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アイチのチカラ!戦後愛知のアート、70年の歩み 愛知県美術館

展覧会の印象(良かったかどうか)と客観的評価は別物だ。
鑑賞行為は経験値や知識により個々人で異なる点は両者の共通項だが、印象は事前に抱く期待値によって左右される。

愛知県美術館で開催中の「アイチのチカラ」展に私が好印象を持てなかったのは、予め期待した内容と異なる内容だったからだ。だから、以下はあくまで私個人の印象と感想であることを予め断っておきたい。

まず、本展が私が失望したのには以下2つの理由が考えられる。
1.展覧会タイトルと内容の乖離
観終わって最初に思ったのは、これが「アイチのチカラ」だと思われたら困るということだった。
本展における「チカラ」とは何を指していたのか。
旧来の画壇や大学における権力、影響力を持った作家の作品群。
むろん、国内での評価が高い作家の作品も多かったが、前衛やニューメディア、写真、工芸は一切排除され、絵画と彫刻という従来より正当とされた「美術」作品がお行儀よく並んでいたにすぎない。

愛知県美術館は、先に亡くなったばかりの東松照明や藤井達吉ら工芸の作家作品も所蔵している。所蔵しているにも関わらずアイチのチカラとして展示から排除されたのはなぜなのか。
そして、愛知県刈谷市出身の河原温や県内公立で美術館を併設する名門旭丘高校卒の赤瀬川原平(ハイレッドセンターのメンバー)、岡崎市出身の志賀理恵子らの作品は所蔵していないのだろう。
前衛作品、写真(東松照明と安齊重男しか所蔵がないと聞いている)の所蔵がないのは、これらに対し同館の評価が低かった美術として評価しなかった裏付けとなる。
本展において見えてきたのは、同館がこれまでどんな作品を評価してきたかの歴史だった。

戦後愛知のアート、アイチのチカラと展覧会タイトルに付すのであれば、これらは戦後愛知のアートでもアイチのチカラでもないと判断されたか。
絵画と彫刻に限定するのであれば、アイチのチカラ!戦後愛知の絵画と彫刻の歩みとでもした方がこちらも期待することはなかっただろう。

愛知県の芸術大学をとりあげていたが、前述の旭丘高校美術科や河合塾美術研究所、画廊、ICAの存在も愛知の美術史には欠くことのできない重要なファクターだと考えるがこれらについてもほぼ触れられていなかった。
なかったものを挙げて行けばきりがないし、展示スペースや所蔵品には限界がある。しかし、繰り返しになるが「戦後愛知のアート!70年の歩み」にしては偏向した内容だったと言わざるを得ない。

2.展示方法
次に残念だったのは本展における展示方法である。なぜ、この作品をここに置いたのか、首をひねることが何度もあった。特に彫刻に関しては置ける場所がないからここに置きましたというように見えた。例えば、展覧会場外にあった庄司達の作品などはポツネンと会場外、展覧会入口の脇の一画に設置され、以前に同館の企画展会場と常設会場を結ぶ中央の円形コーナーに会った時に観た作品の良さが伝わってこなかった。本展ではこの中央のスペースは使用されていなかった。

絵画においても、特に後半、県内の芸術大学に関係する作家の作品は時系列になっておらず、設楽知昭氏の作品は企画展会場を出た通路壁に設置されていたと記憶しているが、なぜあの場所に設置したのか。展示の方法によって、キュレーターが伝えたいものが観る側にストレートに伝わって来ない例と言える。


昨日私のTwitter上には美術関連サイト「artscape」に掲載された美術批評家の福住廉氏の本展レビューが話題にあがっていた。このレビューで私が注目したのは愛知県美術館の収集方針だ。しかし、同氏が引用されていたのは収集方針の一部なので、同館ブログに掲載されている4つの収集方針を転載する。
愛知県美術館の収集方針は、次のとおりです。
・20世紀の優れた国内外の作品及び20世紀の美術動向を理解する上で役立つ作品
・現在を刻印するにふさわしい作品
・愛知県としての位置をふまえた特色あるコレクションを形成する作品
・上述の作品・作家を理解する上で役立つ資料
同館の収集方法は以下「愛知県美術館の公式ブログ」に詳しいのであわせて一読されることをおすすめしたい。
現在を刻印するにふさわしい作品、愛知県としての一をふまえた特色あるコレクションを形成する作品の収蔵が今後偏向なく同時代の美術に関して充実していくことを県民として期待したい。そして、いつの日か偏向なき「アイチのチカラ」が紹介されることを希望している。
・愛知県美術館ブログ:「所蔵作品の収集」2009年11月22日

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