「所蔵名品展-国宝 紅白梅図屏風-」 MOA美術館
毎年恒例(と思われる)MOA美術館の「所蔵名品展」に行って来ました。
今回は青春18きっぷを使用し、葉山⇒鎌倉⇒熱海とまわったのでちょっと急ぎ足の美術館巡り、最終目的地のMOA美術館では閉館まで粘りました。
さて、展覧会タイトルに「紅白梅図屏風」とあるので、ブログ記事冒頭にも掲げましたが、ホントは「感動!鎌倉時代仏画名品展」と題したかったです。
展示作品リストはこちら。
MOAがこれほど、素晴らしい仏画を所蔵していたとは、全く存知上げず。
私の来訪目的は岩佐又兵衛の「山中常盤物語絵巻」「浄瑠璃物語絵巻」。それぞれ一巻ずつ、しかも数場面分しか開かれていないので物足りないのは、言うまでもない。
でも、ちょぴっとでも良いので観たい、これがファン心理というもの。
「山中常盤物語絵巻」は初見。昨年「浄瑠璃物語絵巻」の極彩色に感動したので、山中も絶対観たい!この一心でした。
たとえ一場面とは言え、やはり素晴らしかった。。。もう、溜息もの。こうやって地道に毎年通うしかないのか!となぜか咆哮してしまう私です。
中国絵画は面白い作品が何点か。
寒江独釣図 伝馬麟 中国 元時代 (重文)は、魚が2匹泳ぐ姿が愛らしい。ちょっと中国絵画らしからぬ雰囲気です。涼しそう。
この他、「蓮に鶺鴒・葦に翡翠図」 伝牧谿 中国 南宋時代(重文)、「山水図」伝馬遠 中国 南宋時代 (重文)などもまずまず。
紅白梅図屏風は、さらりと流して先に進むと、今回の目玉、仏画と仏像コーナーへ。
奈良博でもなかなかお目にかかれないような鮮やかな曼荼羅図や愛染明王像などなど。
枚挙にいとまがありません。
・「童子経曼荼羅図」鎌倉時代 重文
・「吉祥天曼荼羅図」同上
いずれも曼荼羅図ですが、特に前者は初めて見るような図柄です。
何しろ、曼荼羅に童子がたくさん円状に配されています。
また、これらの童子によ~く着目すると、何と足袋のような靴下のようなものを履いている。
靴下履きの童子の曼荼羅って・・・。驚きです。
う~ん、これは一体何で靴下履いてるんでしょうか。仏教的な意味合いはあるのか。謎です。
一方「吉祥天曼荼羅図」の方は絢爛豪華、オールキャスト。
至るところ、天女やら何やらが配され、どこを見て良いのやら、あちらもこちらも見どころ満載の曼荼羅図。私は上部両脇に配された天女が好きでした。
・「阿弥陀三尊像」 高麗時代
高麗時代というからには、日本でなく大陸産の仏画でしょう。阿弥陀三尊のお顔が日本のものとはやはり違う。ここで見るべきは着衣の「透け感」。
あぁ、またしても「透け感」、更に精緻な紋様。美しすぎます。
紋様と言えば、鎌倉時代を象徴するような「錐金」を忘れてはなりません。
重文指定こそされていませんが、「二十五菩薩来迎図」 双幅でしょう。
驚くべき細かさで、二十五体の菩薩それぞれ全てに錐金紋様が施されています。
鎌倉時代の仏画は、損傷がひどかったり、退色が進んでいたりと鑑賞に堪えないような作品も多いのですが、さすがはMOA。
どれもこれも状態が非常に良く、色が鮮やかです。
仏画がお好きな方、関心がおありの方は必見でしょう。
おまけのように末尾になってしまいましたが、「湯女図」(重文)、「機織図屏風」いずれも17世紀江戸時代の風俗図、ことに後者は珍しい図様で、楽しめました。
歌麿の肉筆画「桟橋二美人図」なども出展されています。
*3月23日まで開催中。木曜日休館です。