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「崇高なる山水-中国・朝鮮、李郭系山水画の系譜―」 大和文華館

sansui

全てはここから始まった。まさに、そんな感じがする展覧会でした。
金銭的に厳しくても、東京から出かけた甲斐がありました。

展覧会の概要です(大和文華館HPからの引用)
約千年前、華北の雄大な自然に根ざした新しい山水表現が生まれました。五代・北宋の画家、李成と郭煕によって大成されたその画風は、李郭派と呼ばれ、東洋山水画の古典として、現代に至るまで、強い影響力を持っています。
本展では、宋・元時代を経て清代にいたるまでの中国山水の名品と、特にその影響を強く受けた朝鮮山水を展示いたします。国内所蔵の李郭系山水画のほぼすべてが一堂に会する、二度とない貴重な機会となります。李郭派は東アジア山水の主流でありながらも、今まであまり紹介されてきませんでした。

李郭派山水、日本初の展観です。

ピンクで着色した部分で分かるように、過去例のない展覧会であったようです。
惜しむらくは、目玉作品の何点かが10/28~11/9の展示期間に集まっていたため、私が行った11/15には見られなかったこと。
でも、こんなに凄い展覧会に気付かなかったので、仕方ないです。。。図録で我慢。

時代を追って作品展示されていました。
<李郭派山水の誕生 -宋から元へ->

・許道寧 「秋山蕭寺図」 北宋時代 藤井斉成会有鄰館 <重文>
全期間を通じての展示作品。学芸員塚本麿充氏によれば、本展最重要作品のひとつ。
好みではないが、これは好き嫌いの問題ではなく、李郭派山水を語る上で重要なのだろう。
横長の巻物風の作品。

・「秋景冬景山水図」 <国宝> 二幅 南宋時代   金地院
サイズは各128.0×55.0センチと作品は徐々に大きくなる。
国宝とはキャプションを見るまで知らなかったが、見た瞬間「あっ、すごい」と思った作品。
もとは、四季山水図として他に春、夏、冬の三幅あったらしい。
南宋絵画の傑作と解説にあったが、ごもっともと言う感じ。他の山水はどうしても時代が古いため茶色に変色し、墨線も判然としないものもあったが、この作品は非常に状態が良く、しかも線が美しい。

・「明皇避暑宮図」   郭忠恕(款) 元時代  161.5×105.6  大阪市立美術館
これぞ、中国の技!山中にそびえる楼閣を緻密な線で描いた作品。
解説によれば「界画」という定規を使用した線の技法を使用しているため、これだけ真っすぐで細かい線が引けたのだった。定規で絵を描くことが既に許されていたことに驚く。

<李郭派山水の展開 -高麗から朝鮮王朝へ->
日本に残る宋時代の李郭派山水画は数少ない。あっという間に展開として高麗・朝鮮絵画にうつる。
ちょうど栃木県美で朝鮮絵画の企画展が始まったところで、予習としてタイミングは最適。

ここでは、前期に作品展示が集中しており、この日の目玉は
・「瀟湘八景図屏風 <重文> 八曲一隻  天文8年(1539) 尊海賛   大願寺
李郭派山水が目指した空気感を表現した作品。雄大な風景を八曲一隻で描ききる。

<李郭派山水の受容と復興 -明清時代-
時代はどんどん下って行く。ここからの作品数がもっとも多い。
1mを超える大画面山水画が続々と連なる中、私の注目は以下の作品に。

・「雪景山水図扇面」  蒋こう 金箋墨画 京都国立博物館
金箋を下地に使用しているため、余白でさえも鈍く光り美しい。

・「山水楼閣図冊」 玉雲筆 清時代 東京国立博物館
ページ替えがあるため、私は全12図あるうちの第11図を見た。
こちらは着色されている、特徴的なのは、夕日の沈む方向へ円になって鳥たちが飛んで行く様子である。渦になっている。
画面手前では放牧された牛と牛飼いのが描かれている。のどかな夕景。


最後の最後に複製であるが、郭煕筆の「早春図」 台湾故宮博物院 が展示されていました。
現存する郭煕唯一の真筆作品であり、傑作中の傑作と言われています。
複製であっても、十分に迫力があったのはさすが元祖です。

全作品を見終わったら、自分が中国の美術館にいるような錯覚がありました。それほどまでに濃密な山水画の空間と化していたのです。


今回の企画展でひとつ覚えたのは「蟹爪樹」(かにそうじゅ)という言葉と技法。
古い樹木の枝を蟹の爪のように描くことから付けられた技法です。確かに今回集められた作品の大半に「蟹爪樹」が使用されていますが、日本の絵画では見た記憶がありません。
以後、日本でも「蟹爪樹」が使われていないか、要チェックです。

この他、画面に吸い込まれるような構図、雲のように描かれた山と解説にありましたが、最後の雲のような山と言うのが、作品を目の前にしてもピンと来なかったのは残念。

鑑賞最後になって、今回の展覧会を担当されている学芸員塚本氏のギャラリートークが始まり、大勢の観客に囲まれていらっしゃいました。この日は大和文華館は大勢の来場者がいたのです。相変わらずの楽しそうな話しっぷりで、本当に作品が、美術がお好きなんだなと毎回感心してしまいます。

*この展覧会は11月16日に終了しています。

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関西旅行11月編:崇高なる山水(大和文華館)

○大和文華館 特別展『崇高なる山水-中国・朝鮮、李郭系山水画の系譜-』 http://www.kintetsu.jp/kouhou/yamato/  正倉院展のあと、興福寺の南円堂で、友人と待ち合わせ。日頃、あまり会えない友人なので、昼食~デザートと、つい話し込んでしまう。友人と別れて、

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jchz様

こんばんは。
私が訪れた時は、観光バスまで乗り付けており、
いつもの雰囲気とは全く違っていました。

同じく塚本氏のファンです。
なるほど、中国絵画は専門書も少ないので、ぜひ一般向けの
分かりやすい概説でも出していただきたいですね。

No title

こんばんは。大和文華館へは、東京から年に1、2回行っていますが、どうかすると土日でも全く人がいなかったりして、実にもったいない美術館だと思っていました。この展覧会は、意外と人気だったのですね。よかった。私は塚本麿充さんのファンなので、早く何か一般人向けの本を書いてほしい、と願ってます。
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