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「美麗 院政期の絵画」展 奈良国立博物館

院政期というのは、日本史上目立ったヒーローがいない地味な時代のように思います。
よって、年代としてどの時期を指すのか漠然としていました。
その院政期の絵画作品他を幅広く集めた本展。
一生忘れられないと言いますか、二日経過した本日も頭の中に、馬頭観音やら地獄草紙が巡り巡ってます。夢にまで出てきました。

展覧会は
第1章 美麗のほとけ
第2章 説話絵と装飾経
第3章 絵巻物の世界
第4章 白描の絵画
第5章 藤末鎌初のほとけ
全部で125作品から構成されていますが、展示作品の90%が重文、国宝指定(うち4割が国宝)を受けています。

もうどれも傑作の数々で全部が凄いのですがとりわけ感服した作品のみ抜粋してご紹介します。

第1章 美麗のほとけ

しょっぱなからカウンターパンチ炸裂です。
五大力菩薩像のうち後期は「龍王吼菩薩」とまずはご対面。
これが大きいの何の。3メートルを超してます。
その3メートル大に描かれた三つ目の龍王は怖い怖い。怖いけど見たい。
火炎を背景に躍動感溢れるその姿を見ただけで、ひれ伏したくなります。
奈良博は前回の「神仏習合」展でも須弥山石で度肝を抜かれましたが、展覧会冒頭に強烈作品を持って来るのがお得意なようです。
この龍王吼菩薩はじめ前期展示の「金剛吼」他全部で5作あり(現存するのはうち3作)、この5作を用いて仁王会を開催したとされています。
こんな大きい作品5つに囲まれた仁王会を想像するだけで、恐ろしい。
でも、出てみたい。

・「孔雀明王像」(東京国立博物館蔵)。
孔雀


「孔雀明王像」はこれまた今春行った京博の「藤原道長」展で重文指定のものを見て非常に感銘を受けた仏画。
今回は国宝指定の孔雀明王像でしたが、私は先に見た重文指定の作品の方が色っぽくて好きです。

・「馬頭観音像」(ボストン美術館蔵)。
馬頭


本展チラシにも使用されている馬頭観音像ですが、震えが走るほど美しい作品です。
細かな錐金模様や燃え立つような赤、ダイナミックと優美と精緻が混在した作品で、米国ではあまり公開されることがないのでしょうか、保存状態も最良です。
この展覧会のMYベスト3に入ります。

その横にある同じくボストン美術館の「如意輪観音像」も美しいですが、インパクトではやはり前者に軍配が上がります。

・「訶梨帝母像」(醍醐寺蔵)
キリスト教で言う所のマリア様のような優美なお顔が印象的。


第2章 説話絵と装飾経

平家納経(厳島神社蔵)の美しさが群を抜いてました。
もう平安の雅文化技術が集結した作品。特に厳王品、薬王品はどうやったらこんな美しいものを作れるのだろう。
退色もせず、よくぞ1000年を経て今に残ってくれたと感謝するのみ。


この時点であまりのすごさにくらくらして、一度休憩を取るためカフェに出ました。

第3章 絵巻物の世界

絵巻物は平安時代に成立。院政絵画を語る上で欠かせない重要な存在であるが、今回は集められたのは繰り返しとなるが逸品ぞろい。

・沙門地獄草紙
地獄


地獄にもいろんな種類があるようで、解身地獄(上)やら沸し(糞尿)地獄やら見ているだけで気持ち悪い。

・病草紙
上記地獄草紙より身近な生活観を感じる。今も昔も病は怖い。

これら草紙絵にはひらがなの添え書きがあって、このひらがなが作品のおどろおどろしさとは対照的に美しい。日本のひらがな文化ここにあり。

・粉河寺縁起絵巻(粉河寺蔵)
千手観音成立の過程を絵巻物でたどる。登場人物の表情や動作が鮮明に描かれていて見ていて面白い。

・華厳宗祖師絵伝(高山寺蔵)
絵巻物中ベスト1。
お姫様が僧を救うため海に身を投げ、竜となり海の旅での僧侶を守るお話。
絵巻物初心者にも分かりやすい内容と現代にも通じるような竜の描き方がちょっとユーモラス。さらに保存状態も最高。
竜となったお姫様はかっこいい~。

他にも料紙に贅や工夫を凝らした作品多数で、これを全てじっくり見たら疲労困憊。

第4章 白描の絵画
一転して地味な世界へ。密教をたどる絵画多数。

第5章 藤末鎌初のほとけ

・蓮池図(法隆寺蔵)
次代に通じるような構成の蓮池図。見ているだけでほのぼのしてくる。
仏壇後壁に描かれた作品らしい。
この作品をもって、本展最後を飾る。


絵画展ではあったものの陶磁器や工芸、仏像も適度にちりばめられ、ちちりばめられていても優品ぞろいなのがすごいですが、絵画だけより、ちょっと気分転換になって好感をもちました。


図録も1500円と手を出しやすいお値段にもかかわらず、画質、紙質も良く、奈良博の特別展図録は本当にお値打ち。
奈良博で可能なのに、東博、京博はなぜ値段が高いのか不思議。

仏画や絵巻物もどんどん過去に見た作品とつながりが出てくるので、見れば見るほど面白くなってきます。
日本美術の魅力に片足どころかどっぷり浸かり始めました。
すごいゾ、日本!


*30日まで開催中。仏画、絵巻物が苦手でも絶対オススメの展覧会です。

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紫さま

こんにちは。
この展覧会間に合って良かったですね!

後ほど、紫様のブログにも遊びに行きます。
東大寺の記事を書かれていたので、そちらも気になります。

やっと行ってきました

もうすぐ終了、というこの時期に、見逃しては大変、と行ってきました。

ほんとにすばらしい展覧会でした。
やっぱり、なんといっても、「いい!」と感じるのは密教ですよねぇ。

@アイレ様

お気持ちはよ~く分かります。私なら散在覚悟で再訪しますね。
何しろ、これだけ集まることっていづつや様によると10年に1度あるかないかだそうですから。
私も分かっていれば、万難を排して前期も見に行ったと思います。
図録と実物では受ける感動が全然違います。


@あべまつ様

こんばんは。
一村雨様とは本当に偶然の遭遇でした。
しかし、私は一村雨様がどんな方だったか全く記憶にないのです。
何しろ、お隣に座ってバス待ちしていた時は暑いのと疲れで放心してまして・・・。
化粧も汗で剥げ落ち、ひどい状態でした。
一村雨様も私の記憶が抜けていることを祈るばかり。

正倉院展も今年は行ってみようと思います。

初秋の奈良

こんにちは。
一村雨さんとのやりとりにわお~と拝読しました。
奈良が近ければ・・・・とうなるのは私も同じです。
激しい夏が終わり、萩の花が咲き乱れ、
お彼岸も過ぎた頃、
奈良が落ち着きを取り戻す頃でしょう。
正倉院展が始まるとまた奈良が活気付きますね。
奈良博、随分よくなりましたね。
そういう話題は本当に嬉しくなります。
すばらしい展覧会だったことがよく伝わりました。

奈良に行きたいーーー

memeさん、こんばんは
TBありがとうございました。
今、凄く迷っています。散財覚悟で後期展示を見にいこうか、と。
後期の展示もまた凄いものばかりですし、前期の感動をもう一回追体験した感じです。
もう少し、奈良が近ければ・・・←無理v-12

いづつや様

こんばんは。

私が過去見た中で最高の特別展でした。
いdつや様ほど沢山の特別展を鑑賞されていても
一生忘れられない展覧会であるなら、私など尚更です。

おかげで、この後見る展覧会が全てショボク感じそうです。

院政期というのは文化的に平安の雅が集大成された時代だったのですね。歴史的にも大変勉強になりました。

国宝の絵画

国宝の仏画や絵巻物、装飾経をみるというのはやはり特別な体験ですね。しかも、普通の展覧会の数倍展示してくれるのですから、もう最高の気分です。

保存状態のいい孔雀明王像、十一面観音像、平家納経、扇面法華経冊子、華厳宗祖師絵伝、辟邪絵などの豊かな色彩、精緻な装飾文様に言葉を失います。一生忘れられない展覧会になりました。

一村雨さま

私は糞尿地獄が一番嫌でした。
考えただけでおぞましい・・・。
地獄に落ちないように功徳を積みたいと
真剣に思いました。

夢に出るなら孔雀明王が良かったのにな~。

夢にまで出てくるなんて、やはりインパクト、強烈
だったのですね。
こんな地獄には落ちたくないものです。
こんな馬頭観音や不動明王にも出会いたくないものです。

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