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「高橋節郎と黒と金と朱の美術」 豊田市美術館 高橋節郎館

「高橋節郎と黒と金と朱の美術」 豊田市美術館 高橋節郎館 9月17日~12月25日
http://takahashi-setsuro-museum.or.jp/event/information/rgb.html

前回の続き。
高橋節郎館(1914年~2007年)は、1938年東京美術学校工芸科漆工部を卒業し、以後漆芸作家としての道を歩む。l昭和59年に豊田市で開催された展覧会が機縁となり、豊田市に多数の作品が本人より寄贈され、平成7年の豊田市美術館開館の際、隣に高橋節郎館も同時に開館している。

豊田市美術館にはよく出かけていたが、高橋節郎館は1度入って、その後はスルーしてしまうことが多かった。
しかし、柴田是真展あたりから、この館の魅力に漸く気が付き、そして今回も入ってみたら、「RGB」なる文字が目に入って、チラシも3色3種類、金、朱、黒と用意されているではないか。
ん、なんだか面白くなってきた。。。といそいそと中へ進む。

予感は見事に的中。

以下会場脇にあったギャラリーガイドより引用する。
RGB-赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の頭文字からなるこの言葉は、光の三原色を表し、写真技術やテレビモニターなどの光学世界に用いられています。(略)無限とも思えるわたしたちの色彩世界も、究極的にはこの三色が織り成すきわめて繊細な諧調とも言えるのです。(中略)

高橋節郎は戦前の東京美術学校在学中の折から、近代における漆芸といかに向き合うかを模索していました。当時、絵画や彫刻などの美術の領域から近代的な新たな造形言語を取り入れる作家が現れる一方、それらを美術と区別されるかたちで、伝統的な工芸という概念がすでにひとつのながれを成していました。このような捩れのなかで、いかにして自らの芸術的情熱と漆芸の技巧をひとつにし、作品へと昇華するのか。はじめ色漆を用いた多色の漆絵にこの難題の解決策を求めた高橋は、しかしやがて、漆芸における根本的な二色、つまり黒と金という漆の本来的な可能性のなかに自らの幻想世界を展開することで、漆芸家としての進むべき道を見出すことになります。

本展は、黒と金の2色に高橋作品の基調をなす朱を加えた、高橋節郎の三原色-朱(Red)、近(Gold)、黒(Black)、つまりもうひとつのRGB-を立脚点に、豊田市美術館のコレクションと高橋作品とを通して、シュルレアリスムの夢想や高橋が絶えず仰ぎ見た宇宙の観想、そして、静謐な世界にふいにあらわれるユーモアと力強い生命の讃歌など、高橋作品のもつ魅力を紹介するものです。

主な出品作家は次の通り。
(黒)長谷川潔、浜田知明
(金)岡崎和郎、秋吉風人
(朱)アルベルト・ブッリ、斉藤義重、野村仁、榎木忠、コンスタンティン・ブランクーシ

まず地下階へゆっくりと降りていくと、そこは「黒」の世界だった。
漆のつやのある黒、角度によっては液体のようにも見える黒が競演している。
そして、壁面には同じ黒でも版画作品の黒が並んでいた。長谷川潔、浜田知明、いずれもモノトーンで勝負するが、長谷川の作品がどこか詩的で文学的であるのに対し、浜田のそれは戦争の残酷さ、人間の残虐さをえぐり取った戦争体験の銅販画と、作品の印象はまるで異なる。
それらの静かな版画作品を見守るように、高橋の装飾的なピアノ作品、漆絵などが並ぶ。

ミロ風のオブジェのコーナーを抜けると、次に待っていたのは「金」の世界。
ここで、最も気に入ったのは岡崎和郎の「Hisashi(庇)」シリーズである。高橋節郎館の1階奥には外庭を眺められる絶好の休憩コーナーがある。名作チェアに腰をかけ、屋外彫刻を外気温差から曇った窓ガラスからぼ~っと観ていると、右頭上に岡崎和郎の「Hisashi」があることに気づいた。
コーナーに入ってくる前にもひとつあったが、休憩コーナーのものはブロンズ製でやや大きい。
岡崎和郎と言えば昨年、神奈川県立近代美術館で個展が開催され、すばらしい内容だった。彼は自作を「御物補遺-(従来のものの見方を補いながら、全体を見通すようなオブジェ、と位置づけている。
それはともかく、ガラス1枚隔てた外界と外にあるべき庇が中にあるのを眺めていると、目に見えない空白の「内側」をかたどったのが、「庇」なのであった。
日がなこの場所で読書に耽りたい。このまま、ずっと岡崎さんの庇があると良いのにと思った。

秋吉風人さんの作品は、苦手だったけれど、「金」のコーナーで作品を観た時、ペインティングなのに、立体のような物質としての重みを感じる。

最後は「朱」のコーナー。
ここが3色のなかで、一番かっこ良かった。
特に榎忠の「薬莢」、野村仁「北緯35度の太陽」赤ヴァージョンと共に展示されていたのが忘れられない。
高松次郎の「点」や岡崎和郎のマルティプル作品を最後にもってくるあたりで感動きわまる。
好きな作家の作品ばかり。。。そして高橋節郎さんの筒型をした作品が中央に配され、この中で観るとつくづく工芸という枠組みでなく、岡崎和郎、高松次郎らの立体と同種の現代美術としか見えないのだった。

近代現代作家の作品と相まみえると高橋節郎の作品を別視点で見ることができた意義は極めて大きい。漆芸の可能性を自ずと鑑賞者自身が閉じてしまってはならないのだ。他作品と合わせて観ることにより、両者の相違点、共通点が見えてくる。そんな大切なことを気づかせてくれる好企画展だった。

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