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東京国立近代美術館  特集展示「新宿中村屋につどった人々―大正時代の芸術サロン」

企画展の「沖縄プリズム」を見に出かけたのだが、4階常設展の特集「「新宿中村屋につどった人々―大正時代の芸術サロン」が、大変良かったのでご紹介。

新宿中村屋ってどこかで、聞いたけど何のお店だっけ?と思ったらしっかり解説にありました。
新宿で1901年に創業したパン屋さんで、もちろん現在は株式会社中村屋として、営業しています。

さて、そんなパン屋さん創業者夫婦(相馬夫妻)が芸術家達を支援し、裏手にあったアトリエが中村屋サロンとして文化人の交流の場であったとは知りませんでした。
詳細は新宿中村屋の「中村屋サロン」のコーナーをご参照ください。
今回の特集展示では、近美の所蔵作品と新宿中村屋の所蔵作品を特別にお借りしての展示です。

見所は、ふたつ。まずは、中村彜の作品。
これまで、近美を訪れる度、目にしていた「エロシェンコ氏の像」。
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かのエロシェンコとは何者かという疑問にようやく終止符を打つことができた。
もっと早く調べれば分かったのに、深追いしないから。。。
さて、エロシェンコは盲目のロシア人で、中村同様、新宿中村屋、特に相馬黒光(創業者夫人でキーマン)の世話になっていたという。

このエロシェンコの肖像画と同時期に描かれたもう1枚が、現在見られる。
鶴田吾郎の「盲目のエロシェンコ」(1920年)。
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中村彜の肖像画と比べ、こちらは盲目であることが明らかに分かる。
人物の表情も暗い。

そして、とても見たかった1枚が。中村彜「少女」(1914年)である。
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相馬夫妻の長女を描いたこの作品、素晴らしいの一語に尽きる。
中村彜の俊子への思いが伝わって来る。
2人は、愛し合っていたが、相馬夫妻から結婚の賛同を得られず、結局離れ離れになり、生涯結ばれることはなかった。
その後、モデルの俊子は、革命家ラス・ビハリ・ボースに嫁ぐ。


もうひとつの見どころは、荻原守衛の彫刻である。
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「女」1910年 東京国立近代美術館蔵
こちらも、近美ではお馴染みの「文覚」と「女」(今回は4階常設エレベーター降りてすぐに展示)だが、実はドラマがあったとは。

荻原守衛が芸術を志すきっかけを作ったのが、前述の相馬黒光。
アメリカやフランスでの留学後、中村屋のアトリエで制作を始める。

その最初の作品が「文覚」(もんがく)。
文覚は、遠藤盛遠と名乗っていた青年の武士の頃、袈裟御前という人妻に懸想して 夫を殺すつもりが彼女を殺してしまい出家した僧侶。袈裟午前を相馬黒光に、文覚を荻原自身を投影していると言われている。
あんなに筋肉隆々の彫像が人妻に恋したあげく、その夫を殺した人物とは、今日の今日まで知らなかった。

そして、喀血してわずか30歳で突然の死に見舞われ、アトリエに残されていたのが「女」。
この「女」はどうやら相馬黒光をイメージし、黒光への思いを彫刻に模したものと言われている。
そんなドラマがあると分かれば、「文覚」「女」を見る目も変わってくる。
実際、2007年に「碌山の恋」というTVドラマが放映されていたらしい(今調べて知った)。

新宿中村屋には様々なドラマが展開され、そこから後世に残る名作が生まれました。
相馬黒光という女性は当時としては類まれなる才気煥発な女性であったのでしょう。
今回の特集展示は少数ながら考えさせられ、また深く感動しました。

*来年1月12日まで開催中。おすすめです!

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遊行七恵様

今日から東京にいらっしゃるのですね。
新宿中村屋のカレーの前に、まずは「安曇野」を読まねば。

楽しい東京遊行になりますように!

No title

こんばんは
丁度明日から首都圏潜伏しますが、記事のおかげで近美に行くのが楽しみです。
わたし、けっこう新宿中村屋をめぐる人々の物語、好きなんです。
しかしそのくせカレーも食べに入ってないですし、ここの月餅もゼリーもあんまり好きじゃないんですけどね(笑)。でもおかきは好きですが。
悲歌・哀歌さんの挙げられた臼井吉見・・・「事故のてんまつ」も面白いです。やっぱり好悪分かれるところですが。

悲歌・哀歌さま

こんばんは。
「安曇野」読んでみようと思います。
ご紹介ありがとうございます。
ブログ本文に書きませんでしたが、中村彜のセザンヌ風
「大島風景」もあり、横浜美術館で「セザンヌ主義」を見たばかりだったこともあり
タイムリーな展示でした。

懐かしい作品群

memeさん こんばんは
東近美での展示、面白そうですね。
中村屋を廻る人々の話は、臼井吉見著「安曇野」に描かれています。恐らく虚実綯交ぜではないかと思いますが、とても充実した読後感でした。人によって好き嫌いが出易い作家ですが、一度お試しあれ・・・。
懐かしい作品が勢揃いですね。
時間が作れたら行って見たい展示です。

KINさま

お引越しは年内なのでしょうか?
閉まったはいいけど、開けずに終わる段ボールがありそうですね。
あ~大変そう・・・。

でも、近美に行ってみてくださいね。

ああ、

新宿中村屋を知らないとは!これだから上京した
ばかりの人は・・・(嘘)笑。
是非にカレーを食べに行ってみて下さい。
で、そんな私も中村屋に秘められたドラマなどは
全くもって知りませんでした。荻原守衛の彫刻は
見たいです。年末までは荷物の整理に追われます
が・・・(段ボール60箱超えました、現状で)。
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