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「やまと絵の譜」 出光美術館

yamatoe

出光美術館で開催中の「やまと絵の譜」に遅ればせながら馳せ参じた。
この展覧会は楽しみにしていたのに、展示替え(2作品)や場面替えがあることを知らず、呑気に構えていた私は本当に愚かだ。

というわけで駆け付けたのはいいが、場面替えも最終コーナーになっており、やはり時既に遅かったことを知った。無念。
それにしても、作品数わずか36点でこれほど満足できた展覧会って他にあっただろうか。
それほどに、私は作品全てを堪能できた。

作品リストにチェックや書き込みのない作品はほとんどない。
ちょうどこの展覧会の予習にとたまたま古本屋で800円で入手した「光をまとう中世絵画―やまと絵屏風の美」(下図)角川叢書を読んでいて、この本を読み終わったらこの展覧会に行ってみようと思っていた。
izumi

案の定、同書に紹介されている「光をまとう中世やまと絵屏風の代表的な作品」として、出光美術館の≪四季花木図屏風≫があげられているのだ。

筆者が考える中世やまと絵屏風(室町時代のやまと絵屏風)は実に現存数が少ない。
そのリストは本によれば次の通り。
≪四季花木図屏風≫ 出光美術館
≪厩図屏風≫ 宮内庁三の丸尚蔵館
≪浜松図屏風≫ 個人蔵
≪浜松図屏風≫ 東京国立博物館
以上の4点がもっとも洗練された作品とされている。
次にあがっているのは以下5点。
≪日月図屏風≫ 東京国立博物館
≪松図屏風≫ 東京国立博物館
≪日月山水図屏風≫ 金剛寺蔵
≪日月四季花鳥図屏風≫ 出光美術館
≪競馬図屏風≫ 春日大社蔵
これ以外に制作時期が微妙ながらもリストに入れておくべきとされているのが、以下4点。
≪十界図屏風≫ 当麻寺奥院蔵
≪四季竹図屏風≫ メトロポリタン美術館
≪四季花鳥図屏風≫ サントリー美術館
≪月次祭礼図屏風模本≫ 東京国立博物館

この室町時代のやまと絵屏風は、平安時代以来の書で使用される料紙の金銀箔、雲母を使用した装飾技法と意匠を屏風に転用している。雲母地屏風は下地に雲母を入れて塗り、その上に金箔銀箔を大きさ・形を細かく切って、撒き散らして画面を作る。
この雲母地が桃山時代以後消えていくのだ。一面に金箔を張ってしまえば雲母地は見えず不要となってしまう。

前置きが長くなった。
本展でのやまと絵はもっと広義に扱われているので、古くは奈良時代の≪絵因果経≫、平安時代の≪扇面法華経冊子断簡≫⇒これなど、まさに室町屏風の下地の元祖と言えるような見事な料紙装飾である。
時代の新しいものでは、もっとも多い江戸時代の作品も多数。
ここでは、大好きな岩佐又兵衛の未見作が3点も出展示されていた。これだけでも再訪の価値がある。
3点いずれも甲乙つけがたいが≪在原業平図≫≪野々宮図≫に描かれた弓なりの立姿と下ふくれのうりざね顔、そして着衣の精密な描写、どこかアンバランスでもドラマチックに鑑賞者に語りかけてくる。

他に忘れてならないのは、菱川師宣の肉筆3点、≪江戸風俗図巻≫は全場面この目で見たかった!
英一蝶、この2人は今年展覧会が予定されていて、注目の画家である。
一蝶も同じく3作品出ていたが、≪凧揚げ図≫更紗の表装は縦長の画面とちょっとコミカルな図柄にとてもよくマッチしていた。
表装は絵の着物。
図録には表装まで掲載されていないが、併せて掲載して欲しいと思うのは私だけだろうか。

驚きの屏風がもう1つ。
≪江戸名所図屏風≫筆者不詳の八曲一双の巨大な作品。
ここに描かれている人物は2200人以上(誰が数えたのか!)。筆者は又兵衛関係者という声もある。
この屏風があまりにも面白いので、帰りに図録(1900円)を見たが図版が小さすぎて、詳細が分からない。
今回の図録は、絵巻ものも含め図版のクローズアップがないのが残念。もう少し値段を上げても良いからクローズアップ図版も併せて掲載していただかないと肝心の所が見えないでは意味がない。
・・・と文句をぶーぶー言いつつ購入しましたが。

ショップの方に大きな図版はないのかお尋ねしたら、以前出光美術館学芸員をされていた内藤正人氏著「江戸名所図屏風―大江戸劇場の幕が開く」小学館をご紹介いただいた。
edomeisyo
以上が第一章 「うつつ」をうつす-「やまと絵」と浮世絵

第二章 「物語」をうつす-「やまと絵」絵巻の諸相
このコーナーは悔しすぎて半泣きだった。展示14作品中、場面替えがあるものが8点。
ただし、過去に見たことがある絵巻もあり、印象に残ったのは≪橘直幹申文絵巻≫筆者不詳 鎌倉時代。どことなく、出光名品の伴大納言絵巻を彷彿とさせる描き方。

≪雪月花図≫江戸時代
金泥を横にまいた霞と精緻に描かれた人物たちの描写が見事。品の良さではNO1ではなかろうか。

第三章 「自然」をうつす-「やまと絵」屏風とその展開
冒頭の四花木図屏風、日月四季花木図屏風を下からかがんだり、離れたり、近付いたり、雲母地の美しさを感じようといろいろ試みたが思うようにいかなかった。
やはり、過去プライスコレクションで見せてくれたような照明の当て方を変化させることで、よりその美しさが分かるのに、と残念でならない。

≪宇治橋柴舟図屏風≫ 筆者不詳 桃山時代
この絵は見た瞬間引きこまれた。大胆な川の流れのデザイン。柳に雪が積もる様子、水車の意匠。制作時代にはまだまだ疑問が残るようだが、面白い作品だ。

*7月20日(月・祝)まで開催中。お見逃しなく。
なお、展覧会のチラシは既に出光美術館には1枚もないそうです。

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panda様

仰る通り、今回の図録は本当にがっかり。
でも買ってしまった自分にもがっかり。
やはりそれだけでは、モノ足りず期間限定で定価3分の1になってた
大きな「風俗画」画集に手を出す羽目に。
でも、こっちの方が後悔ないです。
まだ届いてませんが、屏風の名品が大きな図版で掲載されて楽しめます。
ニマニマ。

一村雨さま

こんばんは。
私も「唐絵」に対して「やまと絵」と考えておりましたが、
やまと絵も時代によって様々な切り口があるようです。

英一蝶はやはりまとめて作品を拝見したいですね。

ogawama様

今年は、一蝶と菱川師宣が来ますからね。
それぞれ展覧会があるので今から楽しみ。
本当に、前期に行かなかった私はバカタレです。
やはりあの屏風はもう1度拝みたい。

予習もメモもすごい

>展覧会の予習にとたまたま古本屋でで入手した
>「光をまとう中世絵画―やまと絵屏風の美]
そしてメモも素晴らしいのがmemeさん!

やまと絵の展示のせいか照明を落としてましたが
出光フリークの私には、その展示する方法が
とても気に入りました。
図録は本企画展ものより、別をもとめた方が良いかも。
(出光定番ものが多いので 山種美術館みたく)

No title

こんにちは。やまと絵というと、伊勢物語や源氏物語や
平安朝の宮廷絵画などを描いたものという先入観がありましたが、
この展覧会で、浮世絵まで含むという「やまと絵」の幅広さを知りました。
英一蝶、ドラマチックな生き方に興味深々です。

No title

この展覧会は素晴らしかったです。
私はやまと絵ファンじゃないけど、同じく全作品堪能しました。
memeさんに頂いたチケットで行ったのですが、結局ぐるっとパスで再訪しそうです。
東博にも英一蝶など出ていて、うれしくなりました。

あべまつ様

空気感が癒しの世界でしたか。
もう、好きなものだらけで何がここまで自分を高ぶらせるのかも
分かりませんでしたが、DNAが蠢いていたのかもしれませんね。
メモしない派2人ですね。


No title

こんばんは。

この展覧会は、ツボ、ですね。私も前期簡単に1時間半過ごしました。
後期、いよいよまた行かねばという気になります。
表装のことは以前から私も願っています。
どうぞ図録にもご紹介を、と。
どれが良いって、全体から醸し出しているやまと絵の空気感が
癒しの世界です。DNAとして受け継いでいる何かがうごめく感じでした。
ちなみに、私もメモしない派。

まるかみ様

こんばんは。
私は熱心なメモ魔ではなく、むしろその逆。
作品リストがないと、下手をすれば何もメモしないことも・・・。

本音を申せばメモなどとらず、ただ名品に目も頭も心も集中させたい
のですが、後のブログ記事を考えるとそうとも行かず、印象に残った
作品だけ印と一言感想など書くわけです。
が、その書いた文字が判読できず、しばし苦労します。

出光は図録作りをもう少し何とかしていただきたいですね。
他が素晴らしいので、全てに合格点を望んでしまいます。

No title

記事をよんでいて、岩佐又兵衛の作品を思い出しました。あれだけでも私には、来て良かったと思いましたから。

場面替えですが、ここの展示会のは長い長い巻物をほんの数十センチ引き出しているだけであとは丸めてあるので、のぞき込んでも観られない。巻物の展示というのは、そう言うものなんでしょうか。

開催期間中に数度(何回ばめんがえしているのか知りませんが)場面替えしてもらっても全て観るのは時間と財力の観点から普通の人には不可能かと。東京国立博とかは、巻物を長~く引き出して見せていたと思います。

それが、ここの展覧会には不満でした。図録も一旦は購入を考えたモノの、屏風図の印刷が小さすぎるので止めました。ショップの職員さんに、もっと拡大したのはないのですか、と私もたずねました。

既に一度観に行って、作品替えがあることを知り、6月30日から展示される作品を見るために、ずっと楽しみに待ってました。

私のような素人が素人丸出しのコメントをいたしますが、ここは、お宝も良いし、窓の外には昭和の歴史を考えながら思いにふけることができる、都内有数の満足スポットです(私には)。あとは、こぎれい(館内の足下を見てないので掃除の話ではありませんが)かな。

アートラバーの皆さんは、本当呆れるくらい物知りでよく勉強してますねえ。美術館でも、ノートを持った女性が作品を前にしていろいろと書き込んでおられるのに遭遇します。わたしゃできません。そのお姿を拝見しながら思うこと。ただただ、長江の天空に流れるを観るのみや、と。
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