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「現代の水墨画2009 水墨表現の現在地点」 練馬区立美術館 

nerima

練馬区立美術館で開催中の「現代の水墨画2009 水墨表現の現在地点」を見て来た。

この展覧会は富山県水墨美術館で平成12年に開催された「現代の水墨画Ⅰ」の第3弾となるもの。2回目までは水墨美術館の単独開催だったが、今回から練馬区立美術館との共催となり、東京でこの現代の水墨表現を探る展覧会を見ることができるようになった。

結論から申し上げると、この展覧会とても素晴らしい内容で感心と感動の両方が味わえる。
我慢に我慢を重ねていた図録(1300円)を迷わず購入したことからも、私自身の感動の深さが改めて思い出される。

展覧会の趣旨は冒頭に記載した通り、水墨による様々な表現の可能性を追求している現代の作家の中から、特に優れた業績を残し、今日さらに目ざましい活動を展開している11名の作家を選抜し、各作家の近作、新作約30点を紹介するものです。探究心と実験的精神に満ちた作品を通して、水墨の新たな可能性と現代における水墨画の意義を探ります。
~展覧会チラシより抜粋。

出品作家は以下11名の方々。
伊藤 彬、中野嘉之、箱崎睦昌、正木康子、八木幾朗、呉 一騏、尾長良範、浅見貴子、
マツダジュンイチ、三瀬夏之介、田中みぎわ

11名の方々の水墨画を拝見して、画材は墨だけという至極シンプルなものなのに、これだけ多様な表現ができうるのかという感動が強くわき起こった。
元々、中国絵画や日本古美術の水墨画が好きで、では現代の水墨画ってどんなものなの?という気持ちから見に行ったのだが、いいなぁと思う作品がいくつもあった。

個人的に特に気に入った作家さんと作品は次の通り。
・八木幾朗 ≪Le Raisin≫ 2008年
2階の企画展会場入口右手すぐにある大作。支持体が通常ある四角ではないことがまず気になる。
描かれているのは葡萄の木と枝、そして鈴なりの果実。一瞬相国寺にある若冲の「葡萄図」を思い出した。
こちらは、もう少し柔らかな線で描かれている。カーブを描いた支持体もこの葡萄の作品にはマッチしているように感じた。この形をとることで葡萄の枝の広がりを増す効果を生じている。
じっと見ていると葡萄にふわりと包まれているような気持ちよさがある。

1階の常設展示コーナーでは「コレクション特集展示 現代水墨への誘い」が開催されており、こちらでは八木さんの更なる超大作≪海のはじまり≫1997年が展示されている。こちらは≪Le Raisin≫とは違った技法だけれど、どことなく柔らかな印象は共通している。この作品もとても好き。

・正木康子 ≪たまゆら≫ 2006年
蓮を描いた作品は数あれど、これほどまでに不穏な印象を受ける作品はかつてなかった。
黒と白だけでこんなにあやしげな雰囲気が出せるのだという驚きがある。一見すると、描かれているのが蓮の花だとは分からないほど。
キャプションにある作者アンケートによれば「非日常を表現したかった」とのこと。
不安、不気味さを伝える作品として記憶に残った。

・田中みぎわ
≪優しい雨≫ 2007年
≪大地がゆっくりと呼吸している≫ 2007年
≪さんざめく野≫ 2007年

出品作家中、もっとも若い1974年生まれ。一番欲しいと思ったのはこの方の作品である。
3点とも良いのだけれど、≪大地がゆっくりと呼吸している≫が一番欲しい。≪優しい雨≫は一番大きめの作品で、他の2点とはタッチが若干違って、にじみやぼかしといった技法が特徴。
好きな理由は何だろう。
技法的には基本(古典)に忠実で奇をてらう所はないように感じるが、空気感やにおいのようなものは一番強く五感に訴えられたからではないか。

根津にあるギャラリーginで過去に個展をされているようなので、今後も要チェック。

・マツダジュンイチ ≪風形≫ 2006年
これも新しい試みを感じる。描かれているのは何だろう?竹?
何かは分からないけれど、全体を通して見ると風を表現しているのだと分かる。面白いと思う。

・三瀬夏之介≪ハヨピラ≫1~3 2008年
お馴染み三瀬さんの作品。佐藤美術館の個展ではあくの強さを感じたけれど、こうして他の作家さんの作品と一緒に並べて拝見すると、あくの強さがむしろ強い個性となって好印象。
展示作品は過去に見た記憶がない。個展にもなかった筈。

なお、三瀬さんのアーティスト・トークが5月30日(土)午後2時より開催されるのでファンの方は是非。

・浅見貴子 ≪梅に楓図≫ 2009年
浅見さんの作品も画法が特徴的なので、すぐにそれと分かる。
濃墨を使用して、水墨による大きな点描画とでもいうのだろうか。≪梅に楓図≫は少し離れて見ると、確かにタイトル通りだと分かる。新しさを感じる。

こちらも三瀬さん同様、5月31日(日)の展覧会最終日に同じく午後2時からアーティスト・トークあり。
会期終了間際でのアーティスト・トークって珍しい。


また、今回の出品作家には選ばれていなかったが、1階常設にあった菅原健彦の作品も見ごたえがある。「菅原健彦展」が本年11月15日~12月27日に同館で開催されるようなので、必ず足を運びたいと思う。

4月、5月は静嘉堂文庫美術館、出光美術館など水墨画作品の傑作を多くみることができたが、現代の水墨作品も素晴らしい。ぜひ、足をお運びください。お薦めいたします。

*5月31日(日)まで開催中。

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現代の水墨画展 @練馬区立美術館

 最近、水墨画が再評価されている。昨年暮れには雪舟と水墨画、今年になって自分が出かけたものだけでも、田淵俊夫展、三瀬夏之助展、近藤浩一路の世界、山水に遊ぶ、水墨画の輝き、幻想の板橋ー近世編、筆墨の美と多数である。  近代以降の日本絵画の歴史は、極言す...

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とら様

昨日はお疲れ様でした。

「禁断の図録」は同感です。
私も買わないように買わないようにと思っているのに
我慢できず、いやこれは買うべきと手を出しました。
三瀬さんのサイン入りとは羨ましい限り!

No title

三瀬夏之介のトークを聞いて来ました。
概要はブログに書きました。
浅見貴子のトークは中止だそうです。
わたしも禁断の図録を買い、三瀬さんのサインをもらってきました。
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