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「あら、尖端的ね。」-大正末・昭和初期の都市文化と商業美術- 岡崎市美術博物館

SENTANTEKI
先週の帰名は、この岡崎市美の「あら、尖端的ね。」と室生寺金堂この2つが目的だった。
本展は、大正末~昭和初期の都市文化と商業美術を絵画、版画、彫刻に限らず、雑誌、パンフレット、写真資料等多数展示し紹介するというもの。

で、これが実に盛沢山で、大正昭和の都市文化をめぐるてんこもり展覧会と名付けたくなるような興味深い内容だった。

あまりにも出展数が多いためか、いつもならある作品リストもなし。
というか、この展覧会に作品リストなどいらないかもしれない。個々の作品にこだわるより、全体を展観し、出品作品すべてを通して見えてくるもの、それが一番大切な気がした。

展覧会構成は次の通り。
第1章 関東大震災とその表象
1-1 震災の表象
1-2 伸彩バラックの諸相
第2章 イメージのなかのモダン都市と尖端風俗
2-1 新しい都市の表象
2-2 都市の風俗とその尖端的あらわれ
2-3 新しい着物図案と洋装デザイン
第3章 新しい生活文化
3-1 新しい生活空間
3-2 つくられた子どもの文化
第4章 消費文化と商業美術
4-1 文化をつくる百貨店と企業
4-2 商業美術としての図案
4-3 マネキンとショーウィンドー

さて、展覧会の内容を個々にご紹介するほどの気力と能力を持ち合わせていないので、感想のみに留めたい。

印象に残ったのは3点。

1.今 和次郎(こん わじろう)
本展で初めて知った人。東京美術学校図案科卒業。
彼は1923年バラック装飾社を結成。25年より「考現学」を開始する。
バラックを装飾するという発想にも感心したが、何より驚嘆したのは「考現学」の方。今でいう路上調査をして、都市風俗学、生活学なるものを創始したと言ってよい。
例えば、銀座で街を行く人の女性の服装が着物(和装)か洋装かとか、髪型はとか、果ては某家庭所有6畳家具調査など、実に様々な統計を取っている。
その精緻な調査ぶりが各種の資料から読み取れるのだけれど、今が手がけたイラストや図面が気に入った。細かく、精密なんだけど、手書きの味がある。この調査結果を見ているだけで、相当の時間を要したが、読んでいると面白いのでやめられなくて困った。今度、彼の著書を読んでみようと思っている。
彼なくしては、現代の「路上観察学会」も生まれなかったかもしれない。
こんな人の存在を知っただけでも、展覧会を見た甲斐があったというもの。

2.マヴォ
これも今回初めてその存在を知った。
マヴォは、戦前-関東大震災の直前1923年7月に柳瀬正夢、村山知義、尾形亀之助、大浦周蔵、門脇晋郎ら5名により結成されたグループ。既成の価値観、芸術観、あるいは道徳観念すらも破壊する活動を行った日本のダダ活動の先駆。
機関紙「マヴォ」などによる印刷メディアによる複製芸術、また、関東大震災後に前述のバラック装飾を行っている。絵画よりも、立体作品(彫刻)、建築、広告・デザイン、演劇、ダンスなど広い分野で活動した。
このマヴォが出した雑誌「マヴォ」(1924年創刊)が展示されていたが、表紙のデザインも古めかしさをあまり感じず、文章もよく書けている。彼らが出した「マヴォ宣言」は読んでいるだけで面白いし先駆的内容だ。
赤瀬川原平さんなど、もしかするとマヴォの影響を受けたんではなかろうかと思った。どこか似ている。
単に先駆的だっただけではなく、マヴォ着物図案集など見ていると素敵なデザインを提案しており、美術的価値も高いと感じた。

3.商業美術
本展を楽しみにしていた当初の最大の理由はこれ。
大正から昭和初期の商業美術と言えば、私の頭に一番最初に浮かぶのは資生堂。これは掛川にある資生堂企業資料館など、過去の展覧会でもその素晴らしさを目にしていたが、今回は資生堂だけではない。
私の興味を一番そそったのはライオン株式会社と松坂屋の広告類。
どちらも、大変失礼ながら現在使用されているものより余程センスのある内容だと思ってしまった。
特に驚いたのはライオン社。
「ライオンコドモハミガキパッケージ」(1937年)などは、こんなケースで売られたら、今でも買うと思ったくらい洒落ている。
ライオンでは、口腔衛生を広めるために、こどもをターゲットとした普及活動を積極的に行った。そこで使用されたと思われる本の栞は、童画家で著名な武井武雄の絵が入っていて、「子供のときからライオン歯磨きで寝る前にも歯を磨きませう」などと飾り文字で入っているのが泣かせる。他にも「強い歯と弱い歯」と題した、見ているだけで和んでくるイラスト入り歌(楽譜付き)チラシとか、見ているうちに私の方がすっかり啓蒙されてしまった。

こういうの今もやってくれたらいいのに・・・と思ったのは私だけだろうか。

松坂屋もかつては子供向けの事業を積極的に行っていた。「マツザカヤマンガ」(これも今回初めて知った)はA4横長くらいの紙面を使って、4コママンガを連続して発行。
しかも絵を担当しているのはのらくろの田河水泡はじめ、前川千帆など当代人気作家ばかり。

この展覧会、この時代の商業美術が好きな方にはたまらない内容です。

*3月29日まで開催中。本展覧会の巡回はなく、岡崎市美術博物館の単独企画展です。
展覧会図録も良い出来で、お薦めです。

なお、岡崎市美術博物館の09年度展覧会スケジュールを見てびっくり。楽しみな企画展目白押し。
4月11日~5月10日 細見美術館展
5月16日~7月12日 ピサロ展
9月19日~11月8日 菅原健彦展
11月21日~1月17日 臨済宗の美術
1月30日~3月28日 ロシアの夢
遠方ですが、毎回質の高い企画展で楽しませてくれます。ぜひ、一度ご訪問ください。

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KINさま

こんばんは。KINさんのブログ最近荒れてますね~(笑)。

> 図録、大正辺りの広告美術(←大好きです)の
> 図って結構載ってます???

⇒大正は後期から、昭和初期1930年前後のものが中心です。
今回の展示資料数は420点で、これ全て掲載されてます。
図版は、東博特別展図録と同じサイズ、全223頁オールカラーで、2200円。
デパートのショウウィンドーやマネキンまで載せてる図録は
そんなにないと思いますよ。。。
紙媒体では、花王のデザインも気に入りました。

責任は取れませんが、購入をお薦めいたします。

遊行七恵さま

こんばんは。
この記事は遊行さんのために書いたといっても過言ではありません。
展覧会に行って、「この内容は、やはり遊行さんがお好きなのでは」
と頭に浮かんでました。

出品資料数は全部で約420点!
記事には書きませんでしたが、斉藤佳三関連資料、家具もありました。
斉藤佳三は遊行さんなら、きっとご存知ですよね。

行かれる際は、十分に時間を確保されることをお勧めいたします。
最後に、中山岩太の写真「キャピトル」までありますよ。

この

図録、大正辺りの広告美術(←大好きです)の
図って結構載ってます???
どうせ行けないので図録を注文するかどうか
ひじょうに悩み中でございます。

No title

こんにちは
あう~~
やっぱり行くしかないのね、という感じです。
好きなものだらけではないですか!!
ああ、苦しいです。

今は松涛美術館でも展覧会があり、けっこうファンです。
今といいマヴォといい・・・やっぱりmemeさんの言に従うしかなさそうです。

すぴか様

「アルカディア」をチェックされているとは驚きです!
私も今回の芳賀館長のエッセイを読んで、思わずにんまりと
微笑み、俄かに館長さんが気になった所でした。
どこかで聞いたお名前だと思ったら、著名な比較文化史の研究者
だったのですね。

こんな拙い記事で恐縮ですが、ご参考になれば幸いです。
また、図録は郵送も可能です。
その道の研究者の解説文が多数掲載されている+図版も大きいので
ご興味がおありなら入手されても楽しめるかと思います。

No title

こんにちは。
「あら、尖端的ね。」の記事大変面白く拝見しました。
実は館長の芳賀徹さんをけっこう追いかけていて、毎回「アルカディア」
に出る館長のエッセーを、コピーして、今回の企画面白そうだなと読んでは
いましたが、岡崎ではちょっと行けそうもなく残念、、、それだけに
雰囲気やその他よくわかり、とっても嬉しかったです。ありがとうございました。
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