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興梠優護 「boiling point」  CASHI°

興梠優護
「/ 03」 H1621xW1303mm (F100) 2011 oil on canvas

興梠優護 「boiling point」  CASHI° 2011年12月2日(金)~12月24日(土)
http://cashi.jp/lang/ja/exhibition/995.html
興梠優護(artistサイト):http://oguy.jp/index.html

馬喰町のCASHI°で、興梠優護(こおろぎ・ゆうご)が2年ぶりの個展(2010年にGallery Art Compositionで個展「火|花」開催)に行ってきました。

随分前から見知った作家のような気がしているが、個展を拝見するのはこれが初めてということに自分自身でも驚いている。
デビュー当初のソフトクリームのように蕩けるようなヌードシリーズ(「l<エル>シリーズ」)が記憶に残っていたが、アートフェア大阪で版画作品を、文化村ギャラリーでヌード像を一新した「火」をイメージした作品を観てのち、高橋コレクションのヌードモチーフの油彩に戻って、彼の作品(「l」シリーズ)にりつかれてしまった。

以前このブログにも書いたと思うが、高橋コレクションに入っているヌードを観た時、老いることが怖くなくなった。
こんな風に肌が溶けて老いていくのなら、それはそれで良いのではないか、朽ち果てていくその姿もまた美しいかもしれないと思わせた。実際は、溶けるのではなく、しわしわになってたるんでいくのだから、現実は残酷だ。

昨年の「火」をモチーフにした作品は、彼の肉親が亡くなった際の思い、経験を昇華したもので、これまでのヌードモチーフから一転して、黒を主体とした激しい色遣いと具象と抽象の間を彷徨うような、また、これまでになく写真的な要素を持ち合わせた作品(smokuシリーズ)だった。作品画像は作家のサイトをご参照ください。→ こちら

そして迎えた今回の個展。興梠優護は、またも新しい一面を見せてくれている。
モチーフは2種類。ひとつはヌード、そしてもう一つは口の中。後者は、口シリーズとされている。
口シリーズはこれまでにもグループ展、個展で発表されている。
新しい側面というのは、ヌードモチーフの作品の色彩がより彩度が高くなり、かつて観たことのない蛍光グリーンやピンクを背景色にした作品を登場させたことだ。

また、蕩けるような皮膚は上から下に流れ落ちていたが、新作シリーズ(スラッシュ/シリーズ)では、画面から蒸気のように気体化したものが浮遊している。
2年前の個展は「melting point」、今回は「boiling point」。
起点作は、ギャラリーの最奥にひっそりと展示されている。画像は作家サイトのトップ最上段にあるもの。
タイトルは個展タイトルそのまま「boiling point」H530xW455mm (F10)2011年。

smokeシリーズの名残を中央の一部に留め、背景色は黒だが、下地に何色かを重ねているのはキャンバスの脇を見ると分かる。沸点(boiling point)というより、発火点に近いイメージだが、ここから派生して、スラッシュシリーズが始まっていく点は実に興味深い。
スラッシュシリーズでは、後に続く番号が大きいほど、制作が新しくなるが、最新作ではこれまで以上の抽象化が進んでいる。抽象化が今後どう画面上に進むのかは分からないが、/シリーズを制作していく過程において、抽象化の進行と画面構成のはざまで迷いがあるように感じた。

個展に先立ちスパイラルの「ULTRA004」ノーベンバーサイドで出展していた「/02」では、これまでにない淡い色調の背景と画面に浮遊する白い斑状のものが付されており、こちらの方が「沸点」のイメージに近い。
近づいて絵肌を確かめると、遠目ではフラットに見えていたが、実際は少しずつテクスチャーやニュアンスの付け方が違っていて、様々なテクニックが多用されているとのこと。
実際にざらつき感やつるっとした画面の部分など、それぞれ触って確かめたくなる衝動に駆られる。

淡い色調で軽さがあるので、塗りは薄いかと思いきや、実際は何層にも塗り重ねられていてこちらの想像以上に絵の具層
は厚かった。不思議なことに淡い色調な背景を使っているのはこの作品だけ。元々、肌色の色相の使い方は抜群に上手く、作家も扱いやすいのだろう。同じような扱いやすい色として黒が挙げられる。
ところが、蛍光グリーンのような軽く明るい色の作品を仕上げるのには、相当手こずったのか、「/03」(トップ画像)でピンクを使って後は、再び得意の黒背景に戻っているのは惜しまれる。

「/03」と同じく黒、白、緑、赤など捕色関係にある色だけを使った、怒りもしくは情熱を感じさせる作品などは非常に力強く、メランコリックな雰囲気が漂う。

口シリーズも作家が関心を持つ皮膚へのアプローチの延長線上にあり、むしろこちらの方がストレートに皮膚感覚を鑑賞者に与える。ここでは赤と肌色系統の色相グラデーションを巧みに操る。口の巨大なアップは、こちらが食われそうで怖かった。

モチーフとしての皮膚、触覚的なテクスチャー、興梠作品は鮮やかな目で触れる絵画へと進化していた。そして、この進化は今後も続くと信じている。

*12月21日AM1:35に加筆。

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