「川瀬巴水 没後50年」展 大田区立郷土博物館

目下浮世絵にご執心の私は、ネットでこの展覧会の開催を知りました。
大田区立郷土博物館へは浅草線「西馬込」駅より徒歩7分。
どの程度の展覧会なのか、あまり期待せずに向かったのですが何と予想をはるかに超えた展示作品数(前期:約150点)と内容に大満足できました。
しかも、この展覧会無料です!
巴水の名前が記憶に刻まれたのは横浜美術館で開催された「水の情景」展で深川の風景版画を見た時でした。
今回の展覧会で一番最初に展示されていたのは、版木。
続く展示では多色摺りの過程、どの部分に何色が摺られているかを一枚一枚丁寧に並べて、作品完成までの過程をたどることができました。
更に驚いたのは、後半以後では版下絵と版画作品の両方が並べて展示されていたことです。
版下絵と版画いずれもそれぞれの魅力があります。
こっちの作品は、下絵の方が好き、こっちは版画の方が・・・などと作品比較をしつつ楽しめます。
「Gosho-ningyo」(御所人形)という版画集が印象的で、巴水といえば風景版画というイメージを覆すかわいらしい画集でした。海外への輸出用として作成されたようで、外国人が好む分かりやすい日本らしさの象徴なのか御所人形、泥人形を取り上げています。

絶筆の「平泉金色堂」では、背中を向けて歩いていく僧の姿が巴水自身と重なって、死へと歩み寄って行くように感じました。
世界初公開作品も含む約300点が前期、後期とほぼ総展示替えで展覧されます。巴水に関心のある方は必見かと。私は本日午前中に行きましたが、お客様はまばらで、ゆっくりじっくり鑑賞(私自身は1時間以上いたかな)できます。
後期も行きたいところですが、ちと厳しいか。
なお、18日(日)午後2時より、渡邊章一郎氏(株式会社 渡邊木版美術画舗 代表取締役)による講演会「川瀬巴水、作品の魅力と渡邊版画店に伝わる逸話」も開催されます。
前期/10月21日(日曜日)~11月11日(日曜日)
後期/11月13日(火曜日)~12月2日(日曜日)