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東海4県の美術展を振り返る

毎年年末は30日まで仕事のことが多いのに、今年は28日が仕事納め。おかげで31日までの3日間をのんびりと過ごしている。

昨年の12月31日年間ベストの記事を最後に、ブログを休止。その後、ぽつりぽつりと記事をアップしているものの開店休業状態が続いた。もはやブロガーとは言えない状況であることは認識しつつも、やはり年間ベストだけはあげておきたいと思う。しかし、その前に東海4県の2012年美術展を振り返ってみる。

企画展は他の美術館、博物館に巡回するものと、単独館開催とに2分される。自分がついつい萌えて、燃えてしまうのは後者の単独館開催の方。もちろん、巡回展は規模も大きいし、見応えがある内容のものが多いのだけれど、私は巡回の場合、どこの館で見るかも考えるし、良いと思った展覧会は館を変えて見に行くこともある。

まずは、東海4県単独開催展の私的ベスト。
昨日、Twitterで呟いたが、ベスト3は

1位:彫刻を聞き、土を語らせる西村陽平展 愛知県陶磁資料館
http://www.pref.aichi.jp/touji/002_s_exh/002_2012s_exh_nishimura/002_2012s_exh_nishimura.html
焼成の可能性だけでなく、触覚領域を意識した作品制作。また視覚障害の方への教育成果を「西村陽平が出会ったことどもたち展」で紹介。目を瞑って、触ったあの「ぷにゅぷにゅ」した物体の感覚が今も手に残っている。触覚記憶は、他の知覚領域より脳内保持時間が長く、強いのではないだろうか。
加えて、今年のドクメンタで西村氏の焼成作品を彷彿とさせる作品を展示していた作家がいた。なぜ、この作家が選ばれて西村氏が選ばれないのか、そんなことを会場でふと考えた。

2位:丸木俊展 一宮市三岸節子記念美術館
http://s-migishi.com/tenran/index_2.html
小規模館ながら、企画展は毎年きっちり渋くて濃い内容を実現される美術館。以前から気になっていたがまとめて作品を見る機会のなかった丸木俊展はこちらの期待に見事にこたえてくれた。初期から晩年まで、1点だけど丸木位里と共作の「原爆の図」も展示。絵画だけでなく絵本の仕事も展示室を分けて紹介。まさか、パラオに行っていたとは!驚きの連続。丸木俊はバリバリの左派で、モスクワとパラオに渡り生活、戦中・戦後を生き抜いた人生は圧巻というしかない。どんな環境下であっても画家であることを一時として忘れていない。最後まで見終えた時、ちょっと泣けた。

3位:江戸絵画の楽園 静岡県立美術館
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/exhibition/kikaku/2012/04.php
「江戸絵画の楽園」といううすらぼんやりした展覧会タイトルになってしまったが、本来は「江戸絵画のかたち」というタイトルが相応しい内容。実際、企画した学芸員氏は「江戸絵画のかたち」展と冠したかったに違いない。屏風、掛軸、絵巻、版本など日本美術の絵画形式を江戸期の作品に絞って紹介し考察。なぜ、画家はこのかたちを選択したのかを作品を見ながら考えられる。しかも、展示作品は初公開の個人蔵や新出作品のレアもの多数。図録も通常の形式と違って作品解説が図版と同じ頁に掲載され、読み物のように頭からお尻まで丸ごと読めてしまうという素晴らしさ(もちろん、担当学芸員氏の意図的な構成)。静岡県美の江戸絵画展は決して見逃してはならないと改めて再認識した。


次点:南都大安寺と観音さま展 パラミタミュージアム
美術館のサイト構成がイマイチで2012年度の過去企画展にアクセスできずリンクが貼れませんでした。
同館開館10周年企画展、初訪美術館。大安寺とその周辺地域の寺社所蔵の観音だけを集めて紹介。地域独自の観音信仰を追う。懐中電灯貸出ありでじっくり横から斜めから拝見。馬頭とか如意輪観音とか文句なく良かったけど、法隆寺の白鳳仏に影響を受けたと思しき円空作の巨大観音も忘れられない。同時に熊谷守一展も開催されており、ダブルで楽しめた。台風直撃の午前中に行って、近隣の温泉露天風呂に暴風雨の中浸かっていたのも良き思い出。

・魔術/美術ー幻視の技術と内なる異界  愛知県美術館
http://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/history/2012_01.html
愛知県美、三重県美、岐阜県美の3館所蔵品を「魔術/美術」をテーマに紹介。図録がコンパクトかつおしゃれで、内容がめっちゃ濃いというレアもの。「マジュビジュ」なる展覧会略称がSNSを跋扈していたのも忘れがたい。

・開館30周年記念所蔵名品展 絢爛豪華 岩佐又兵衛絵巻 MOA美術館
http://www.moaart.or.jp/exhibition.php?id=34
これはもう技も何もない。所蔵品の又兵衛作(伝又兵衛含む)「山中常磐物語」「浄瑠璃物語」「堀江物語」を3期に分けて全巻公開。でも、きっとこの企画はいつかまた開催される筈。図録を制作していただきたいものです。

この他、「原裕治展」 碧南市藤井達吉現代美術館、「自然と幻想の博物誌」&F氏の絵画コレクション 豊橋市美術博物館も良かった。
見逃した展覧会で痛かったのは、岐阜県現代陶芸美術館の「井田照一展  ―土に挑む―」と岐阜県博物館の「飛騨・美濃の信仰と造形 ―古代・中世の遺産―」2つ。前者は多治見市、後者は関市、岐阜県は広い。。。井田昭一展は気づいた時には終了していたが、これが一番見たかった。
愛知県美術館の新たな試みとして、愛知県当時資料館の所蔵品と同館所蔵品を合わせて紹介した「美しき日本の自然」や今年度よりAPMoAプロジェクト「ARCH(アーチ)」も重要。特に後者は、どうしても手薄になりがちな現代作家を学芸員と作家の共同で作る個展形式。ここで力を発揮できるかどうか、作家としても今後の評価につながる貴重なチャンス。鑑賞者はそれをありがたく享受させていただく。個人的には西岳拡貴と奥村雄樹の回が良かった。

私的にどうしても共感できなかったのは名古屋市美術館と豊田市美術館の両館で開催された青木野枝展。新作の「原形質」など今後が楽しみな展開もあったが、作品よりそれを包む建築に目が行くのはなぜだろう。むき出しの名古屋市美術館の展示室が意外に狭いと思ったり、自然光が降り注ぐ豊田市美術館の展示室と思い出すのはなぜか美術館建築。空間を引き出すのが青木野枝さんの作品の特質かとも思ったが、それは的外れだろう。何にせよ、私自身の見る目がないとしか今は言えない。
他にメナード美術館の船越桂展、名古屋市博物館の芭蕉展、岐阜県美術館の象徴派展も独自開催として見応えのある内容だった。ベストに入っていないのは私自身の興味と嗜好の問題。特に船越桂展は客観的に考えれば良かったと思う。

共同開催展は、東海限定でない年間ベストで触れることにする。東海地方のギャラリーや美術館外での展示(例:岡崎ART&JAZZや小牧の常懐荘で開催されたうつせみ展、佐久島アートプランなど)は割愛させていただく。中京大学のCスクエアが来期でクローズするのは名古屋地区の大きな損失。非営利ギャラリーとして草分け的な存在で重要な展覧会の数々を開催していただけに惜しまれる。

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