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「速水御舟-新たなる魅力-」 平塚市美術館

gyosyu
「花ノ傍」1932年

病は癒えたような、癒えてないような微妙な状況ですが、寝こむほどではないので、やはり出かけてしまった。まぁ、出かける気力だけは衰えていないようだ。

今日から開催の「速水御舟-新たなる魅力ー」を見に平塚市美術館まで行って来た。
この展覧会、一言でまとめると「山種美術館所蔵品以外での速水御舟回顧展」となる。

速水御舟のコレクションと言えば、やはり山種美術館のそれはつとに有名。もとは、かの安宅栄一コレクションであったものを買い受けたもの。本展は、この旧安宅コレクションを除いて、日本各地より集めに集めた約100点で速水御舟の画業を振り返ると言うもの。サブタイトルは、「新たなる魅力」であるが、このサブタイトルと出展作品との関係性は不明。
図録をしっかり読んでくればよかったかな~。図と解説がほぼ半々の内容だったので、タイトルとの関連性にも触れていたであろう。。。

作品は、御舟の年齢順におおよそ展示されている。今回の特徴は、一点一点に解説が一切付されていないこと。キャプションにあるのは、タイトル、制作時の御舟の年齢、所蔵先(記載がないものも多数)、公募展に出展されていた場合はその公募展名のみ。
展示の区切りに短めの解説はあったが、却って私はこのシンプルさのおかげで鑑賞に集中できた。
繰り返しになるけれど、先に名古屋で見た二つの公立美術館の展覧会が解説多すぎで辟易していたのかもしれない。

印象に残った作品は多数、中でも!というもののみ以下抜粋。

・「小春」 1910年 桑山美術館 
展覧会冒頭にある作品。何と御舟1が16歳で描いたと言う。どう見ても16歳の絵じゃないでしょ、これは・・・と呆然。しかも、この作品「第10回翼画会展」に早くも初出展している。

・「焚火(秋の朝)」 1913年 霊友会妙一記念館
箒を持った少年(お坊さんだったか?)が庭を掃いている。「箒」はよく禅画で描かれるアイテムだが、後に御舟は禅を学ぶ。その前兆を示すようで興味深い。

・「隠岐の海」 1914年 広島県立美術館
波頭が画面下3分の2を占めている。構図が変わっているので、特に印象に残った。上3分の1の風景も上から眺めたような俯瞰図になっているのも珍しい。

・「伊勢物語」 1917年 大谷コレクション
絵がこれほどまでに、物を言うのかと思うほど、伊勢物語の情景が伝わって来た。上手い下手ではなく、なぜか気に入ってしまった。

・「洛北修学院村」 1918年 滋賀県立近代美術館
この年あたりから、御舟の細密技法が始まる。この作品も凄い。緑で覆われた美しく緻密な、翠の匂うような作品。

・「京の舞妓」 1920年 東京国立博物館
先だって、東博で見た京の舞妓に早くも再会。どう見ても顔色、肌色悪すぎます。怖いので、忘れられない。後半に、「女二題」1931年も展示されているが、そちらの女性も肌が黒っぽくて、汚い。
どうして、御舟の描く写実女性はあんなに顔色が悪いのだろうか。

・「黍の図」 1924年 メナード美術館
糖黍なのか、緑ではなくここで使用されているのは「赤」。なぜか御舟と言うと、赤を思い出してしまう私は、この1枚が一番御舟らしいのかもと思った。

・「闘虫」 1926年 西丸山和楽庵
西丸山和楽庵からの出展作がかなり多かった。中でもこの「闘虫」は御舟が描く生き物絵画の中で、好感を持った1枚。

御舟は40歳で病死と早逝する。ことに晩年の作品は、20代30代前半と違って、小品が多いように思った。芙蓉、牡丹など花をよく描いたのだろうか、これらの作品がずらりと並ぶ。

・「円かなる月」 1935年 霊友会妙一記念館
絶筆。死を予兆していたのか、どこかバランスがおかしい。松の下に月が描かれている。さらに、どちらかと言えば色調も暗い。この他、未完の「盆梅図」も隣に展示されていたが、こちらも下図段階で見る限り小ぶりな作品だった。命の灯と共に作品まで小さくなってしまったのか。

第2会場には、制作にあたっての「下図」やスケッチ、直筆の書簡などが展示されている。それらも、もちろん興味深いが、一番関心をひいたのが御舟作「絵皿-樵夫図」「留袖下絵屏風」などの琳派の影響を受けたと思しき作品たち。
ことに「樵夫図」のモチーフは宗達のそれとそっくり。

この他にも御舟が影響を受けたセザンヌ、デューラー、岸田劉生などの影響がうかがわれる作品が第1会場にあった。

御舟のピークは20代~30代前半にあったのだろうか。山種コレクションを見届けていないので、判断にできないが、この展覧会だけを見るとそんな印象を持った。

それにしても、平塚市美術館の企画力は素晴らしい。この内容を市の美術館で開催できるという実力は、国内有数ではないだろうか。春にあった村田朋㤗の展覧会も大変良かった。遠方からでも見に行こう!と思わせる展覧会を開催できる美術館というのはそれ程多くない。
なお、本展と同時にで神奈川県在住の伊藤彬「モノクロームによる現代の表現」展も開催されている。

*11月9日(日)まで開催中。
平塚市美術館HPには、インターネット割引券(100円引き)があります。

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leonardo様

こちらこそ、はじめまして。
お気に入りにしているブログのあちこちでお名前拝見しておりました。
御舟は安宅コレクションを見てから、意識するようになりました。
年季が全然違いますね。
お恥ずかしい限りです。

TBの件ではご迷惑をおかけしました。
設定変更しましたので、次回は上手くいくかと存じます。
当方からも先程TBをお送りいたしましたので、よろしくお願いいたします。

御舟

はじめまして。
御舟は子供の時から好きで、「速水御舟展」山種1976、「日本美術院100年記念展」1998東博、「生誕110年 速水御舟展」(山種美術館2004)、などで、何度もみましたが、今回は、初見の作品も多く、細密画、デッサン、等に、感銘を受けました。
TBしましたが、うまくいきませんので、コメントします。これからもよろしく。

No title

@はろるど様
平塚美術館、立派ですよね。私も最初行った時には驚きました。
基本に立ち返る年代順の展示が、回顧展にふさわしく良かったです。
山種には、本日行って来ましたがこちらも満足行く内容でしたね。

@mizdesign様
会期終了間際に駆け込み鑑賞される方が続出ですね。
しかも、皆さん口々に絶賛ですから、御舟人気はすごいです。
御舟が長生きしていたら、どんな作品を残していたのか
非現実的ですが、そんな想像も楽しいですね。

@キリル様
琳派の影響を受けていたということが、最後の最後までピンと
来ませんでしたが、最後の最後に出て来た蒔絵には驚きました。
御舟だけでなく、琳派が残した足跡がいかに大きいかということが
大琳派展やこの御舟展、山種の展覧会でよく分かりました。

日本の美の継承は現代においても引き継がれているのですね。


No title

こんばんは。
本展のシンプルな展示方法は、作風を変化させながら、そのたびにほぼ完成をみている速水御舟だったからこそ可能だったような気がしないでもありません。とても好印象でしたけど。
下図などを展示していた部屋はすごく楽しめました。御舟と琳派の関係性が指摘されるようになったのはそんなに古くないそうですが、まさかキャリアの最初期から宗達の影響があったとは思いもしませんでした。

御舟展観ました!

こんばんは。
駆け込みで御舟展を観てきました。
予想を遥かに上回る素晴らしい内容にびっくりしました。
写実を超えた現実を描き出す御舟の才能にメロメロです。
才能が枯れたというよりも、次のステップに進もうと踏み出した(写実から自由になった)矢先に亡くなった気がして、残念でなりません。

No title

こんにちは。年代を丁寧に追いながらも、簡素なスタイルの展示がまた良かったですね。作品そのものにじっくり浸れました。

御舟と琳派の関係は色々面白そうですね。昨日、山種ではじまった琳派展を見てきましたが、そこでも宗達との関係性を見るような展示が行われていました。

平塚市美は初めてでしたが、まさかあれほど立派な施設とは…。驚きました。

No title

この展覧会を知ったのは2日前です。嬉しくて々。開館10分後に
入館しました。画集に載っていた作品がいくつもあったので大満足
です。久し振りの‘洛北修学院村’には会えるし、初見の‘闘虫’や
‘寒鳩寒雀’もみれましたから言うことありません。‘樹木’をみる
ためもう一回行きます。
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