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「ライオネル・ファイニンガー展」 愛知県美術館

faininger
愛知県美術館で開催中の「ライオネル・ファイニンガー展」に行って来た。
この夏、横須賀美術館で開催された展覧会の巡回である。愛知県美への巡回が分かっていたので、横須賀でなく、県美に来るのをじっと待っていたら、会期終了1週間前になっていた。

さて、ライオネルファイニンガーはかの「バウハウス」のマイスターとしてその名をしる人もいるかもしれない。ちなみに、私はこの展覧会があるまで知らなかった。。。
このファイニンガーの日本初の回顧展が本展覧会である。
ファイニンガーは、1871年NYのドイツ系移民の家庭に生まれ、16歳の時、ドイツに渡る。ハンブルクの美術学校で学んだ後、新聞の挿絵画家をして収入を得ていたが、35歳にして絵画に取り組み始める。そして、1911年キュビスムとの出会いをきっかけに、作風が変わり、独自のスタイルを確立する。

さて、愛知県美は今回も作品リストは準備していない。デパート系美術館ならいざ知らず、県立美術館たるもの作品リストくらいは、用意していただきたい。今年に入ってから作品リストのあった企画展は?と言うと思いだせない。少なくとも前回もなかった。

展覧会の概要
Ⅰ.新聞連載漫画 1906-1907
Ⅱ.初期人物象 1907-1909
Ⅲ.キュビスムの発見 1911-1918
Ⅳ.この世界の果てにある都市-おもちゃ 1910-1920
Ⅴ.バウハウスと建築 1919-1924/1937
Ⅵ.バルト海/風景 1923-1935
Ⅶ.ニューヨーク:新たな展望 1939-1955

冒頭苦言を呈してしまったが、結論から申し上げると、大変素晴らしい内容の展覧会だった。
展覧会の冒頭は、その構成に関係なく「自画像」1915年(サラ・キャンベル・ブラファー財団)で、幕を開ける。
ファイニンガーの自画像は、この作品を含め2点しかない。キュビスムとの出会いを果たした後描かれているため、その影響が強く見られる。ことに顔に注目。

初期作品では、新聞掲載漫画の名残のような人物描写もあるが、多数のエッチング作品を見ると、やはり線が生きている。更に、モノトーンでなく水彩などで着色されているのも、良い。
親交があったクレーやカンディンスキー、特にクレー的な子供の絵画のような作品「孤独な男」1921年
も見られる。

第3章の「キュビスム発見」以後は、版画作品も初期作品とは大いに異なり、個人的には対象を幾何学的にとらえるこの頃の作品はあまり好みではない。

全体を通してみると、1920年代頃から後のファイニンガー独特のスタイルが始まっているように思う。
本展は、年代順の作品展示となっていないため、分かりづらいが第6章「バルト海と風景」で展示されていた「海にかかる雲Ⅱ」1923年(個人蔵)は素晴らしい。
碧色から黄色に変わりゆく雲の様子と灰色の霧、暗い海、浜辺と水平線で分けられている構図が見事に成功している。

更にこの作品が暗く深くなっていくのが「砂丘と防波堤」1939年 個人蔵であろう。
海の遠近感が段々畑のような描写で表現されている水平線の連続と右端に斜めに切り取られた防波堤がより近くに迫って来る。

バウハウスの閉鎖、ナチ党の台頭により頽廃芸術家の烙印を押され、2番目の妻ユリアがユダヤ人であったこともあり、1937年生地NYへ戻る。
NY帰還後のファイニンガーの作品はNYの息吹をその作品に伝えている。
ドイツ時代のものより、「マンハッタンⅡ」1940年(フォート・ワース現代美術館蔵)など都市や建物がクローズアップされているように思う。

最終章でもっとも印象的なのは、「魔狼フェンリル」1954年個人蔵。
fenriru

まず、作品の色。青の濃淡だけで表現されている。描かれているのは、中央に白っぽい方形、そのすぐ下にはオオカミの瞳を思わせる黒い三角形。後は複数の直線のみで構成されている。
亡くなる2年前に描かれた油彩画であるが、作品はいよいよキュビスムを超越し、抽象とも違うファイニンガー独自の神聖な表現へと変換を遂げた。

最後のアメリカ時代の作品がもう少しみたかったけれど、ファイニンガーのアーティストとしての回顧展としては、充実した内容だった。
また、油彩だけでなくバウハウス時代に制作していた木製のおもちゃも併せて展示されている。普段はバラバラに所蔵されている、これらのおもちゃを組み合わせて都市、村の風景を作り出していたことも見逃せない。

*12月23日まで開催中。
展覧会は、2009年1月10日~3月1日まで宮城県美術館へ巡回します。オススメです。

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「ライオネル・ファイニンガー展」 横須賀美術館

横須賀美術館(神奈川県横須賀市鴨居4-1) 「ライオネル・ファイニンガー展 - 光の結晶 - 」 8/2-10/5 ナチスに『退廃芸術』の烙印も押された、とある一人の芸術家の軌跡を辿ります。1871年、ニューヨークにドイツ系移民の子として生まれ、その後ドイツとアメリカで画

ライオネル・ファイニンガー展 光の結晶 @横須賀美術館

 ファイニンガー(1871-1956)は、好きな画家の一人。広島県立美術館の《海辺の夕暮れ》などが目に浮かぶ。この回顧展が開かれているので、葉山の神奈川県近美から移動した。  この三浦半島横断美術散歩のルートは3通り。  1)葉山から何回もバスの乗り...

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No title

@一村雨さま
こんばんは。
後半は、NYの風景やそこからインスパイアーされた作品が
多かったとは思いますが、暗い感じは受けませんでした。
確かにバルト海などを描いていた作品の明るい色調はなかったかも
しれませんね。
もう少し、アメリカでの作品特に壁画など見てみたかったです。

@はろるど様
ハンマースホイだけでなく、ファイニンガーも今年脚光が当てられ
こうした展覧会まで拝見できて本当に良かったです。
バウハウスにいた画家たち、クレーもカンディンスキーも好きでしたが
ファイニンガーも好きな画家に仲間入りです。

横須賀ではリストがあったのですね・・・。
う~ん、愛知県美常設のリストはあるのに、なぜ企画展のリストが毎回
ないんでしょうか。不思議です。

No title

こんばんは。フェンリルは仰る通り突き抜けた感のある作品でしたね。最後の最後でこの作品が一点、飾られているのを見た時、不思議とぐっと熱くなるものを感じました。アメリカ時代の作品は私ももっと拝見したかったです。

いわゆる退廃の芸術と括られた作家にはまだまだ埋もれている方も多そうです。
構成もしっかりしていましたし、本当に見応えのある展覧会でした。(愛知ではリストがなかったとは残念です。必須ですよね。)

No title

私は、明るい日の光が差し込む横須賀で見たものですから、
後年の作品の暗さがあまり気になりませんでしたが、いかがでしたか。
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