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「没後30年 安田靫彦展」 茨城県近代美術館

「没後30年 安田靫彦展」を観に、茨城県立近代美術館に行って来ました。
没後30年と言っても、安田靫彦が亡くなったのは1978年。2008年の昨年がちょうど没後30年にあたるというわけ。
最初、没後30年?と聞いた時、意外な感じがしました。まだ私が生まれた時には、現役でいらっしゃったということで、昔の日本画家のイメージが急に近しい存在に変わります。
それもそのはず、安田靫彦は1884年生まれなので、肺病という持病を抱えつつ94歳と長寿を全うしたのです。

私が安田靫彦の名を知ったのは、随分と前になります。女流日本画家、小倉遊亀(彼女も長寿)が好きで、その師匠が安田靫彦であったのです。
滋賀県立近代美術館にはご当地作家の小倉遊亀のコレクションが大変充実していますが、その師であった安田靫彦の作品も相当良い物を持っているようです。

そして、今回の展覧会では何点かその素晴らしい滋賀県近美コレクションを見ることができました。

本展は安田靫彦が、岡倉天心に認められ、茨城県五浦の日本美術院研究所に招かれ、これを機に大きく飛躍します。この靭彦にとって飛躍のきっかけとなった茨城の地で、その芸術の魅力を約100点で展観します。

作品は、ほぼ年代順に章立てされています。以下印象に残った作品と共に振り返ります。

Ⅰ章 萌芽と胎動

・「遣唐使」 1900年 個人蔵
先月、佐野美で観た小林古径や昨年の平塚美開催速水御舟もそうでしたが、非凡さというのは既に10代前半から現れるのですね。この作品も16歳で描いたとは思えません。
御舟は13歳で画家になろうと志し、1898年に歴史画を得意とした小堀鞆音に師事。なお、「靫彦」という号は小堀鞆音の師であった川崎千虎が名づけたそう。

この後、18~20代前半の作品が続きますが、どれもこれも上手い。
中でも
・「静訣別の図」1906年滋賀県立近代美術館蔵
・「羅浮仙」 大正初期 個人蔵
の2点が良かったです。羅浮仙は海の妖精なのですが、靫彦描く羅浮仙は健康的で実在的でした。
この後、もう1枚同じ「羅浮仙」(1935年・茨城県近代美術館蔵)を描いた作品があるのですが、全く違います。
この2点で作風の変化を知るのもまた一興。

Ⅱ章 展開と開化

ここからは、少し時代が飛んで1925年41歳の作品から始まります。
40代の作品の特徴は、私が見るに「洗練と簡潔」と言えるのではないでしょうか。

・「西廂待月」1926年 滋賀県立近代美術館
・「風神雷神」 1929年 遠山記念館
風神雷神は、靭彦が敬愛していた俵屋宗達へのオマージュなのかも。琳派の作品を意識しつつ、光琳、抱一、其一らとは全く異なる若く清々しい、現代的な風神雷神を創出しています。古典を学び、更にその先、展開への創造力が、安田靫彦の真骨頂なのだと感じます。

・「菖蒲」 1931年 京都国立近代美術館
たらしこみを使った琳派風の作品。菖蒲だけが軸の中で大きくクローズアップされているのも、琳派の作品と似ています。

・「伊勢物語 あまのかは」 1931年 個人蔵
私にしては珍しく、タイトルを見る前にこれが伊勢物語の業平を描いたものだと分かりました。
砂子を使った天の川や秋草がとても好ましい、優しい作品です。

・「花づと」 1937年 宮本記念財団
161.6×76.0の大幅。日傘とお客様に差し上げる花束(花づと)を手にした女性像。
気品があって、女性の性格まで絵に表れているようです。傘の模様が細かい。

・「赤星母堂像」 1943年 平塚市美術館
この作品は数点の下絵も一緒に展示されているので、その制作過程を知ることができます。
最終的に、絵にした赤星母堂像は、下絵にはなかったきりっとした強い意志が感じられる人物象に仕上がっています。
安田靫彦の描く人物象は、作品にその人物の性格まで表出させているのが魅力です。

Ⅲ章 深花と円熟 

最終章では、60歳から晩年までの作品を紹介しています。ここでは、色彩の魅力を再認識した靫彦の円熟を増した筆使いと色彩感覚がポイントです。

・「木花之佐久夜毘売」 1953年 個人蔵
富士山を背景に、何とも華麗な女神を色彩豊かに描く。

・「卑弥呼」 1968年 滋賀県立近代美術館
得意の歴史画の大作に間違いなく含まれるのではないでしょうか。
卑弥呼など、誰も見たことがなくその実像は不明なのですが、もしや卑弥呼ってこんな女性ではなかったのか?と観る者に素直に信じこませる程の力があります。

・「森蘭丸」 1969年 ウッドワン美術館
背景に描かれた一枝の梅が何とも言えず印象深い。刹那的ですらある。

・「梅花定窯瓶」1963年 豊田市美術館
梅と言えば、靫彦と言うほど、梅を描いた作品は多い。地元豊田市美で何度か見ているこちらの作品は、展覧会の冒頭にあり、艶やかに観客を迎えてくれます。

この他、水彩画やデッサンなども併せて展示されているので、そちらも楽しめます。
平塚市美で拝見した「速水御舟展」の安田靫彦ヴァージョンのような構成と作品数で大満足でした。
これに、「御産の祷」(1914・東京国立博物館蔵)があればというのは贅沢ですね。

なお、展覧会チラシに使用されている「飛鳥の春の額田の王」1964年 滋賀県立近代美術館蔵は、2月23日~3月22日までが展示期間です。ご注意を!

*3月22日まで開催中です。本展は茨城県立近代美術館の単独企画展のため巡回はありません。

<関連情報>
「~青邨、靫彦、御舟~ 大正期、再興院展の若く青き日々」と題する展覧会がこの秋(9月12日~10月25日)滋賀県立近代美術館で予定されています。

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没後30年 安田靫彦展(茨城県近代美術館)

限定Suicaを手に入れた後、暖かいご飯を食べてからいざ、茨城県近代美術館へ。 昨年の夏に行って以来です。 生憎の天候のため、残念ながら川べりを歩いてくのは諦めて、タクシーで。 「没後30年 安田靫彦展」の看板がでーんと待ち構えてました。 ・守屋大連 周囲の

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一村雨さま

松岡の美人画展は、4月を予定しています。
羅浮仙は絵ごころ誘うんでしょうか。
楽しみになってきました。

羅浮仙女

松岡美術館でも「羅浮仙女」が展示されていました。
こちらのものも興味深いです。
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