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「杉本博司 歴史の歴史」 国立国際美術館

sugimoto

大阪、国立国際美術館で開催中の「杉本博司 歴史の歴史」に行って来ました。
2003年に東京エルメスギャラリーを皮切りに北米4都市、そして今年金沢21世紀美術館にて、かつてない大規模展を開催。
金沢21世紀はぐっとこらえ、この国立国際美術館への巡回を待ちに待って早速観て来た次第ですが、本展を見た後、私の頭は杉本博司一色。スギモト教信者になりそうなくらい、強烈なインパクトでした。こんなことなら、金沢も行っておけば良かった。同じであって、同じでなかったに違いないのです。

今回は杉本博司が過去自身で収集してきた品々と写真作品で構成されています。
たったそれだけなのですが、その内容は展覧会全体が杉本博司の作品であり、精神そのもの。
会場である国立国際美術館のB2・B3両フロアを使用しての展示は、杉本博司プロデュースの見事なインスタレーションです。

私が思う展覧会の見どころ

1.40㎡の弓型壁面を飾る《海景》シリーズ
弓型壁面での展示は過去北米での展覧会で好評を博してから作家自身もお気に入り。
このコーナーに足を踏み入れると、感動で背筋がぞわっとしました。最後の最後、閉館ぎりぎりに戻って行ったら、誰もいなくて独り占め。束の間の幸せ。

2.≪反重力構造≫当麻寺の建築古材と当麻寺写真
当麻寺東塔の建築古材群と杉本氏撮影の当麻寺写真の共演。彼自身が言う歴史を形作ったものからの影響が見事に作品として甦っている。
ここの照明はサイコー。磁場ような聖域を形成しているようにも感じた。

3.展示照明
完璧な照明。展示照明、デザインなど全て作家本人が手がけている。
作品を如何にして美しく、より映えさせるかに最大限の神経を払っている。しかも、作品を照らす照明の影さえもが、ひとつの作品になっている箇所が少なくとも2か所あった。

4.表装、表具に注目
杉本博司が収集して来た古美術品、特に平安時代の物がお好きらしいが、それらの表装は全て彼自身によるセンス、アイディアが活かされている。
表具に使用している揉み紙という和紙の色合い、グラデーション、古裂、更には軸木も要チェック。
軸木などは、木ではなく古い青銅器が使用されているものさえあった。
いずれも、この表装センスさえあればどんな物でも素晴らしい美術品に見えるのではないか。作品購入以上の値段が表装にかかっているかもしれない。

5.900㎡の大展示空間を飾る新作《放電場》
カメラを使用せず、放電現象をフィルムに焼き付けた実験的作品。元々は現像段階での失敗経験がヒントになっているそう。放電現象を写した写真は、さながらゾウリムシのような繊毛虫を思い起こさせる。
その2日前に豊田市美でヤノベケンジの放電インスタレーション≪ウルトラ-黒い太陽≫を見たばかりで、同じ放電現象でもアーティストが違えば表現手法も異なる見本と言える。

6.鏡の割れ
≪放電場≫の展示空間の最奥鏡が1か所大きく割れている。これは杉本博司自身が、展示準備に際し、木槌で割ったもの。対角線上にあるマルセル・デュシャンへのオマージュか。
最後の映像インタビューによれば、『ズレ』を表現したかったらしい。どこまでも計算されている。


数十年前の化石から、アポロ計画のために作られた宇宙食、A級戦犯の雑誌表紙、肖像写真、解剖図等々作家自身の興味、関心対象はバラバラなのだが、それら全てのもの達が作家をインスパイアし作品制作の糧となっています。
更に感心したのは、この一見とりとめのない収集品が見事に一つの展示としておさまっていること。
国立国際美術館という建物を活かしきった展示空間がとにかく素晴らしい。冒頭述べたように、金沢に行っておけば、金沢21世紀美術館という個性ある空間を使用した別のインスタレーションを体験できだろう。そう思うと、見逃したのが悔やまれてならない。できることなら、2つの展示を比較してみたかったです。

海景シリーズや放電場だけでなく、過去の写真作品や、今回新たに再制作された《観念の形》もきちんとあるべきところで私たちを魅了しています。

杉本博司は単なる写真家と言うには、憚りがある。
建築家、演出家、プロデューサー、千宗屋氏が評しているように、いくつもの顔をもつ現代の数寄者というのがぴったりだと思います。

杉本博司のファンであってもなくても、必見の展覧会。お早めに。
作家自身による収集品についての解説入り展覧会図録は、定価8,500円が特別価格6800円で販売されていました(めちゃ重たい)。同じくミュージアムショップには、こちらのBRUTUSムックもあり(私はこちらをお買い上げ)。
brutus


*6月7日(日)まで開催中。なお、5月17日(日)は「国際博物館の日」で観覧無料です。

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ogawama様

こんばんは。
ogawama様が杉本博司ファンとは存じませんでした。
やっぱり海景シリーズいいですよね。静謐です。
ブロガーの皆さん、この展覧会行かれないんでしょうか?

面白かった!

面白かったです~。
memeさんのおっしゃる通り、杉本さんの展示の手腕とか表装のセンスにシビれました。
作品リストの解説ひとつ取っても非常に洗練された無駄のない文章で、ますます彼のファンになりました。

遊行七恵さま

こんばんは。
後になるほど、混んでくる予感が。
できるだけ、観客は少ない方がみやすいコーナーもありますので
やはり早めに行かれることをお薦めします。
ご感想が楽しみです。

早っっっ

こんにちは
25日に行きそこね残念と思っていましたが、
memeさんのおかげで気合が入ってきましたよ。
それにしても面白そうなので、期待が高まります。
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