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「藝大美術館所蔵品選 コレクションの誕生、成長、変容」 東京藝術大学美術館

geidai

東京藝術大学美術館で開催中の「藝大美術館所蔵品選 コレクションの誕生、成長、変容」を見てきた。明日(26日)で前期展示は終了、若干の展示替えと場面替えがあるため、前期までに1度見ておきたかった。

「開けてびっくり玉手箱」の表現がこの展覧会にぴったり。
本当に素晴らしく、かつ、多様なコレクションであった。コレクションの形成過程が理解しやすく、上手い展示構成だったと思う。
約140点(岡田三郎助の刀子を入れると180近い)もの作品展示があるとは、予想しておらず、更に質も高いため、相当疲弊したが大大大満足!
美術館が開館して10周年(まだ10年しか経過していないことにも驚いた!)を記念するに相応しい内容。これが入館料500円、ぐるっとパス使用可能とは恐れ入る。

印象に残った作品はほとんど全部に近いが、特別これは!という作品は以下の通り。

第1章 コレクションの誕生 岡倉天心と東京美術学校初期の収蔵品
*作品番号順で、展示順とは異なります。

・繍仏裂 白鳳時代 (前期展示) 重文
白鳳時代の裂にもかかわらず、仏の姿がしっかり刺繍されているのがよく分かる。ほのぼの系の仏(飛天?)で愛らしい。

・「岩石」 狩野芳崖 1887年
隣には同じく芳崖の畢生の名作「悲母観音」が並んでいたが、こちらは昨年も拝見しているので、今回はさらりと行く。むしろ死の前年に描かれた「岩石」のスケールの大きさ、技術の極みに感動した。
岩の奥に自分が吸い込まれそうなほど奥行感がある。

・「白雲紅樹」 橋本雅邦 1890年 重文
これまたものすごい大画面、超大作。雅邦の展覧会を一度しっかり拝見したいと思った。最後の狩野派の流れを組む日本画家と言ってよいのだろうか。
散りゆく紅葉、白い滝、大きな白雲、猿が老木に乗っている、もうどこを見てよいのか分からない。
本展マイベスト。これ見に再訪したい。

・「群仙図屏風」 曽我蕭白
こちらは文化庁所蔵のものと同じタイトルだが、墨画で、着彩なし。もちろん、初見で、こんなのあったの~と驚いた。
しかしながら、蕭白の個性を如何なく発揮した画面で、モチーフになっている鳥は既に通常の鳥とは思われず、完全に未来形バード、想像の産物に、波頭は生き物のように蠢き、左隻に描かれていた手前の男の脇毛が妙にリアルだった。
誇張された描写、不気味だろうが下品だろうが、やはり面白い。

・「鯉図」 伊藤若冲
コレクション形成期に既に若冲作品があったことは注目すべき。鯉が身体をひねり、周囲に水草が描かれている。若冲らしいと言えるかは微妙。

板谷波山の学習期制作品「鬼女」は彫刻家としても大成したのでは?と思わせるほど上手い。

第2章 正木直彦校長時代のコレクション

・「飛天象」 北魏時代
これが一番最初の入口上部に飛んでいるかのごとく展示されていた。この時点で、早くも好印象。
 
・「金錯狩猟文銅筒」 後漢時代
正木校長自らが入手したもの。細かい象嵌細工が非常に丹精で美しい。

・「柳下鬼女図屏風」 曽我蕭白
こちらは過去に見たことがある。鬼女は怖いと解説にあったが、怖いというより逆にユーモラスに感じた。やはり、蕭白の特徴足の親指が異常に長い。

・「百鬼夜行絵巻」 江戸時代 場面替えあり。
これを見つけた時、小踊りしたくなった。先日有楽町で開催された「百鬼夜行フォーラム」にも紹介されていた藝大本「百鬼夜行絵巻」だ。こんなに早く本物にお目にかかれるとは思っていなかった。
道具の名前が絵の横に書かれているのが特徴的。

・「工芸各種図案」 今和次郎 1912年
やった!和次郎作品が突如現れる。今回は工芸図案。和次郎さんの絵が好きな私としてはもちろん図案もお気に入り。やはり彼らしい素朴さが好ましい。

・「序の舞」 上村松園 1936年
この日の朝一番で山種美術館の「上村松園」展を見て来た所だった。やはり、「序の舞」が本日見た松園作品の中では一番だった。きりっとした雰囲気。踊りの動きの中の一瞬を絵に閉じ込める。

・「伊香保の沼」 松岡映丘 1925年
水に足を付けた様子が涼しそう。でも女性の表情はどことなく魂が抜け出ているかのようで、何を思っているのだろうか。風で髪がほつれた様子がリアル。

・「華炎」 澤田政廣 1932年
彫刻作品だが、天女が逆立ちして彫刻されているという不思議な作品。

第3章 黒田清輝と西洋画コレクション

・「小児と葡萄」 ベルナルディーノ・ルイニ原作を久米桂一郎が模写。

・「収穫」 浅井忠 1890年 重文
浅井忠はもっとクローズアップされて良いと思う。明治23年でこれだけの西洋技法を身に付けていたこと自体素晴らしい。

・「老人」 原田直次郎 1886年
お馴染み「靴屋の親爺」(重文)も隣に並んでいたが、「老人」は初見。やはり直次郎の人物画には力がある。

・「鮭」 高橋由一 1877年 重文
教科書で大変お世話になった由一の「鮭」。もしかすると、実作品を拝見したのは今回初かも。
思っていたより大きな作品だった。

・「婦人像(厨房)」 黒田清輝 1892年
完全なる西洋画といって差し支えないのではないか。日本人が描いたように見えない所が凄い。

・「雨模様」 三宅克己 水彩 1899年 前期展示
イギリス水彩画のよう。懐かしい感じがする。

・「思郷」 和田英作 1902年
和田英作は私の好みの画家。他にも数点出展されていたが、中ではこれが一番。

・「黄泉比良坂」 青木繁 1903年 前期展示
彼は新しい日本の洋画を生み出さんとしていた。いや、生み出していたが正しい。
もう少し長く生きていたら、どんな作品を生み出していただろうか。

・「婦人像」 レオナール・フジタ 1909年
自身の自画像(1910年)と並んで出展。本作は本邦初公開。新発見作品。黒田清輝の影響が見られる若き日の油彩。

第4章 平櫛田中の彫刻コレクション

・「子守」 橋本平八 1928年
東近美で見て以来、橋本平八の木彫が大好きになった。今回の「子守」も橋本らしい作品。素朴というかのみ跡が残る朴訥とした所が好き。

・「横笛堂」 平櫛田中 1913年
写実的彫刻。この時代で彼の右に出る彫刻家はなかなかいない。光雲くらいだろうか。

*前期展示は明日(7月26日)まで。後期は7/28~8/16まで開催。おすすめします。

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ベンゼン様

初コメントありがとうございます!
もちろん、日本芸術院の展覧会も行きました。
しかも、土曜日に2回見てきました。
所蔵品展でわずかな展示替えがあったためです。

映丘は少し前に山種美術館で、企画展があったばかりです。
国立近代美術館などでは常設で出ることもあるので
チェックされてはいかがでしょう。
今後とも拙いブログですがよろしくお願いいたします。

はじめまして

こんばんは、初めてコメントします。
序の舞、伊香保の沼、思郷、良かったです。
特に皆さんがコメントしている伊香保が。
上の階で藝術院の作品展もやってましたが、行かれなかったのですか。
こちらも凄かったです。
こちらの映丘も気に入りました。

まだ1年ちょっとの経験なので映丘は今回の2点だけですが、ともに気に入った。
畏るべし映丘。

では、また。

一村雨様

「 伊香保の沼」は、男性陣ブロガー様の記事で皆さん
取りあげておられますね。
何が惹きつけるところなのでしょうか。
やはり、あの表情?背景?

どうやら沼に入水する寸前の状態を描いたとか。
ちょっと納得。

No title

伊香保の沼、恋を思い煩っているのでしょうか。
目の焦点が合っていないので、狂った女性のように思えました。
背景の美しさは断トツでした。

はろるど様

はろるどさんが、倒れそうになるって、それだけで凄い展覧会ですよ。
どうせなら3階の展示室もコレクション展示にしても良かったほど。
絶対、まだまだ持ってますから。
例えば由一の花魁とか。

松岡映丘は今年の1月に山種美術館で関連展覧会が開催されたばかり。
私も記事をアップしてます。
歴史画メインの作家さんなのですが、あの作品は異色?
あれも歴史画ってことはないですよね?
男性陣はみなさん、あの女性の憂いを帯びた表情に魅了されましたか。

まるかみ様

こんばんは。
前半の美校草創期パワーは物凄かったですね。
あそこだけで、40分以上いやもっといました。
放心したまま、隣の洋画コレクションへ行くと
こちらもおっしゃる通り、明るい空間に近代洋画の流れが
分かるような名品や作家の作品がずらり。

上野はやっぱり良いです。
私はどうせなら東博の庭師が良いな。

No title

こんばんは。

>大大大満足!

同感です!名品展とはこうあるべきの見本のような展覧会でしたね。
出し惜しみなしの姿勢にも感激しました。前半でもう倒れる(?)かと思ったくらいです。

>「伊香保の沼」 松岡映丘

今回一番気になった作品でした。
あまりこれまで意識してきた画家ではなかったので、
これからはちょっと追っかけてみようと思います。

No title

展示前半部で時間が来てしまい、後半部(西洋画)を観に行くために切符を買いました。
前半部が日本伝統品の重厚な雰囲気で、後半部の西洋画ぱっと明るく花開くような感じ。その分け方が素敵だと思いました。
ここにくると、非常勤の仕事でいいから学芸大で無いかなあ、と思ってしまいます。美術館の受付じゃなくて、大学構内の庭師とかで仕事終えた後に美術を観て帰るとか。
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