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信濃デッサン館と槐多庵 

無言館を後にして、車で5分も走らぬうちに信濃デッサン館に到着。こちらでは「夭折の画家」として有名な村山槐多、関根正二らのデッサンを多く収蔵し展示している。
入口手前の立て看板に立原道造記念室と書かれたものを見つけ、東大前にあった立原道造記念館が閉館し残念に思っていたが、もしやこちらに作品、資料類が移管したのか、と意気込みは更に高まる。

信濃デッサン館の文字が隠れる程ツタが絡まり入口のドアを開けると受付より手前に村山槐多のデッサンがガラスケースにびっしりと入り両側におさまっていた。チケットを受付の方に見せる前に食い入るようにそれらを眺める。村山槐多展は何度か拝見しているので、これらも大半は既に目にしているのだが、何度見ても力強い線に魅了される。

受付でチケットを見せ、まず最初に目にとまったのは村山槐多の《尿する裸僧》。何度見ても異様な絵画、ほとばしるエネルギーが尿となって表象されたか。どう考えてもこの裸僧は槐多自身であろう。デッサン館と銘打って入るが、油彩や後述するが関根正二の日本画(伊東深水旧蔵)等も展示されているので、見応えがある。夭折の画家たちなので、遺された作品は少なく、関根正二に至っては死ぬ間際に自分のデッサンを焼いてしまったので尚更貴重。関根正二は村山槐多に輪をかけて個人的には好きな画家なので、デッサンを見てやはり上手い、惜しいとしか感想が浮かばない。村山槐多にしても関根正二にしても感情が激しく、それゆえ却って命を縮めてしまったのかもしれない。
順序は逆になるが、村山槐多が画家を目指すにあたって従兄弟の山本鼎の影響は大きい。無言館の前に行った上田市立美術館の山本鼎展は槐多との関係もあり見ておきたかった。

更に奥に進むと、向かって右側にデッサン館内に更に周囲と独立した小部屋がある。内部を覗くと立原道造のパステル画が何点も目に入る。やはり、立原道造記念館の収蔵品が信濃デッサン館に収蔵されたのだ。それを知って深い安堵を覚えた。道造もまた夭折の天才詩人であり建築家であり画家であった。記念室に入るお楽しみは最後にとっておくことにして、さらに奥に進むと小熊秀雄の作品があり、これまた好きな画家なので大変嬉しくなる。数年前に豊島区立熊谷守一美術館で小規模だが展覧会があり初めて知った。小熊も立原同様、多彩な活躍をしており詩人としてつとに評価が高いが、SF漫画、小説、更に絵も描いていた。小熊の絵と言えば燃えるような朱色を思い出す。デッサンも漫画を描いていただけあり、線がきれいでユーモラスなものが多い。

最奥には、松本竣介、野田英夫(野田はあちこちで作品を見かけるので早逝した印象はなかったが、わずか30歳で脳腫瘍で亡くなっていることをここで知った)、戸張弧雁らの作品が。ここで、《笛吹き》というタイトルの縦長な油彩に目がとまる。画家の名は吉岡憲とあるが、その名に記憶がない。しかし《笛吹き》はとても良い作品だった。続いてデッサンが何点か展示されていたが、これらも情感あふれる筆致でやはり引きつけられる。吉岡憲とは一体どんな人物かとプロフィールを読むと藤島武二に師事した後、満州にわたりウラジミール専門学校に学ぶ。ジャワ戦線に出征したが無事に復員。帰国後も作画、出品を続けたが、画業のいきずまりにより電車に飛び込み自殺、享年40歳での死。戦争を生き延びたにも関わらず、命を自ら絶ってしまうという。無言館の後では何と命を軽々しく捨てたのかという想いで残念な気持ちになった。人の生と死は分からぬものだと改めて感じる。

最後に、立原道造記念室の小部屋へ。道造が設計したヒヤシンスハウスを模しているのか窓枠等が緑色で内部もこじんまりとして道造の作品展示にぴったりのスペース。彼の詩作の直筆原稿やパステル画を堪能した。

その後、デッサン館のすぐ側にある槐多庵、こちらも建物はおもむきがあった。中央にストーブがあり吹き抜けの空間の半地下と2階に作品が展示されている。野見山暁二の作品などもあった。

デッサン館には併設の喫茶室もあるので、時間があればゆっくりと秋の上田の自然を賞でつつお茶をしたかったが、時は既に閉館ぎりぎりの17時。楽しみは次回にとっておいて、デッサン館を後にした。

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