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生誕100年 船田玉樹展 広島県立美術館

「生誕100年 船田玉樹展―異端にして正統、孤高の画人生」を観るために広島県立美術館へ。
昨年、練馬区立美術館で開催された本展が、いよいよ船田玉樹の故郷、広島に戻ってきた。元々、この企画展は広島県立美術館の主任学芸員(永井氏)がメインで担当されているし、練馬は展示スペースが手狭で前後期ほぼ全展示替えだったこともあり、観には行ったものの釈然としない思いが残った。
船田は、2010年に東近美で開催された「日本画」の前衛展で初めて存在を知り、衝撃を受けた作家のひとり。山岡良文、山崎隆ら歴程美術協会に船田も参加していた。その翌年(2012年)が船田玉樹の生誕100年だったとは。

本展の概要や見どころは、広島県美の公式サイトおよびブログに詳しい。ここでは、感想のみにとどめたい。

船田玉種にとって速水御舟は非常に重要な存在だった。玉樹の手記(6枚だったと思う)が全頁公開されており、そこに御舟とはわずか4回しか会ってないが、その出会いこそが画家として生きる自分の支えとなった旨が綿々と書き連ねてある。絵を観ていても、特に初期の日本画では御舟の影響が濃厚に出ており、展示で並列されているため、酷似しているのがよく分かった。とりわけ、牡丹、芥子といった花は御舟のと見紛う程。

これが歴程美術協会に参加して以後、徐々に変化を見せ始める。
おなじみの《花の夕》も良いが、個人的には《雨四題》1941年の墨絵と彩色を季節で使い分けした4点が特に好みで、後に登場する1963年の《九品仏の雨》共々、ねっとりした雨の日の湿った空気が観ている方に伝わり、大げさでなく静かな雨音さえ聞こえるような風情を絵に讃えていた。
雨と同様、船田玉樹を語るのに「松」と「梅」の主題は外せない。ことに、前者の「松」は初期から晩年までほぼ一貫して登場する。なぜ、彼は松をよく描いたのだろう。玉樹は松に何を見、何が心をとらえたのか。玉樹自身の投影と考えるには無理がある。中でも印象深いのは2隻一双の《松》(制作年不詳)。画面から大きくはみ出た老松は狩野永徳の《檜図》を思い出させるような狂おしさと生への慟哭を訴える。枝はあちこちに伸び、一方には幹だけを描き両隻の構図の差異が見事だった。
思えば、玉樹の傑作のひとつ《大王松》1947年は松の葉が異常に長く、キャプションによれば多点透視図法とのことだが、そのせいなのか、絵から松の葉がせり出してくるような感覚を受ける。《暁のレモン園》はオールオーバーというか、具象と抽象の狭間のような作品で、前述の前衛展で一番好きだった作品。

画家としての転機は太平洋戦争で、玉樹も出征を余儀なくされ戦後は広島に戻るが、画家生命の危機は1974年のクモ膜下出血。手先の自由を失うが、不自由な手で新たな表現方法を生み出す。この辺りになると、画家の業を切実に感じ、泣けてくる。1960年代半ばから水墨表現に新たな展開を見せ始めていたことが、病後にも活かされたと考えて良いだろう。特に素晴らしいのは水墨実験作の扇面《山の家》12面の連作で、これが広島では何と2セット、12面×2出展されていた。並べてみると、カメラのズームイン、ズームアップのような連続写真のような様で大変面白い。扇面という同一フォーマットで描き並べていたが、これが扇面でなく方形の紙本だったらどうなったのだろう。2セット残されていることを考慮すると玉樹は扇面を意識して選択したと考えて良いのか。いずれも1984年の作品でこれ以後、作品の数が減っているのは健康上の問題なのかもしれないが惜しまれる。玉樹のガラス絵や《フェイス》を観ていると、西洋美術の動向も受容し作品に取り入れているように思えてならない。

展示最後は、屏風絵がずらりと並ぶ、梅の艶やかさが心に残った。広島県立美術館の展示室は広く、天井も比較的高いため200点超、しかも屏風絵が多数ある壮大な展示に無理がない。引いても近くで観る事もできたのは本当に嬉しく、本展関係者の皆様に心から感謝いたします。

展示室を出て、館内1階にあるレストランで昼食。美術館は広島藩主浅野長晟が別邸庭園として築成した縮景園に隣接。館内から縮景園への入口もある。レストランは縮景園に面しており、はかったように紅白の梅の莟がほころんでいた。
展覧会の開催期間は縮景園の梅の開花時期とを合わせたのかもしれない。

会期;2013年1月21日(月) ~2013年2月20日(水)

蛇足ながら、練馬区美の後、代官山ヒルサイドで開催された船田玉樹展も拝見。画室の再現は、両美術館にない試みで良かった。
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