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「福沢一郎と山下菊二 子弟は時代とどう向き合ったか」 福沢一郎記念館

世田谷の祖師谷大蔵駅から徒歩5分、閑静な住宅街の一角に福沢一郎記念館はある。今回の企画展をTwitterで知るまで恥ずかしながらその存在を知らなかった。

福沢一郎と山下菊二、特に後者の山下菊二に関心があり早速訪問。出迎えてくれたのは普通の民家のような個人美術館であった。元々福沢一郎がアトリエ、書斎、居室として使用していた建物だという。こあがりで靴を脱ぎスリッパに履き替えて鑑賞。天井の高い展示室が何とも心地よく個人宅にお邪魔して絵を拝見しているような心持ちにさせられる。

開館20周年記念の特別企画、同記念館で福沢一郎以外の作家の作品が展示されるのは初めてだという。かくいう自分も山下菊二との師弟関係に興味をひかれ初訪問となったわけで大変ありがたい企画だった。
展覧会はメモをとるのを失念したので、記念館発行のNEWS-NO.40の記事を参考にしつつ以下のような構成だったと記憶している。
1.はじまりは「福沢絵画研究所」
(山下菊二は福沢一郎主宰の福沢絵画研究所に19歳で入門。福沢を師として絵画を学ぶ。)
2.戦争の暗い影
3.それぞれの道程
4.師弟の絆
5.?
時系列順に両者の作品がそれぞれ5点と関連資料が展示されている。

1940年代よりシュルレアリスムの共鳴者が共産主義者と結びつけられ瀧口修造はじめ日本のシュルレアリスム関係者が次々と当局に逮捕、収監される。厳しい拷問も加えられたが福沢一郎も例外ではなかった。彼の場合は8ヶ月もの間、拘置所に勾留され後に釈放。しかし、ここで意外なのは釈放後も旺盛な精力で絵画制作を続けていることだ。福沢の場合、時系列に展示された作品を見ていると作風変化が大きいことに気づく。先般、神奈川県立近代美術館葉山館や愛媛県美術館で開催された柳瀬正夢は勾留釈放後も絵は描いていたが、釈放後の作品には生気も持ち前のユーモアもが感じられない、何とも特徴のない風景画が並んでいたことを思い出す。柳瀬の場合、シュルレアリスム画家とは違い、バリバリの共産主義者でプロレタリアアートの先鋭だったため、拷問の激しさはや拘留中の厳しさは恐らく福沢の比ではなかったと推測されるが、それでも釈放後の福沢の絵画は新たな創意が見られ、それまでの作品とは別の魅力、絵肌への工夫や抽象的な作風への転換が見られ非常に興味深かった。

対して山下菊二も戦況の厳しい戦地に送り込まれ、奇跡的にも生還し復員後は、福沢夫妻の紹介で東宝内の「航空教育資料製作所」に勤務することで一時的に徴兵を免れる。
確か、山下の東宝時代の作品が昨年だったか徳島県立近代美術館で展示され気になっていたが見逃してしまった。
山下の場合、戦前戦後も作風変化に大きな変化は感じられず、戦後はより社会的なルポルタージュ絵画と言える作品を描いている。最たる例は、東近美に新収蔵された《あけぼの村物語》だろう。
東宝時代に作った映像作品は来年の世田谷美術館での企画展もしくは徳島近美で再度展示されないだろうか。

本展での一番の収穫は両者の関係と福沢一郎の絵画変遷であった。群馬県立近代美術館などで福沢一郎の作品はたびたび目にしていたが、時系列で見たのが初めてであったため、作風変化の面白さにやっと気づくことができた。富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵《寡婦と誘惑》1930年、初期作品と戦後の絵画の振れ幅の大きさは注目に値する。しばらくこの両者の作品は追ってみたいと思った。

鑑賞後は奥の元書斎で館主の方からコーヒーを頂戴してお話など伺うこともできるのだが、この日はどうしても時間が取れずコーヒーをいただくことなく失礼した。
次回展では必ずコーヒーをいただきつつゆっくりしたいと思う。

なお、本展の前に開催された企画展「福沢一郎の“写真” 画家のレンズが捉えたもの」の開催を前述のニュースで初めて知ったが、これも画家が撮影する写真は自分の興味の範疇にあり、見逃したのが惜しまれた。

11月30日迄
福沢一郎記念館公式サイト
https://fukuzmm.wordpress.com/category/展覧会情報/
福沢一郎記念館フェイスブック(登録なしで閲覧可能)
https://www.facebook.com/fukuzmuseum

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