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「水の浄土・琵琶湖-琵琶湖文化館の収蔵品を中心に-」 安土城考古博物館

昨年2008年4月1日より、滋賀県の財政状況の悪化、施設の耐震診断が出来ていないことなどを理由に、休館を余儀なくされている。
今回は、同館所蔵の収蔵品が安土城考古博物館の特集陳列で久々に展示されるということで、観に行った次第。安土城考古博物館は初めての訪問である。

ところで、この安土城考古博物館のアクセスの悪さには驚いた。最寄駅の安土駅は快速が停車せず普通電車しか停まらない。さらに、この安土駅からは徒歩で25分(実際はもっとかかるのではないか?)、この寒い冬場では駅近くにレンタサイクルはあるものの、利用を考える人などいないだろう。
ということで、タクシーもしくは自家用車などの車でしか行けない。バスもなし。

仕方ないので、行きは能登川駅(快速停車)よりタクシー(約2000円)利用。当日は、寒波到来で朝方みぞれまじりの雪が降るという悪コンディション。
博物館に行く前、近くの織田信長の築城で著名な安土城跡に運転手さんが案内して下さった。小高い山の城跡があったが、こんな自然の厳しい場所に信長は城を建てたのかと感慨深いものがあった。周辺は良質な地下水が豊富な地域ということで、防衛上の理由が主であったろうが、水にも着目したのかもしれない。

目指す安土城考古博物館はレンガ作りの予想外に立派な建物であった。琵琶湖文化館の考古部門だけ独立させて、こちらに移したのだが失礼ながら、それは成功しているとは思えない、閑散とした状態だった。

展覧会は、安土城考古博物館の所蔵品を含め60点とまずまず。
展覧会構成と印象に残った作品は次の通り。
ご紹介している作品は以下文化館HPで画像を見ることができます。

プロローグ びわ湖-天台薬師の池-
・木造薬師如来坐像 平安時代 慈眼寺(守山市)
こちらは昨年11月、琵琶湖文化館による修理の過程で、制作された鎌倉時代初期は顔に墨や朱を塗った木像で、室町時代以降に金箔(きんぱく)を張られていたことが分かった、という曰くつきの仏像。
同館学芸員の方のブログによれば、この先いつ見られるか分からないとのこと。

墨で眉と口髭、顎髭が描かれ、唇には朱、目尻と目頭には青の顔料が塗られていた。金箔をはがした上で再度塗る予定だったが、今回の発見で当初の姿で保管することになり、展示では、700年ぶりに甦った当時の様子のまま拝見できた。

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*左は修理前の室町時代以降金箔が張られた状態。右が当初の薬師如来座像のお顔。

何だか、化粧をする前と後でもこれほど変わるかという程お顔の様子が変わっているのを目の当たりにした。
金箔を施した修復には、当時の宗教思想がからんでいるものと思われる。

第1章 水へ祈り
・紙本墨画「叡山図」 曽我蕭白
文化館では蕭白の素晴らしい本気の水墨画を所蔵している。こちらは、それ程大きくないものの、画技が突出していたことは明白に感じられる。

・絹本著色「猿猴図」森狙仙筆

第2章 描かれた水の世界
・紙本墨画淡彩「楼閣山水図」右隻(重文) 近江神宮所蔵
六曲一双の大作。
蕭白の素晴らしさは、この文化館寄託、所蔵作品で学んだと言っても過言ではない。この「楼閣山水図]またの名を「月夜山水図屏風」と言って、辻惟雄先生の「奇想の系譜」には後者の名前で掲載されている。実は、この記事をアップした日は、インターネットで調べても同一の作品だと分からなかったので、別の作品かと思って、記事にも2作品を所蔵などと書いていた。
ところが、琵琶湖文化館の学芸員氏よりコメントをいただいて、漸く謎が氷解した(Akitu様ありがとうございます!)。

*青字部分は1月14日に加筆修正しました。

かくも素晴らしい作品を託されていながら、なぜ休館せねばならないのか、どうにも納得いかない。

・紙本著色「山水図」 円山応挙 
応挙らしい丁寧精緻な画面。色合いも美しい。

他にもこの章では山水図を中心に展示されている。

第3章 豊穣の海
・絹本著色「鴨図」 谷文晁
一画面に、ぎっちり28羽の水鳥が描かれている。こんな絵も描くのかとちょっと意外。

・「三上山蒔絵台」 梅沢隆真作
田植えをしている農夫とそれを指示する人物を蒔絵台に描いている。非常に珍しい工芸品。
昭和天皇の大嘗会の神饌のための神田である悠紀斎田が野洲三上村に置かれた記念として作られたものらしい。

エピローグ 「水から生まれ、水へと還る」
・絹本著色 「蘭亭曲水図」 横井金谷
横井金谷は、蕪村に私淑した地元出身の文人画家。近江の与謝蕪村と言われる。昨年3月に大津市歴史博物館で「楳停・金谷」という企画展で大きくとりあげられていたので、記憶に新しい。

エピローグでは「蘭亭序」に関する作品を集めて展示していた。

また、各章ごとに松戸喜代次作の「もみ紙」作品や琵琶湖各所、仏像の写真ぱネルが展示され、琵琶湖文化館らしさを出していた。

好印象の展示だったが、仏教美術関連が寂しく、写真パネルの仏像を拝見しては、溜息が出てしまうのであった。

常設展では、神像特集「神々の像をまつる」が行われており、様々な神像が展示されていたのが面白かった。
megami

中でも、玉龍寺の「木造女神坐像」(上画像) 室町時代 は、袖中に隠した左手で顔の大部分を覆い隠すというまれに見る様子をしている。このような神像は、他に類例がないらしい。
この他、木造弁財天坐像(安土町千光院)室町時代もインドのサラスバティーを神格化した水神で、頭上に蛇がとぐろを巻き、更にそのてっぺんに老人が乗っかるという異形の神像。
なぜ、てっぺんに老人?
長浜市で活躍した仏師右京介が制作した。制作者がきっちり判明しているのもすごい。

*「水の浄土」は1月18日で終了。
「神々の像をまつる」は2月22日まで開催中ですが、展示替えがあります。

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mizdesign様

こんばんは。
楼閣山水図=月夜山水図には驚きました。
あだ名をもつ重要文化財。

宣伝するにもお金がかかります。
少しでも拙ブログが宣伝のお役に立てばと思うばかりです。

蕭白

こんにちは。
思いかけず蕭白の「楼閣山水図」に出会えて、とても印象に残る展示でした。
「叡山図」も良かったです。
考えてみれば伊勢で活躍したのだから、近江に優品があるのは自然なことですね。
左隻を見逃したのが残念です。
もっと宣伝してくれーと思ってしまいました。

遊行七恵さま

こんばんは。
> 最後の女神坐像、どことなくモノスゴイという感に打たれますね。
> 目つきが怖いくらいです。

モノスゴイ感という表現はまさしくです。
観た瞬間「おっ!」と思いました。不思議なオーラがあります。
この神様シリーズと文化館の所蔵品がセットなら安土まで出かける
甲斐はあります。
近江八幡からもタクシーで二千円程度だと思います。

> しかし滋賀県もなんとかがんばってほしいです。

⇒同感です。これだけ素晴らしい作品があるのに、もったいなさすぎです。

Akitu様

毎回ブログの更新を首を長くしつつ楽しみに拝見しております。
このたびは、このような拙い記事で大変お恥ずかしい限り。
楼閣山水図は、この日「奇想の系譜」をたまたま所持しており、
どう見ても同じ作品なのに作品名が違うので首をひねっていました。

自身でも調べてみたのですが、どこにも両者が同じ作品だとの
記述を探し出せず、あのような記載をしてしまいました。
ご指摘と解説、本当にありがとうございます!
ニックネームを持つ作品って、それだけでも異色ですね。

今度は、文化館の仏教美術など~んと拝見したいものです。
東京に展示作品の出張などできれば、観客は集まると思います。
「出張美術館」などという企画は無理でしょうか、やはり。

No title

こんにちは
わたしは安土にはさる方の邸宅を見にゆきましたが、
そうでなければ、到底行く気にはなれませんでした。
本当にクラクラしました。
ご苦労様です。

最後の女神坐像、どことなくモノスゴイという感に打たれますね。
目つきが怖いくらいです。

しかし滋賀県もなんとかがんばってほしいです。

展覧会ご覧頂きありがとうございます

 こんにちは 展覧会ご覧頂いたんですね、有り難うございます。
このように丁寧な見学ログを書いていただき、嬉しい限りです。

 慈眼寺の薬師さんも、なかなか一度ではわかりにくい内容なのですが、正しく理解していただけているようで、安心しました。

 ちなみに、曾我蕭白の「楼閣山水図」と「月夜山水図」はどちらも同じ屏風のことです。「楼閣山水図」というのは、重要文化財の指定名称でして、一般的な名前の付け方です。「月夜山水図」というのは、ニックネームみたいなもので、こちらの名前の方が有名かもしれないですね。今回の展覧会では、前期・後期で左隻・右隻の展示替えをしました。

 タクシーで行かれたとは、大変でしたね。これにこりず、良い展覧会をしているので、訪れてみてください。          ではでは Akitu
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