スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「黒田辰秋の世界〜目利きと匠の邂逅」 そごう美術館

長い休みを取れたので東京で美術館三昧をしてきました。生憎の大雪でスケジュールは狂ったもののほぼ予定通りの鑑賞。

予定していなかったけれど東横線に乗っていて何度も目にしたポスターに惹かれて行ったのが「黒田辰秋の世界〜目利きと匠の邂逅」でした。ポスターに掲載されていた貝を使用した朱漆の小箱があまりにも愛らしく美しく、どうしても見たくなって行ったのですが展覧会の善し悪しというよりとにかく作品にただただ見惚れました。理屈云々抜きでため息が出るような漆の美と匠の美に魅了され何度も会場を往復。「美」とはいったいなんだろうとかんがえさせられた次第です。

思えば漆は昨年のMIHO MUSEUMで開催された根来展以来、より一層その美しさ奥深さに傾倒している。何層漆が塗り重ねられているのか、そもそも漆という原料自体が膨大な時間の集積で、それを重ね乾かす時間、作品として呈示される時間、膨大な時間の集積が目の前の1点1点なのだ。僅かに隠れて見える朱色に惹かれる一方で、黒田辰秋の作品は色だけでなくフォルムも文句なしに美しい。「美しい」という言葉以外に表現できないかと考えると「端正」「三次元的」が浮かぶがそれでもまだ言い表せないものが作品にある。

例えば棗や振出などは、蓋と胴が寸分の狂いなく収まってきつからずゆるからず、目で愛でるだけでなく触れてみたい掌で賞玩したい衝動に強くかられる。本展ではこうした黒田辰秋の作品に魅了された著名人と黒田との関係やエピソードが綴られる。目利きで知られる白州正子、川端康成、小林秀雄、柳宗悦、黒沢明などなど錚々たる面々。
黒田は最初、河合寛次郎の作品に魅了され民藝に飛び込んだというが、彼の作品は民藝なのだろうか。日本民藝館に黒田の作品はむろんあるが、初期の作品から晩年作まで辿って行くと民藝の作家という枠におさまらない作風であると思う。

拭漆、朱漆、乾漆、螺鈿と多岐にわたる技法に習熟することは勿論だが、彼はオーダーした人によって技法を変え好みにそうようなものを完璧に仕上げる様が本展ではよくわかる。黒沢明監督発注の拭漆の家具、京都の「鍵喜良房」の箪笥や器(ポスターに使用されていたのは鍵善良房の螺鈿使用の卍文様小箱)を見ていると所有者好みを知り尽くしている。

庶民には手の届かない黒田作品と思いきや、庶民でも黒田作品を体感できる場所がある。京大近くの進々堂では黒田が人間国宝になる前に主人が発注した机と椅子(拭漆だろうか?)が今も客を迎える。この椅子と机が好きで京都へ行くと進々堂でカレー&パンセットをいただきつつのんびりするのが常だった。
単なる木製長椅子・長机ではない、下部の彫形の黒田らしいデザインが見られる。

本展は世界文化社から今月刊行された青木正弘監修『黒田辰秋の世界〜目利きと匠の邂逅』がベースになっている。青木正弘氏といえば、地元豊田市美術館に開館準備時以来勤務され副館長として定年まで在職されており、同館コレクション形成にあたり中心となって活躍された人物。過去に豊田市美術館で黒田辰秋展が開催されているが、その頃私は美術とへ無縁であったため未見。今になって惜しいことをしたと歯がみするしかないが、幸いにも青木氏によって同館には黒田作品が複数あり、本展にも出展されている。
ただ、本展に関して言えば美術館コレクションより、目利きたちが旧蔵していた作品の方が所有者の人となりをあらわしていて面白い。

自分もようやくこれが美しいと思えることが嬉しかった。

3月10日まで開催中。旭川美術館に巡回予定だが公式発表なし

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。