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「文明開化を描いた版画家 川上澄生展」 そごう美術館

sumio

こんなにも川上澄生の作品世界は幅広かったのか!
衝撃的な感動をもたらした、今一番お薦めの展覧会「川上澄生展」を見にそごう美術館に行って来ました。

川上澄生の作品は栃木県美や千葉市美など様々な美術館で見かけて良いなぁと思っていましたが、私が知っていたのは彼のほんの一面であったことがこの展覧会によって分かりました。
何しろ総展示作品数約500点の大回顧展です。
しかも、巡回なしで横浜開港150年記念として、横浜そごう美術館の単独開催企画展。

過去にも川上澄生の回顧展は何度か行われているようですが、その頃まだ私は彼の存在を知らず、無論行くこともありませんでした。

展覧会の構成は次の通り。
第1章 横浜に生まれて ~1926年
第2章 開花した川上版画の多彩な才能 1927~1944年
第3章 北海道、白老での日々 1945~1948年
第4章 版画家として 1949~1972年
と年代順に作品を展観しています。

あまりにも大量の作品群のため、鑑賞予定時間を超えてそれでも1時間半弱かかります。

とりわけ印象的だったのは、第4章のガラス絵や革絵など様々な技法を試みていたことでしょうか。
日本民藝館が所蔵する「ガラス絵屏風」は素朴でありながらもどこかモダンな印象があり、手許に置いて使いたいと思わせます。

川上のデザインと色彩感覚のセンスの良さ。これには脱帽です。
そのセンスの良さは版画作品だけでなくろまんちっく手摺千代紙などにも伺われます。この千代紙はぜひミュージアムショップで再販して欲しい。

今回彼がてがけた2種類のトランプが展示されていましたが、どちらも味があります。トランプは再販されたものがミュージアムショップで売られていましたが、どうも味気ないのはやはり印刷のせい?今回の展覧会サブタイトルは「文明開化を描いた画家」。トランプもダイヤ=近東滴的、クラブ=日本的、ハート=南蛮的、スペード=支那的と鎖国以後様々な国の文明が入って来た状況を表現しています。
toranpi

また、南蛮船や南蛮人(ペリーとか)を対象にした作品も多く手がけており、開港後の横浜、日本の様子が分かります。

更に彼の才能が如何なく発揮されたのは、装丁でした。
一体どれだけの本や雑誌の表紙絵を飾っていたことか。表紙にガラス絵がはまっている本などは、既に出版物ではなく立派な芸術作品と言えるでしょう。
また川上自身が発行者となって、自作の少数限定本をいくつも作成しています。
「安土の信長」など朱漆の表紙で、表紙絵が全て違うという50部限定の私刊本。
この信長に限らず、他にも50部限定、30部限定の私刊本はいくつもあって、どれもこれも欲しくなるものばかり。

数ある作品の中で私が一番心惹かれたのは銀紙に白摺りしている≪黄道十二宮≫1944年。
戦時中にこんな作品を作っていたこと自体が驚異的。
同様に黒羅紗紙に多色摺りされている作品も、これまで見ていた川上作品とはまた別の質感があって漆絵のような感じが素敵でした。

もう全ての作品が好きで好きでたまらず、きりがないのでやめます。
大正と昭和はじめの懐かしさだけではない、ちょっとレトロな感じが良いのです。
彼は宇都宮で英語教師をする傍ら、これだけの作品を手がけていた。プロなんだけどアマチュアみたいな所から、フランスのアンリ・ルソーと自身との共通項を見出していました。

英語教師であったせいか、作品にアルファベットを使用したもの、英語を使ったものが沢山あって、こんな教材で英語の授業ができたら楽しいだろうと思う。

どことなく棟方志功の作品に似ていると感じていましたが、棟方が版画家を目指すきっかけとなったのが、川上澄生の≪初夏の風≫1926年であったとは知りませんでした。

そごう美術館には心から感謝したいと思います。
出展作品は、鹿沼市立川上澄生美術館、新潟県にある財団法人黒船館、日本民藝館、横浜美術館、栃木県立美術館、本の装丁は神奈川県立文学館他、個人所蔵家の作品を一堂に見られる機会です。お見逃しなく!

*6月7日(日)まで開催中。会期中無休。午前10時~午後8時まで(入館は30分前まで)
残念ながら作品リストは用意されていません。

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遊行七恵さま

こんばんは。

これだけ大規模な回顧展は平成4年の没後20周年記念以来なのかも。
平成8年に東京ステーションギャラリーでも展覧会があったようですが
スペースから考えても今回の方が充実しているような気がします。

必ずご満足いただけるかと!最後の絶作は泣けます。

No title

こんにちは
楽しみですよ~~
今週末に行きますが、期待度がますます上昇です。
うーん、早くみたいです。

横浜と神戸の関係で展覧会がわりとあるんですが、
こんな大掛かりなのはないです。
気合が入ってきました。

ogawama様

本当に膨大な量で、最後の方は気が遠くなってました。
その時既に図録買いは決まっていたようなもの。
ということで、東近美のヴィデオに続いてまたも図録買い。
でも、帰路電車の中でしみじみ眺めて余韻に浸りました。
良いものは良いので仕方ないですよね。

もうすぐ会期終了ですね~

千代紙再販、切に希望します。
千葉市美術館の「日本の版画」展で取り上げられていた戦時中に美しい装丁本を作っていた人、という記憶しかなかったので、今回の膨大な作品群は本当に衝撃的でした。
セミプロでも版画に打込み続けた生涯は、実り多いものでしたね。


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