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「加山又造展」 国立新美術館

matazo

サブタイトルも何もないシンプルなタイトル「加山又造展」に行って来た。
展覧会公式HPはこちら
国立新美術館の展覧会はサブタイトルなしが良い。
この展覧会は、加山又造の回顧展として100点を頗る見ごたえがあり、構成も分かりやすかった。

冒頭、エントランスの「雪」「月」「花」(いずれも東京国立近美)の三点で、観客を鷲掴み。
しかもチケットをもぎる手前からも、作品が見えていて、中についつい誘われてしまう。
この3作、かつて東近美の吹き抜け壁面を飾っていたそうで、近美を彩るに相応しい豪華な作品であった。
国立新美術館が建設されなければ、間違いなく東近美で開催していただろう内容だと思う。

第1章 動物たち、あるいは生きる悲しみ-様式化の試み
藝大時代の作品(昭26)から、昭35年までの初期の作品を集めている。
ここでは、キュビスムや彼の好きだったアンリ・ルソーの影響がうかがわれる。
ことに、キリンや月などの動物モチーフにルソーぽさがあらわれており、作風の変遷をたどるには欠かせない内容だった。

第2章 時間と空間を超えて-無限の宇宙を求めて
この章がメインなのかと思わせるほど、大作、力作ぞろいで驚く。

・「奥入瀬」(昭37)
キリン(昭35)年からわずか2年後に描いたとは思えないほど、作品が変化を遂げている。
ここから、琳派の影響が濃厚な屏風絵が始まる。
ただし、この奥入瀬ではまだ対象となる自然を鋭角的、方形として描いていて、まだキュビスムっぽさが残っていた。

・「千羽鶴」(昭45)
黒、銀、金の3色の使い分け、まるで着物で言う黒留袖のようなイメージの作品。
加山は京都西陣和装図案家の家庭に生まれた。やはり着物のイメージが終世、念頭にあったのだろうか。
大画面を月から太陽に向かって群れで飛び交う千羽の鶴。
また、彼の作品の中で特徴的な波紋が切金で描かれている。この千羽鶴は、加山のこの頃の屏風絵の集大成のような作品ではなかろうか。

第3章 線描の裸婦たち-永遠のエロティシズム
一転して、変化急な作品が登場。オール裸婦の屏風。
モデルの顔立ちが、デザイナーの花井幸子さんに似ていると思ったのは私だけか。
どのモデルも花井風か、山口小夜子風だったのが気になった。
エロティシズムというより、何かの広告を見ているような感じ。

第4章 花鳥画の世界-「いのち」のかたち
第2章に続いて、この第4章も見ごたえ満載。
「華と猫」(昭48)で描かれていた牡丹だけをクローズアップした「牡丹」(昭54)は圧巻の一言。
あれだけ大きいと牡丹は牡丹でなくなっていて、私には人食花のような毒花のように見えた。
しかも花の色が一方は黒だったのも余計毒々しさを増している。

「満月光」も同様に毒気のある作品。
最初の印象は怖いである。噴火する火山を前景にして、琳派を意識したのか華やかな画面にも関わらず怖さがある。
「夜桜」(昭57)も同じ。この作品は岐阜県高山市の光記念館が所蔵しており、めったに出品されることはないという貴重なもの。しかし、ここで描かれた夜桜も艶やかであるが故の狂気をはらんでいるように感じた。

第5章 水墨画-色彩を超えた「色」
先日、田渕俊夫の見事な水墨画作品を見たばかりなので、どうしても両者を比較して見てしまう。
私の好みは、断然田渕作品。
加山の水墨画作品は作り過ぎている感じがした。
「龍図」(昭63)光記念館蔵は、六曲一双の大作であるが、江戸時代の例えば蕭白やらの作品と比べると迫力がなく、龍が可愛らしすぎる。

「月光波濤」(昭54)は等伯の松林図を意識したのか、左半分はよく似ている。さすがに同じ構図はまずいと思われたのか、右には滝がとってつけたように描かれていた。

これら水墨画はどうも感心しない。

第6章 生活の中に生きる「美」
前章の水墨画とは逆に、加山又造らしさが溢れていたのが最終章。
ここでは、陶磁器やら着物(振袖・訪問着など)やら羽子板まで登場していた。

中でも印象に残ったのは、まず着物。
留袖、訪問着、振袖のデザインはそれはもう見事だった。光琳の着物を思い出したほど。
色と言い、バランスと言い、女であれば一度は着てみたいと思わせる。

そしてもうひとつは版画-メゾチント作品である。
メゾチントと言えば、これまた最近浜口陽三の作品を鑑賞したばかりだが、加山又造も素晴らしいセンスを持っていたと分かる。
「玉虫」「メタモルフォーシス」「KAKI」「熱帯魚」など、いずれも甲乙つけがたい出来栄え。
特に、私は最後の「熱帯魚」が良かった。

展示途中の休憩コーナーに又造先生のCG作品が展示されていて、こちらも必見。
何しろスパニエル(犬)やらのキュートでカラフルでおまけにポップなCGで、常に新しいものに挑戦する画家の精神が感じられます。

最後の最後まで、十二分に加山又造の魅力を堪能させてくれる内容でした。

*3月2日まで開催中。作品のごく一部に展示替えがあります。

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あおひー様

こんばんは。
加山作品は個人的には苦手なのですが、
この展覧会は良かったです。
動物と言えば、コンピューターグラフィックの犬が
忘れられない。

No title

こんばんわ。
ほんと時期によって作風の変わるのが如実に分かりますね。
不思議なのはどの時期の作品も好きだなあと思えるところ。
白とレスの水墨画とかちょっとない感じで面白かったです。

No title

こんばんわ。
動物シリーズは今回初めてみたのですが、あれはあれで好きだなあと。
加山=銀の線の波とイメージだったのがいい具合に覆されてくれて気持ちよかったです。

一村雨さま

加山又造展は、濃厚でしたね。
作品も濃厚ですが、中身も濃かった。
やはり好みは分かれるところで、私にはちょっと
濃すぎたようです。
ただ、技術もセンスも卓越していると思いました。

No title

初期の心をえぐるような動物たちと
豪華華麗な装飾屏風と、いろいろな加山を知ることが
できて嬉しい展覧会でした。
私は濃い水墨画が好みなので、加山も気に入りました。
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