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「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」前期  府中市美術館

府中市美術館で開催中の「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」に行って来ました。
府中市美術館は2007年に「動物絵画の100年」と題した展覧会をやって好評を博し、その続編として今回は江戸期の風景画250年を展観する内容となっています。
動物絵画100年は残念ながら拝見できなかったので、今回は!と開催前から展示作品をチェック。

本展では会期中展示替えが多数行われ、すべての展示作品を見るには3回(前期・後期A、後期B)足を運ばねばなりません。
しかし、府中、更に府中駅からもバスが必要と足の便が悪いにも関わらず、3回足を運びたくなる展覧会です。

風景画を様々な角度から取り上げ、こんなのもあれば、あんなのもあるよ~的な発見があります。

テーマ1<山水に暮らす> 
(1)自然とともにある
・熊谷直彦 「騰竜隠雲之図」 個人蔵 <前期のみ>
双幅で内容的につながりがある作品。左で2人の男が強風にあおられ、右幅では宙に舞う傘、強風に塵の渦が舞っている。上方にあるあやしげな雲の描写、風という目に見えないものを描く描写いずれも素晴らしい。

・谷文晁 「白河楽翁下屋敷真景図」 白河市歴史民俗資料館
小さな画面に美しい那須連山の風景が広がっている。

(2)神の国のすがた 
・小泉斐 「男山伝説図」 個人蔵
机に伏してうたた寝する人物が見る夢を1枚の画面に絵画化。まるで、漫画の一コマのようでもある。海から山へと竜が昇り雲を巻き起こす。
作者は「こいずみ・あやる」、私は初めて知った名前。下野生まれで、高田敬輔や円山応挙に学んだという。

・岸駒 「芙蓉峰図」 静岡県立美術館
神々しいまでに雄大な富士山。ここでは富士山の絵が多く出ていたが静岡県美の作品に良い物が多い。

テーマ2<絵をつくること>
(1)中世の残像
・狩野山雪 「富士三保松原図屏風」 静岡県立美術館 前期のみ
山雪ではあるが、画面構図は平凡。やや変色し状態はいま一つ。それでも大画面に描かれた三保松原はみせてくれる。

・原在中 「富士三保松原図」 静岡県立美術館 前期のみ
こちらも静岡県美蔵。きれいな青いトーンがとにかく美しい。横に長く平面的に広がりを見せる。

(2)実景と絵すがた
・高久靄 「袋田滝真景図」 栃木県立美術館 前期のみ
滝には滅法弱い。この作品も色、構図とも良い。

・平井顕斎 「白糸瀑布真景図」 浜松市美術館
平井顕斎も初めて知る。今回は知らない江戸画家が沢山あって、奥深い。彼は谷文晁、渡辺崋山に学んだ遠江の生まれ。実際の白糸の滝より美しいのではないかと思える程、美しく描けている。カビのような汚れがなければ、最高なのに。

・小田野直武 「日本風景図」 照源寺、「富岳図」 秋田県立美術館
小田野は秋田蘭画の中心的存在。なかなかその作品を見る機会が少ないが、西洋画法を取り入れた秋田蘭画は、時代の先端を行っているようで大変興味深い。

・淵上旭江 「真景図帖」 府中市美術館
小さな図帖の一画面一画面が、エメラルドかアクアマリンの宝石のように美しい。岩絵の具の翠、碧、青はこんなにも美しかったかと感動する。

テーマ3<奇のかたち>
・曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」 京都国立博物館 前期のみ
蕭白の水墨画。本気出したらこんなもの朝飯前風。一番左の面が一番良かった。

・曾我蕭白 「松鶴山水図」 前期のみ
前期の蕭白の中ではこの作品が白眉。双鶴の立つ姿も工夫があり、波の表現、遠景の山々の幻想的な雰囲気、更にその手前に飛ぶ鶴の群れ。もう見所がありすぎです。

・倉屠龍(くら・とりゅう)「山水図屏風」 個人蔵 前期は右隻を展示
最初見た時、蕭白かと思ったほど作風が似ていた。詳しい経歴は謎。こんな画家もいたんですね。

・鈴木芙蓉 「那智瀑泉真景図」 飯田市美術博物館 前期のみ
この作品は昨年飯田市美術博物館に行った際に拝見し、今回で2度目。
縦長の大画面に那智の大滝が一気に流れ落ちている。水しぶきが風で横殴り。大迫力で空気が見る者に伝わる傑作。

・小野田直武 「岩に牡丹図」 秋田県立近代美術館
巨大な牡丹が岩山の中から顔を出している。珍妙な絵。茨木で昨年見た原田直次郎の画面を突き破って描かれた犬の作品を思い出した。牡丹はきれいなのに・・・。

・墨江武禅 「月下山水図」 個人蔵 前期のみ
これも知らない作家。大阪の人で、宋元画を研究。技法が独特、塗り残しのような白く残る箇所、丸いふちどりと不思議な画面。

・安田雷洲 「山水図」 個人蔵
これまた変わった技法の作品。私のメモには「毛むくじゃら法」とある。

テーマ4<ロマンティシズムの風景>
(1)物語る山水
・宗仙 「波に鴛鴦・白鷺図屏風」 個人蔵 前期のみ
宗達かと思いきや、その一派である宗仙の作。誰が描いても良いものは良い。

(2)体感する自然、見霽かす心地
・池大雅 「山水図屏風」 個人蔵 前期のみ
中国山水の流れを汲むような技法、特に木の描き方に特色あり。

(3)憧憬
・司馬江漢 「蘭客舟遊図」 個人蔵 前期のみ
本当に西洋絵画かと思った。江漢の作品は本展で多数見られるが、常設で特集展示も開催されている。常に新しい挑戦をしているように思う。

・土井有隣 「西洋海浜風俗図屏風」 京都国立博物館 前期のみ
ヴェルネの銅版画を水墨画にしてしまった作品。驚きの技術。

・谷文晁 「蜀桟道図」 個人蔵 前期のみ
そそりたつ岩山に自分が睥睨されているよう。

・伊藤若冲 「石峰寺図」 京都国立博物館
最後の最後にこの作品を持ってくるあたりが心憎い。おいしいものは最後。
五百羅漢、白いにょろにょろのような羅漢が思い思いの様子をしていて、見ていると時間が経つのを忘れる。亀に乗ってるのまでいた。状態が素晴らしく良い。この作品、あまり京博でも出していなかったように思う。

今回の展覧会は、チラシデザインが良いです。とても目立つ。
更に図録の図版印刷も良い。
加えて、チケットに2回目半額券が付いてます。でも3回目は半額になりません。ぐるっとパスを使用すれば団体料金です。もしくは5回以上来館するならメンバーシップ(年間2500円)もあり。

次回は200円の解説ガイドを借りてみようと思います。

*前期展示は4月12日(日)まで、お早めに。

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21世紀のxxx者さま

こんばんは。
前期、後期Bと拝見しましたがやはり前期の方がインパクトは
強かったかもしれません。
でも、後期Bは蕭白に蘆雪とこちらも豪華。
つまるところ、2回行くのが正解だったように思います。

No title

私は後期Bという最後の展示だけ観ました。
んー、若冲の作品はやはり良かったんですね。行くの遅かったかな^^;

Tak様

後期も楽しみですよね。
今日の美味にあった焼チーズケーキ、今度行ってみます。

No title

こんにちは。

前期間に合ってよかったです!
石峰寺図だけでなく
行かなければ後悔必至でした。

あおひー様

こんばんは。
石峰寺図は何度見ても、見落としがあるような気がして
確認したくなりますよね。
若冲の想像力の豊さには脱帽です。

No title

こんばんわ。
後期に行くのはもちろんなのですが、前期のみの「石峰寺図」をもう一度見に行こうか迷ってます。

とら様

こんばんは。

> この美術館の企画展に来ると、思わず図録を買ってしまいます。
⇒あの表紙と印刷内容なら思わず手を伸ばしますよね。
広告とデザインが府中美術館は上手いです。

> 「二匹の泥鰌」展といえると思います。
私が行った時にはお客さんの入りが少なかったです。
泥鰌狙いは果せるかな!ですね。

No title

この美術館の企画展に来ると、思わず図録を買ってしまいます。
「動物絵画100年」の時もそうでした。
今回の「江戸の風景250年」ですからそのペアなのですね。
「二匹の泥鰌」展といえると思います。
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