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「ゴーギャン展」 東京国立近代美術館

go-gyann

本日からスタートした東近美の「ゴーギャン展」に行って来ました。
ゴーギャン展公式サイトはこちら。主要な作品画像が掲載されています。

金曜の夜間開館は、通常の企画展でも同様ですが、今回は金曜だけでなく土曜日も夜間開館が午後8時(30分前までに入場)まで行われます。

初日ということで、逆に混雑しているかなと懸念しましたが、美術館到着が5:45。この時間は混雑は全くなく、時間の経過とともに混雑して来ました。仕事帰りの方が増えて来たのでしょう。

私は名古屋ボストン美術館で先に開催されていた「ゴーギャン展」も拝見していましたので、そちらと比較しつつ本展を振り返ってみようと思います。名古屋展では約40点、本展では53点が出展されています。
*名古屋ボストン美術館「ゴーギャン展」の記事はこちら

東近美の展覧会構成は第1章から第3章と極めてシンプル。ちなみに、名古屋ではその倍の6章に分かれていた。
以下印象に残った作品です。

第1章 野生の解放
1882年~1891年(一部1894年完成の作品あり)作のタヒチに渡る以前の作品を展示している。

・≪愛の森の水車小屋の水浴≫ 1886年 ひろしま美術館
何度見ても禁断の匂いがする。少年の裸体が水車小屋とともに描かれる。既にゴーギャンの裸体への関心を示す一作。

・≪洗濯する女たち、アルル≫ 1888年 ニューヨーク近代美術館 東京のみ
ゴーギャンが来た!と思えた作品。人物の形のとらえ方にゴーギャンの特徴を感じる。画面左下に2人の人物のクローズアップがあり、異質な感じ。何を狙ったものなのか。

・≪海辺に立つブルターニュの少女たち≫ 1889年 国立西洋美術館
何度も見ているが、改めて今回見てみると、人物の顔、大きな足、などタヒチでの作品の前兆をよく表している。

・≪異国のエヴァ≫ 水彩 1890/1894年 ポーラ美術館蔵
これは名古屋展に出ていただろうか。愚かにも名古屋展の作品リストが既に手許になく確認できない。でも見た記憶がない。
エヴァの顔がゴーギャンの母だという。何とも意味深な作品。

・≪純潔の喪失≫ 1890-91年 クライスラー美術館 東京のみ
この作品、本展でもっとも衝撃を受けた作品。ゴーギャン作とは思えない。
背景色、モチーフ全てが異質。
横たわった少女の乳房に前脚を置くキツネ。キツネ!しかもこのキツネの目線はとても邪悪な感じ。私にはこのキツネがゴーギャン自身に似ている、彼が自身を描きこんだのではないかと思った。
少女は死んでいるかのように見えるが、左手はキツネの背中にまわされている。
少女のモデルは当時ゴーギャンが子供を孕ませてしまったお針子のジュリエット。あまりにも意味深な作品とタイトルである。
更に不思議なのは、画面後ろに描かれている大勢の歩く人々。小さく小さく描かれていて葬列を組んでいるようにも見えた。

第2章 タヒチへ
ここでは、タヒチへ渡ってからの油彩と連作版画「ノアノア」が展示されている。
連作版画については、作品が名古屋展と同じであったようなので感想については省略する。

・≪タヒチの風景≫ 1892年 メトロポリタン美術館 東京のみ
第1次タヒチ作品、スケッチのような風景画。こんな作品を最初は描いていたんだなという軽い驚きがあった。

・≪かぐわしき大地≫ 1892年 大原美術館 *7/3~8/30までの期間限定展示作品
やはり、国内にあるゴーギャン作品でタヒチを思い出させるといったらこの1枚。久々に対面。名古屋展では期間がずれて見ることができなかった。アダムとイブのヘビとリンゴがとかげと花に置き換えられていて、ゴーギャンの想像の世界を描く。

・≪エ・ハレ・オエ・イ・ヒア(どこへ行くの?)≫ 1892年 シュツットガルト州立美術館 東京のみ
≪かぐわしき大地≫に続いて、大作につながるようなタヒチの女性裸身像、これが実にたくましい。そして気になるのは黒い犬。裸体にからみついているように描かれている。
今度はキツネでなく黒犬がゴーギャンか。

・≪パレットをもつ自画像≫ 1894年 個人蔵 東京のみ
強烈な自画像。背景色の赤色が気になる。ゴーギャンカラーと言ってイメージするのは、黄色、オレンジ、朱赤。どうも顔つきが良くない。

第3章 漂白のさだめ
1897年から最晩年の1903年の作品を大作≪我々はどこから来たのか、我々は何者か我々はどこへ行くのか≫をまじえて、油彩7点でフィナーレを飾る。

・≪テ・パペ・ナヴェ・ナヴェ(おいしい水)≫ 1898年 ワシントン、ナショナル・ギャラリー
空の色が虹色に描かれて美しい。夕暮れのタヒチ。

・≪ファア・イヘイヘ(タヒチ牧歌≫ 1898年 テート・ギャラリー
ロンドンのコートルード美術館で見たゴーギャンコレクションに一番近い作風。横長で黄金色の地色。
まさしく楽園風景。大作の横ワイド縮小版。マイベスト3のひとつ。

・≪浅瀬(逃走)≫ 1901年 プーシキン美術館
プーシキンからはもう1点≪路上の馬:タヒチの風景≫も出展されていたが、圧倒的にこの作品の美しさが際立っている。手前の青い水面(池?)と遠方の海のエメラルドグリーン、更にピンク色の大地。

・≪赤いマントをまとったマルキーズ島の男≫ 1902年 リエージュ近代・現代美術館
タイトルを見るまで、描かれているのは女性だと思っていた。人物の横に描かれた鳥と犬?キツネ?は形が崩れている。

本展の目玉である≪我々はどこから来たのか、我々は何者か我々はどこへ行くのか≫(1897-1898年)の展示方法についてはイマイチだった。
まず照明が良くない。正面から、特に画面に近づくほどライトが反射して画面が見づらい。
ライティングが気にならない位置となると、左右どちらかに寄って、斜め方向から見るか、正面なら少し離れるかだろう。
また、部屋の明るさも名古屋では壁を黒にして全体照明は抑えめだったのに、こちらでは背景色白、全体照明もかなり明るい。

東近美たるもの、もう少し、ライティングに気を遣っていただけたらと思う。

名古屋展で置かれていたひな壇(一段高い段)は設置されていないので、高い部分は必然的に見えづらい。見上げる形になる。双眼鏡、単眼鏡の類はお持ちであれば、持参されることをおすすめします。
また、アメリカボストン美術館の彫刻作品は東京展には出展されていませんでした。彫刻は静岡県美の1点のみ。

帰路は本展開催中、東近美と東京駅を往復する無料シャトルバスを利用。座席数が少ないので、立ちになる可能性も大きい。土日・祝は10分~15分間隔で運行しています。

*9月23日(水・祝)まで開催中。

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あべまつ様

こんばんは。

> 我々の紹介ビデオの隣にあっけらかんとしたライティング。
> 白々しかったことも思い出しました。
> 版画コーナーくらいの陰鬱な灯りでも良かったかもしれません。
> 遺書、ですからねぇ。

同感です。名古屋ボストンの展示方法とついつい比較してしまいました。

No title

こんばんは。
あれから一月、要約の記事アップに漕ぎ着けました。
ゴーギャンの男っぷりに振り回された一月、でもありました。
我々の紹介ビデオの隣にあっけらかんとしたライティング。
白々しかったことも思い出しました。
版画コーナーくらいの陰鬱な灯りでも良かったかもしれません。
遺書、ですからねぇ。

とら様

こんばんは。

> 「我々は」の壁の色: 名古屋(紫)>近美(白)
> 「我々は」の照明: 名古屋(落としている)>近美(照度を上げ過ぎ)
> 品揃え: 名古屋(ボストン+ポーラ+α)<近美(ボストン+世界各国+α)

↑分かりやすい比較ですね~。さすが、とら様。
名古屋の壁は黒かと思ってましたが、紫でしたか。
名古屋の展示は作品数は劣りますが、展示方法は良かった、全く同感です。

No title

ヤット行ってきました。

「我々は」の壁の色: 名古屋(紫)>近美(白)
「我々は」の照明: 名古屋(落としている)>近美(照度を上げ過ぎ)
品揃え: 名古屋(ボストン+ポーラ+α)<近美(ボストン+世界各国+α)

まるかみ様

こんばんは。
シャトルバスの運転手さんトークが絶好調ですよね。
あの方は標準語を話されていましたが、関西ご出身の方ではないでしょうか?
サービス精神旺盛で、私も楽しかったです。

工芸館はこじんまりとしていますが、あそこの椅子は居心地が良いようで
よく皆さん居眠りされています。
老後は私も・・・と楽しみにしてるのです。

No title

すでに多くのアートブロガーさん達が、レビューを試みておられるゴーギャン展。

オランダでゴッホVSゴーギャン展を観たときは、上手な対決だと思いましたので、図録とポスターと帽子とかいろいろと買い込みました。
一方、今回の単独展示。私のような素人には、途中からどうでも良くなりました(苦笑)。どこから来たのか、と聞かれても、困る・・・・絵の前には、ひそひそ声ながら絵の解釈話を交わす人達を観て、早早に退散。

「タヒチの田園」ほか数点の明るい作品は熱帯の空気が気に入りましたが、光溢れる南国で暗い絵を描かれる技量というのは、どうも崇高すぎて難しすぎました。

私見に過ぎませんが、ゴーギャンはゴッホと並べると(ゴッホ美術館でのように)、素人にも判りやすく俄然ひかってくる。補色か、あんたは? という感想です。

試しに東京駅からのシャトルバスに乗りました。運転手さんがゴーギャン不人気について一人語りしていたのが印象的です。これを聞くためにまたこのバスに乗っても良いかと思います。

常設展は観たかった作品がてんこ盛りでして、アート素人の私にはピッタリでした。
それから、工芸展のご紹介、有り難うございました。内容、良かったです。近衛師団の建物、ゴシック様式で青空に映えますが、意外と小さな建物でした。東御苑を散策してカメラでばちばちして、疲れを癒しました。これで、三ノ丸でお宝を観られる日だったらもっと癒せたと思いますが閉館中。

mag-vievie様

はじめまして。
コメントありがとうございます。
mag-vievie様のブログ記事も拝見しました。
版画作品の所は、作品が小さいだけに混雑しますよね。

更に、書き忘れましたが今回の物販には驚きました。
こんなに展覧会でグッズ売ってるのは日本だけではないでしょうか。
実に様々なものがあり、ついつい財布のひもが。。。危険です。

はろるど様

こんばんは。
内覧会に参加されていたのですね。
昨日、はろるどさんのブログを拝見し、照明について
同じことを書かれていらっしゃったので「あぁ、やはり」と
思いました。

展示方法は名古屋の方が良かった!
ということで、両方見られた私は幸せ者です。

エムケイ様

コメントありがとうございます☆
やはり、西洋絵画で話題性のある展覧会は早めに
行くのが鉄則ですね。

同じ日のほぼ同じ時間に会場にいらっしゃったのですね。
大作は、照明だけ何とかしていただきたいと思います。
近美の名が泣く!

まるかみ様

お返事遅くなりました。
ゴーギャンは、やはり早い方がよろしいかと。
皇居周辺の散策は緑も多くいいですね。
私は工芸館も好きです。

壁の色

はじめまして。
作品数はまずまずで良かったんですけどね。
目玉の作品の照明・・私も何度も後ろいったり前にいって上部を見たりとしてしまいました。
後の壁が黒のほうが良さそうですね。


TBさせてください。

No title

こんばんは。今日はどうもありがとうございました。色々お話を伺えて愉しかったです!

さてゴーギャン展ですが、

>照明が良くない

は仰る通り残念でしたね。少し離れると抜群に浮き上がるのですが、近づくに連れてどんどん反射が激しくなってしまいまして…。

ですが純潔を見られただけでもちょっと感激しました。
また日を改めて行ってこようと思います。

私も昨日行きました

こんにちは。以前に「氾濫するイメージ」の記事でコメントした者です。
その後、無事に八王子市夢美術館で見ました。

さて、ゴーギャン展ですが、初日の昨日、
私も仕事帰りに行ってきました。

私もmemeさん同様、「純潔の喪失」が妙に印象的でした。
キツネの顔つき、手等今でもクッキリ思い出されます。
すごく異質な感じでした。
これは他のお客さんも同じだったのか、食い入るように見てる方が
ひときわ多かったように思えます。

そして今回の目玉「我々はどこから来たのか、我々は何者か我々はどこへ行くのか」。
大作であり、多くのメッセージがある作品であり、
一番人が集まってましたが、実はそれほどじっくり見ませんでした。
展示方法が良くないというmemeさんが書かれてて
なるほど。。。と思いました。
私はなんとなく、あのひとごみだけでお腹いっぱいになったクチで。

でもそれでも上野のルーブル美術館展も「30分待ち」の表示で諦めて
結局終了してしまったので、今回ゴーギャン展に入れて
それなりにじっくり見れて良かったです。







No title

なるほどです。ゴーギャンにはさして興味もわかないですが、皆さん絶賛されるので早めに行こうかなと思いあらため。

ここってメトロ竹橋駅からでて直ぐのところでしょう?私のお薦めは(晴れていればですが)、皇居東御苑を散策との組み合わせ。三の丸でお宝を観ても良いし。山種も近いし、山種、三の丸、そしてここ、という組み合わせで行こうかなあ・・・

土日は混んでいるだろうから避けよっかな。
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