟落款の≪四季花鳥図屏風≫前田行徳会蔵と永青文庫蔵(11月4日迄展示)のもの、2点。
並べて見ると、構図や画面に登場するもののなど違いがよく分かる。

更にこの後、(伝)狩野正信筆≪竹石白鶴図屏風≫真珠庵蔵、藝愛筆≪四季花鳥図屏風≫京都国立博物館蔵、狩野松栄≪四季花鳥図屏風≫山口県立美術館蔵、と並びます。

こうして、花鳥図屏風の系譜を狩野派まで辿って行くと、徐々に画面が平坦にかつ装飾的になって行くのが分かります。
冒頭にあった雪舟の四季花鳥図屏風のような緊迫感、緊張感は消え、豪奢で華やかな花鳥図へと変遷している。

これは時代が、時の権力者が求めた故なのでしょう。
権力者のお抱え絵師ともあれば、将の欲するものを望み通りに描くのが仕事。
今回展示替えで拝見できませんでしたが、11月5日~23日まで展示の可能松栄≪四季花鳥図屏風≫白鶴美術館蔵の絢爛豪華さたるや描かれている鳥も、もはや鶴のような地味な鳥は選ばれず孔雀や鳳凰となっているのも面白い。
四季の違いもより明瞭に分かりやすくなっている。

藝愛筆≪四季花鳥図屏風≫京都国立博物館蔵(重文)、藝愛も室町時代の絵師とのことだが、あまり名前をきかない。狩野派の屏風よりあっさり仕上げていて、雪舟に比較すると明らかにひ弱い。

第二章 中国(元・明)の花鳥画
第二章では、雪舟が学び参照したであろう中国花鳥画を紹介。
雪舟筆≪梅花寿老図≫東京国立博物館蔵は、雪舟の数少ない着色画のひとつ、真筆ではなく模写の可能性も高い。

根津美術館から伝馬遠≪林和靖図≫、伝銭選筆≪梨花小禽図≫はじめ他1点の中国画が、また東博からは名品、呂紀≪四季花鳥図≫(春)が出展されている。ただし、呂紀は、雪舟より20歳も年下とのこと、両者の接点を見出すのは難しいだろう。また、参考となる中国花鳥画から類似の表現、例えば植物の描き方など部分部分を導入し、独自の構図を編み出したということか。

第三章 雪舟と江戸時代の花鳥画
最後に室町時代から江戸時代へと時代を移して、花鳥画の日本への伝播を探る。
狩野探幽、雲谷派の絵画である。
確か、昨年だったか雲谷派の展覧会があったと思うが、一度まとめて大規模な展覧会を観てみたい、と本展で改めて感じた。
探幽は縮図で雪舟の≪四季花鳥図屏風≫らしき作品を写し、雲谷等益もまた同作品をもとに描いた≪春冬花鳥図屏風≫東福寺蔵。後者はことに巧みで、これはこれで良いのではないか、幾分もっさりしてはいるが。
特に雲谷派≪四季花鳥図屏風≫菊屋家住宅保存会蔵は、形式ばってはいるもののダイナミックな水流を配した力強い景観を描き出している。


さて、図録は2000円の横大型で掲載論文1本はちと寂しい。
本展は綿田稔氏(東京文化財研究所 広領域研究室長)が手がけられたようで、冒頭論文から作品解説まですべて綿田氏が手がけられています。
すなわち、綿田氏の研究成果のお披露目のような企画展だったのではないかと思われ、他の研究者の意見も論文掲載していただきたかったです。

*会場に作品リストの用意がないため、必要な方は事前に上記サイトの「出品作品」下部の出品リストを持参されると良いです。本展の巡回はありません。

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