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「イコノフォビア -図像の誘惑と恐怖-」 愛知県美術館ギャラリー G1、G2室

「イコノフォビア -図像の誘惑と恐怖-」 愛知県美術館ギャラリー G1、G2室 11月29日~12月4日
http://iconophobia.net/

〈イコノフォビア〉。この耳慣れない言葉なのに、一度耳にするとなかなか離れがたい記憶に残る。「イコン(図像)」と「フォビア(恐怖症)」を組み合わせた言葉だという。
本展は、魅了されるがゆえ、時に恐怖さえ与えるやもしれない図像を生み出す9名の作家によるグループ展。
出品作家:阿部大介/池奈千江/鷹野健/高橋耕平/田口健太/坂本夏子/二艘木洋行/水戸部七絵/qp

出品作家は版を扱う作家(版画や写真を使用する)とそれ以外の平面作家とに大別される。
まず、版を使わない作家から。
・池奈千江 1977 愛知県生まれ 2003 愛知県立芸術大学院美術研究科油画専攻修了
彼女の油彩は非常に絵具が薄い。薄すぎて、ベールががかったような淡さ。
描かれているのは主に少女像。全身もしくは肖像画であるが、最小限の色味と線で、軽く薄く、儚く、ふわふわと画面をモチーフが漂っているかのよう。
そんな印象を一番体現していたのは≪sleep≫2011年 眠りと題されたこの作品は、「死」もまた永遠の眠りとされるのを踏まえた上で制作されたのだろうか。
生きているのか亡くなっているのか分からない、宙に浮かんだ寝姿はやはり死の予感を感じずにはいられない。

画像は、≪round≫2011年。写真撮影にはこの作品の方が向いていたので敢えて別作品を掲載。実際に目で観ないと、絵具のニュアンスは分からないだろう。
ike

彼女は名古屋市瑞穂区蜜柑山にあるSee Sae Gallery+Cafeにて12月17日まで個展を開催中。
詳細 → こちら

・水戸部七絵 1988? 神奈川県生まれ 2010 名古屋造形大学卒業
薄付きの油彩の隣に、ごりごりに濃厚かつ絵具がてんこ盛りされた作品が登場。とにかく強烈なインパクト。
絵具のてんこ盛り作家は結構見かけるけれど、水戸部(敬称略)の作品は、破たんと絶妙な画像解釈との間のギリギリの所に位置している。一歩間違うと、作品は崩壊寸前の危機にある程の破壊力を有するが、上手く均衡が取れている作品は、何にもまして力があると同時に存在感と面白さがある。
まだまだ未知数であることは、モチーフからも察せられ、絵具のチューブのような具象もあれば、タイトルは≪東京メトロ≫(下画像)なのに、メトロはどこなの?と探したくなるような抽象とが混在。
mitobe

mitobe2

作家のサイト(以下)を観ると、絵本にも関心があるという。ところで、このサイトのトップ画像も良いですね。
http://nanaemitobe.com/ 注:トップ画面は音楽が付き
今後が楽しみな作家。

・二艘木洋行 1983年生まれ 
お描き掲示板での描画を2005年より始め今日に至る。
デジタルアートの一種なのかと思いきや、手描きの水彩ドローイングもある。水江未来さんのアニメーションのような。
nisougi

月並みな表現で申し訳ないが、ポップでカラフル、オートマティスムを思わせる自由奔放な描線が特徴。
まさにお描きというのがピッタリだが、バラバラに見えつつも全作品を通しての統一感と作家のオリジナリティがある。
アニメーションなどに向いているように思うが、その方面にご関心はないのだろうか。
オリジナリティ要素のひとつに、作家サインがある。画面対比のサインの大きさはかなりのもの。中には画面の中心に名前が入っているものがあったり、レタリングとして観ても面白い。
タイトルは「梨」。untitledのダジャレ。
子供のような絵、かのパウル・クレーもそう評されることがあったが、大人の描く子供のような絵ほど怖いものはない。
作家サイト → http://unknownpop.com/about.html

・坂本夏子 1983 熊本市に生まれ 現在、愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程在学中
出品作家として、もっとも著名なのは彼女だろう。
2010年のVOCA展、国立国際美術館で開催された「絵画の庭」展など展覧会での作品発表の機会を得ている。
今回出品された2点は、最初2011年制作とあったので新作と思いきや、1点は今年2月に開催された「アイチ・ジーン」豊田市美術館会場で、もう1点は同じく「アイチ・ジーン」愛知県芸術大学芸術資料館で展示された作品らしい。

未見作は「Octopus Restaurant」で、空中に蛸が浮かび、相変わらずどこまで続くのかという程、奥行きが深い。
sakamoto

画面の中央に向かえば向かう程、細胞のような壁面が密になっていく様子には恐怖を覚える。まるで壁という壁が全て細胞で、触手を伸ばしてくるような。

そして、こんなに濃密な画面と構成を考える坂本夏子という作家にも畏怖を覚える。

・qp
詳細不明。作家サイトは発見。前記の二艘木氏とのつながりがあるよう。
アンタイトルで紙にインク、その上から保護用なのか光沢を出すためなのかニス塗りされている。
こちらもお描きに近しく、モチーフに性的描写が多いのが特徴。色づかいに特徴がある。小画面が多く、これが大画面になったらどうなるのだろうと思った。扱いきれるか。
qp

次に版表現の作家へ。

・阿部大介 1977 京都生まれ 2004 愛知県立芸術大学大学院美術研究科 修了
本展企画にも携わっている。アイチ・ジーンでは、版を利用した立体作品が印象に残っているが、今年の春のアインソフディスパッチでの個展頃から平面版画へ回帰。
本展でもトナーを利用した銅版画≪to the mass≫15枚組を展示。ストロークの痕跡が感じられるモノトーンの版表現はストイックで書のようでもあった。
abe

・田口健太 1980 長崎生まれ 2009 愛知県立芸術大学 大学院 美術研究科 美術専攻 油画・版画領域 修了
写真であって版でもある。
そう評するのは適切だろうか。技法については以下作家のサイトに詳述されている。以下。
http://kenta-taguchi.net/
ほぼ同じ少女の顔が4つ並ぶが、光の当たり方が違う。そして、その表情や顔付きも同じようだが微妙に違いを持っているような気がする。
4点の少女ドローイングをフィルムに行い、現像し写真化されたものが作品として展示されている。*画像は3点ですが本当は4点並ぶ。
taguchi

作品の印象を決めるのは、ドローイングだろう。
どこまで、魅力的な像を描けるか。光のニュアンスはその次の段階にあるのではないか。
観者の目は、最初図像全体に行き渡り、光の当たり具合などの細部への配りは次段階にある。

・鷹野健 1980 神奈川県生まれ 2005年愛知県立芸術大学大学院油画専攻修了
石膏に版を転写?する作品。
石膏の白の上に、版のインクが溶けだすようなにじみを見せる。
takano

陽炎もしくは過去の幻影を観ている気がした。版も写真も記録を残す手段のひとつであることを思い出した。
作家の公式サイト:http://www.ttakano.com/

・高橋耕平 1977 京都生まれ 2002 京都精華大学大学院芸術研究科修了
大学で版画と写真を学ばれたという。
2点の写真を使用した作品≪object≫(a man)シリーズは、一見真っ黒な画面なのだが、よくよく目を凝らすと、じんわりと人の顔らしき像が浮かぶ。
写真に油性インクを使用したまだら模様のポートレートが11点並ぶその下に1点の映像作品が。
家族にまつわる思い出話を2人の男性が池を背景に数十秒ずらして全く同一の台詞を語る作品。
音声の「ズレ」がポイントなのだが、声は声色という例えがあるように色の役割をし、支持体となる紙の代わりが画像で、映像による版表現であった。10人が同様にズレをもって発話したら10色の多色刷りとなるのか。
takahasi

彼も現在京都にて「パズルと反芻」と題した2人展を開催中。こちらは12月23日まで。
詳細 → こちら

版表現の違いに焦点を当て画像の扱いを見せるなら、山田純嗣さんの作品があればより面白かったに違いない。

9名による図像操作に翻弄されつつ楽しめるグループ展だった。

*写真は主催者の許可を得て撮影。

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